ゼンタイシンドロームな人々!

ジャン・幸田

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弐:朝起きてみたらゼンタイ姿のようになっていた件

4.女戦闘員でもいいの?

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 「戦闘員が街にいっぱい?」

 私は訳が分からなかった。テレビでは私が住んでいる街が封鎖されている事しか報道していなかった。また封鎖によって運転を取りやめた電車など交通機関への影響を伝えているのに、一体何が起きているのかは一切報じていなかった。いくら首相の忖度をする報道機関といったって伝えなさすぎじゃないのかと勘ぐっていた。それはともかく、私の頭の中では想像はするけどイメージが湧かなかった。

 「なんかね、聞いた話だとゼンタイを着たような状態になったら、収容しようと思ったんだけど数が多すぎて断念したそうだよ。だから自宅待機になったけど、僕のようにまだ変化が現れていないのは、近くの避難所に行けと言われたんだ。でも、恐いだろう」

 「なにが?」

 「なんていうか自衛隊やら警察官やらがいっぱいいるんだから」

 隆治は仲間内ではものすごく臆病な男だと有名だった。ホラー映画も一人どころかみんなでいっても真面にみれないほどだと。

 「いいけど、私のようになってもいいの? このよくわからない姿になったらどうされるのかわからないんだよ?」

 そういったところで私は不安になった。このゼンタイ姿になるのが伝染するもので社会を守るために隔離された後の事を。まあ殺されたりしないだろうけど。

 「いいんだよ。さっきみたそのゼンタイ姿になった人を見たら僕もなりたくなったんだ!」

 「へ? どういうことなのよ!」

 「実は、ゼンタイに興味があって・・・」

 「ま、まさか、あなたってゼンタイフェチかなんかなの?」

 私の口からスットンキョンな声がでてきた。まさかゼンタイフェチが身の回りにいたなんて・・・

 「いや、違うよ! 興味だけ。直接近くで見たくなったわけ。それに、もしかするとその危機を脱する方法を見つけられるかもしれないじゃないかな」

 「それなら・・・来てもいいわよ。でも、変な事はしないでよ! 約束!」

 結局隆治が来るのを構わないといったけど、不安でしかなかった。今の私は真っ赤なゼンタイを着た女戦闘員、もし文字かエンブレムでもあればその組織の一員かと思えるけど、今の私は真っ赤な姿だった。その赤の布地状の組織の下に人間としての私が囚われていた。

 そんなことを思いながら外の様子を見てみた。近くの幹線道路には防護服を着た自衛隊のような人物が見えたかと思うと、近くでは色とりどりの人間の影が見えた。それらはみんなゼンタイ姿になってしまう謎の伝染病の被害者たちだった。
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