ゼンタイシンドロームな人々!

ジャン・幸田

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弐:朝起きてみたらゼンタイ姿のようになっていた件

2.脱げないよ!

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 鏡を写る自分の姿に唖然とした私は着ていたパジャマを脱いでみた。やっぱり全身が真っ赤になっていた。正確に言えば全身タイツいわゆるゼンタイに覆われているような状態だった。ゼンタイは伸縮性のある化学繊維素材だと聞いたことがあるので、全身を覆っているのはやっぱタイツ地なのだと分かって一安心した。

 というのもタイツならば脱げるはずだと思ったからだ。そこで私はファスナーがないかと探していた。というのもたしかゼンタイは背中にファスナーがあるんだろうと思ったからだ。私はその時までゼンタイを着たことは無かったけど、なんとなくそんな話を聞いたことがあったのだ。

 ファスナーを探して自分の手で触れるとなんともいえない接触による感覚が心地いいモノにかんじていた。しかしなんでこんな姿になったのかという疑問はその時起きなかった。ともかく私はファスナーを探していた。

 しかし、おかしなことに気付いた。タイツ地が完全に私の肌と一体化しているのだ。どんなにキツイ下着でも触れば衣擦れというか少しは肌との隙間が生じるはずなんだけど、そういったものがなかったのだ。タイツ地は完全に私の皮膚のようになっていた。それと髪の毛も無くなっているような感じがした。私は結構長い髪をしているはずなのに、髪の毛があるような感触がないのだ。

 それから私は脇の下や股間、はたまた足の裏までさわったのだが、恐ろしい事に気が付いた。私は今のゼンタイ姿から変われるはずがない事に! だってファスナーがないし完全に皮膚と一体化しているからだ。そうゼンタイが私の皮膚そのものになっていたのだ!

 取りあえずテレビをつけてみると、たしかに私が住んでいる一帯が封鎖されているのがわかった。しかしその理由は報道されなかった。そこで私はSNSで情報を確認することにした。それによれば私と同じような姿になって困惑している人が大勢いるようだった。

 そういった人に共通するのは様々な色合いをしたゼンタイ姿に驚いているというものだった。なんでゼンタイフェチじゃないのにこんなことになったんかと・・・それにしても日本がどこかの大陸の大国のようにすぐさま情報管制が取れない事はある意味良かったとおもった。にしても何が起きているのかはっきりしないという事に変わらないけど。

 そうしているうちに、外では自衛隊のヘリコプターが飛来しているのが分かった。どうも政府は訳が分からないのでとりあえず封鎖しようとしているようだった。これって私たちは病気に犯されたという訳なのよ!
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