終末の機械娘と猫たちと(完結)

ジャン・幸田

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ニャオのデータバンク

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 ミャオは懐かしいという感情が芽生えていた。もしかすると何百年何千年、正確な年数は分からないが、稼働しているのかもしれないとにいうのにである。

 暖かいお日様の光はものすごく愛おしいものに思えた。甘い香りの風が吹く。そして遠くには自分の名前を呼ぶ家族の声がする。それだけでも嬉しいことであった。ミャオは自分以外に理性を持った相手がいない永遠のような時間を過ごしてきたが、それは無為に思えた。

 しかし幸福な時間のデータはすぐ断絶した。次の瞬間、空に幾筋もの白い飛行機雲が現れた! いや違う、あれはミサイルだ! その筋はどこにいったかわからないが、しばらくすると反対方向から、おびただしい数の飛行機が飛んできた。

 それらは見えている大地にあったありとあらゆるもの全てを焼き尽くしていく大量の爆弾を落としていった。 その記憶データの中の女の子はボロ布のように吹き飛ばされてしまった。そして一緒にした小猫も同様だった。可愛かった子猫は無残な骸のかけらになっていた。そして意識は遠のいていった、どうやら、その女の子がミャオの機体の材料にされたのかもしれない。

 ミャオは我を取り戻した。今の自分の機体は硬い材料に覆われ、柔らかい部品などない錆びた機械人形であった。でも、この中に少女の魂があるのだと自覚した。

 それにしても自分という存在はなぜここにあるのか? 疑問を持つようになっていた。今まで何百年も何千年も繰り返して来たようであるが、その行動に意味があることだったのかが分からなかった。それから少しずつデータバンクの鍵が開き始めた。
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