終末の機械娘と猫たちと(完結)

ジャン・幸田

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ニャオの日常

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 朝になったとタイマー機能によりミャオが起動した。各種のメンテナンスが診断プログラムによって行われたが、数多くの機能がセーブ状態なので項目は多くなかった。視覚センサーには胸の上で眠っていた子猫の姿が確認された。子猫は小さな口を開けてあくびをして動き始めた。

 ミャオは外の様子を確認した、その日は雨だった。この世界の四季ははっきりしているので、その事象のパターンはミャオのデータベースに記憶されていた。また暦も遥か昔に使用すべき人類が消失してからの続きとしたものを使っていた。しかし、記憶は累積していっても、それは意味はなかった。その日の天気任せのミャオには。

 雨は結構激しく降っているので、その日はミャオは釣りに行く事はしなかった。そんな日は球体がある空間に雨宿りがてらに猫がどこからもなく集まっていた。そして、お目当てはニャオの保存食だった。それは釣り過ぎた魚を天日干しにしたものだった。全ては猫たちのためのものだ。

 ミャオはなぜそんなことをしているのかは自分でも分からなかった。ただ理性がそうするようにと求めていたからだ。でも人間に見捨てられたのか忘れられたのか失念したが、機械の自分がそうしている目的が分からなかった。

 外の雨は激しさを増していた。球体があるのは強固な岩盤のなかなので、崩れることは無かったが、その日の雨は激しいものであった。それは何年か前に発生した土石流を伴う災害と一緒だとミャオはデータベースから導き出していた。
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