もし俺の嫁がリアルにやってきたら

一・俺の嫁来る！

俺の嫁（３）

　「愛莉」というのは俺が特注した美少女マスクに名付けた名前だった。その名前は美少女アニメのキャラクターから取ったもので、顔もそのキャラクターのイメージに沿ったものにしてもらった。その「愛莉」を作ってもらったのはアイリス工房で結構お金がかかってしまった。

　その「愛莉」が肉体を獲得して目の前にいる！　なんてこった！　嬉しい！　と心ははしゃいでいたけど、ふとこんな事を思った。「俺の嫁」としてファンタジーな力によってマスクに魂が宿って立ち上がったのではないか？

　それで、俺は押し入れを開けて俺が注文した「愛莉」が入っている箱を開けてみた。そこにはマスクが収まっていた！　すると目の前にいる「愛莉」は、どこかの誰かが分からない女が着ぐるみマスクを被っているということになる！　でも「愛莉」は唯一無二の存在だったはずなのに・・・

　だが、よく見ると少し違いがあることに気付いた。瞳の色が若干明るい色で、髪の毛が俺が注文した栗色ではなくブロンズに近いカラーだった。するとおこの女は・・・そう思っていると「愛莉」が磁気ボードにこう書いた。

　”なにかしてあげるわ”

　それで、俺はこんな頼み事をした。

　「じゃあ、なにかご飯作ってくれない？　ある物で！」

　それを聞いて彼女は少し頭を傾けた後こう書いた。

　”ゴム手袋かしてよ”

　着ぐるみ美少女の「内臓」は全身肌タイツを着用しているので、そうしなければならないのは自明の理だった。”彼女”の皮膚は布だったから！