【短編集】エア・ポケット・ゾーン!

ジャン・幸田

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着ぐるみ美少女をバカにしたら・・・

目覚めると

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 男が意識を戻した時、全身に強い拘束感を感じた。そして呼吸は・・・首でしている様だった。そして口の中は何かで詰められていた。視界は全くなかった。まるで暗闇にいるようだった。そのとき、光を感じた。いったいどうなっているんだろうか? そう思い視線を下に向けると大きなふくよかな胸が見えた。それで上半身を起こすと、人形のようになった変わり果てな姿がみえた。

 「どうだ、気に入ってくれたか?」

 どこからか聞こえた声に対し男はこう言って怒ろうとした。”なんだ! てめえなにしやがったんだ!” しかし、実際に出てきた声は。

 「どういうことなんですか? わたしはどうなったのですか?」

 その声は、アニメの美少女声だった。

 「君は改造されたのさ。着ぐるみ美少女の素体となって。生きた人形さ。いいぞ、衣食住全て保証されているし。でも、人形だから行動は制限されるけどな」

 目の前にいたのは、妨害した劇団の主催者だった。

 「これからどうなるのですか? わたし」

 男、いや着ぐるみの美少女人形は不安になった。自分の身体を触ってみると、全て女の子のような身体になっていた。男のシンボルなど存在しなかったが、そのかわりになる女の子の・・・はあった。

 「決まっているさ。これから一年、各地を回るのさ。新作のフェアリードールとして」

 フェアリードールとは、この劇団では人間を改造して作ったドールのことだった。一度改造されると完全に融合してしまい、自力で脱ぐことはできない着ぐるみだった。

 「そんな・・・」

 美少女着ぐるみは絶望の声を上げたが、彼女の人形として扱われる初日でしかなかった。
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