終末の機械娘と猫たちと(完結)

ジャン・幸田

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ニャオのデータバンク

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 災害に見舞われたあと、ミャオが釣りをしていた海は流入してきた木や泥水などに汚染され、魚が釣れないようになった。そのためミャオは海に直接入って魚を採ろうとしていた。

 ミャオのボディは錆びだらけで防水加工をされていても海水に浸かっても大丈夫なのか心配な状態だった。ミャオを覆う外骨格は錆びまみれで元のボディ表面は盛り上がっているように見えた。その時まで満足なメンテナンスなど出来ているはずもないので、ある意味危険な行為であった。

 それでもミャオが海に入ったのは猫たちのためだった。豪雨災害から以降は多くの猫たちがミャオの元から去っていったが、一匹だけ例外がいた。キジネコの子猫だ。少なくともその子だけは去ってほしくなかったから。あの遠い記憶にあった子猫とうり二つだったから。

 海の中を歩こうとしたが、浮力がないので沈みながら進むようになった。ミャオの稼働システムは生体組織への電気刺激と化学反応で行われているので、短い時間なら大気に依存しなくても問題なかった。だから海へ潜るのは人間のように息づきしなくてもできた。ただ、機体が持ちこたえるのかは不明だった。

 海に潜った時、視覚センサーなどは濁った海水の中に潜む魚介類を見つけ出すことが出来なかった。そのときだった、またしても記憶が蘇って来るではないか!
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