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(一)わたしゼンタイフェチ子よ

寝姿は家族に見せられない(4)

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 布団に潜り込んだピンクの人の形をしたなにか。それが私の姿を見たらそう見えるのだろう。私は全身の心地よい拘束感に酔いしれ始めた。

 ゼンタイの事を第二の皮膚に覆われることであり、また全身を性感帯に変えてしまうといった言葉で表現されることがある。第二の皮膚は人間としての体表を余すところなく覆うからであるからであり、外観上は人間にみえなくなるからだ。そして性感帯とはエッチな気分になることらしい。

 実は私はヴァージンなので、性感帯の意味が分からないのだ本当に。初体験をしたと自慢する同級生の話を軽蔑しつつも羨ましいと思って聞いたことがあるけど・・・よくわからなかった。なんだって初恋が高校生になってから・・・って、私はやっぱ遅すぎるのかしら?

 それはともかく、私はゼンタイの手袋で覆われた掌で自分の身体のあちらこちらを触っていた。いま人間の姿を捨て去り、人の形をした布の塊が蠢いていた。そして股間や胸など普段は絶対触らないところもはずかしがることなく触りまくっていた。

 もし、その光景を他の人が見たらこう思うだろう”変態”と。ピンクの触覚とかした掌は甘い声を奏でながら恍惚感に耽っていた! しかし、まずい事に気付いた! このままじゃばれてしまう! ゼンタイを着て官能に耽っていることを!
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