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天国のラジオ
久しぶりに聞く
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夢やぶれて実家に戻る。それは中年と呼ばれる世代にとって屈辱的なことと言えた。僕からすれば・・・
大都会に出て失われた30年の間藻掻き苦しんできた僕の結論は実家に帰るということだった。でも、そこは両親が他界して空き家になっていた。他に住むものもなく朽ちていくのが忍びないし、お金がなかった僕からすれば他に住む選択肢はなかった。
大都会のボロアパートが老朽化で取り壊しになって、派遣社員として食いつないでいた僕からすれば、都会にいるよりも実家に戻る方がまだマシと思えた。幸いなことに高校時代の同級生が紹介してくれた職場に給料が安くても就職できたから。
ひとり暮らしには広すぎる家なので、引っ越してから一階の一室しか使っていなかったが、暇だったので二階の高校生まで使っていた自分の部屋に入った。そこはまだ平成時代の初め頃の空気感が残されていた。その中でラジカセが目に入ってきた。
ふと、電気コードをつけ電源を入れると雑音混じりに聞いたことのある声が聞こえてきた。
「今日も始まりました! どんどんバリバリそれゆけラジオです! パーソナリティーの本郷智です!」
その声は高校時代に聞いていたラジオ番組だった。あれから三十年も立つのにまだやっていたんだと! 久しぶりに聞くと懐かしく思った。
大都会に出て失われた30年の間藻掻き苦しんできた僕の結論は実家に帰るということだった。でも、そこは両親が他界して空き家になっていた。他に住むものもなく朽ちていくのが忍びないし、お金がなかった僕からすれば他に住む選択肢はなかった。
大都会のボロアパートが老朽化で取り壊しになって、派遣社員として食いつないでいた僕からすれば、都会にいるよりも実家に戻る方がまだマシと思えた。幸いなことに高校時代の同級生が紹介してくれた職場に給料が安くても就職できたから。
ひとり暮らしには広すぎる家なので、引っ越してから一階の一室しか使っていなかったが、暇だったので二階の高校生まで使っていた自分の部屋に入った。そこはまだ平成時代の初め頃の空気感が残されていた。その中でラジカセが目に入ってきた。
ふと、電気コードをつけ電源を入れると雑音混じりに聞いたことのある声が聞こえてきた。
「今日も始まりました! どんどんバリバリそれゆけラジオです! パーソナリティーの本郷智です!」
その声は高校時代に聞いていたラジオ番組だった。あれから三十年も立つのにまだやっていたんだと! 久しぶりに聞くと懐かしく思った。
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