42 / 54
結婚式をぼっちで挙げた花嫁は探偵をする(旧題:結婚式で勘違いしていたと破棄されたあとに)
【1】花婿不在!
しおりを挟む
とある国では新婚旅行の帰りに離婚することがあるという。それは互いに思っていたのと相手が違っていた! そんな幻滅をしたため、これから暮らしていくなんて無理! 無理! ということで別れるというわけだ。また、離婚裁判で婚姻が継続しがたい理由として認められているひとつに「性格の格抜きの不一致」というものがある。これは判事の遠回しな言い方であるが、ズバリいえば「性的嗜好が違いすぎる」ということである。実際、知り合いがこれで離婚されたが、ここでは話がズレるので何が起きたがについては、ご想像にお任せする。
結婚式というものは人生の一区切りである。恋愛小説ならクライマックスであり、ハッピーエンドで終わるのが約束事である。結婚してから主人公たちが幸せにならない話では、結婚式を描く意味はない。でも、この物語は違っていた。
とある国の教会で大勢の人々が参列して盛大な結婚式が行われようとしていた。その結婚式の規模は大きく、参列者として招待されていない数多くの人々が教会を取り巻いていた。その全てが新郎新婦の幸せな姿をこの目に焼き付きたいと願っていた。
その日の朝、新婦となるローズマリーは待合室で婚礼衣装を着付けていた。その日の結婚式はその国でも有数な金持ち同士によるものだった。一種の政略結婚であり注目が集まっていた。
「ローズマリーさま、お美しいですね」
着付けを担当する女性の言葉は誉め言葉ではなく真っ当な評価だった。おそらく千人中が千人とも必ずそういうはずであった。
「ありがとう! それにしてもダグラスさまが来ないけど?」
それは新郎のことだった。実は彼とはその日初めて会うことになっていた。理由は分からないが先方によればそうすれば幸せになると占い師にいわれたのだという。それにしても結婚相手と結婚式まであってはならないなんていうのはあり得るのだろうか? そんな疑問を抱いていた。
「そうですねえ、おかしいですね。さっきお見かけしたのですけど。お写真通りのお方でした」
着付け係はそういったが、この時事態が大きく動いていた。外が慌ただしかったのだ。大勢の男たちがやかましく怒鳴りながら走り回っていた。しばらくすると、教会の案内係から式が始まるという連絡があった。
ローズマリーは父親のアルバートに手を引かれバージンロードを歩みだした。彼女たちは聖歌隊の清らかな歌声に迎え入れられ参列者から視線を浴びていた。でも、違和感があった。なにかがおかしいのだ。
参列者の中に動揺が走っているのを感じ取っていたが、祭壇前で待っている神父にむかっていった。近づくにつれおかしな点に気付いた。祭壇には数多くの者が並んでいたが、いるべき者がいなかったのだ。ダグラスだ!
「それでは予定通りに始めたいと思います。本日はダグラス・ホッパーとローズマリー・レッシングの結婚の誓いを執り行うはずですが・・・まあ、なんていうことでしょう、片方がおりません。これっていかなるものですか?」
神父は呆れたといった声を出していた。結婚式が始まったというのに新郎がいないのだ! その場にいた者は気付いていた。新郎側が重大な何かを隠していることを。
結婚式というものは人生の一区切りである。恋愛小説ならクライマックスであり、ハッピーエンドで終わるのが約束事である。結婚してから主人公たちが幸せにならない話では、結婚式を描く意味はない。でも、この物語は違っていた。
とある国の教会で大勢の人々が参列して盛大な結婚式が行われようとしていた。その結婚式の規模は大きく、参列者として招待されていない数多くの人々が教会を取り巻いていた。その全てが新郎新婦の幸せな姿をこの目に焼き付きたいと願っていた。
その日の朝、新婦となるローズマリーは待合室で婚礼衣装を着付けていた。その日の結婚式はその国でも有数な金持ち同士によるものだった。一種の政略結婚であり注目が集まっていた。
「ローズマリーさま、お美しいですね」
着付けを担当する女性の言葉は誉め言葉ではなく真っ当な評価だった。おそらく千人中が千人とも必ずそういうはずであった。
「ありがとう! それにしてもダグラスさまが来ないけど?」
それは新郎のことだった。実は彼とはその日初めて会うことになっていた。理由は分からないが先方によればそうすれば幸せになると占い師にいわれたのだという。それにしても結婚相手と結婚式まであってはならないなんていうのはあり得るのだろうか? そんな疑問を抱いていた。
「そうですねえ、おかしいですね。さっきお見かけしたのですけど。お写真通りのお方でした」
着付け係はそういったが、この時事態が大きく動いていた。外が慌ただしかったのだ。大勢の男たちがやかましく怒鳴りながら走り回っていた。しばらくすると、教会の案内係から式が始まるという連絡があった。
ローズマリーは父親のアルバートに手を引かれバージンロードを歩みだした。彼女たちは聖歌隊の清らかな歌声に迎え入れられ参列者から視線を浴びていた。でも、違和感があった。なにかがおかしいのだ。
参列者の中に動揺が走っているのを感じ取っていたが、祭壇前で待っている神父にむかっていった。近づくにつれおかしな点に気付いた。祭壇には数多くの者が並んでいたが、いるべき者がいなかったのだ。ダグラスだ!
「それでは予定通りに始めたいと思います。本日はダグラス・ホッパーとローズマリー・レッシングの結婚の誓いを執り行うはずですが・・・まあ、なんていうことでしょう、片方がおりません。これっていかなるものですか?」
神父は呆れたといった声を出していた。結婚式が始まったというのに新郎がいないのだ! その場にいた者は気付いていた。新郎側が重大な何かを隠していることを。
0
お気に入りに追加
146
あなたにおすすめの小説

交換された花嫁
秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
「お姉さんなんだから我慢なさい」
お姉さんなんだから…お姉さんなんだから…
我儘で自由奔放な妹の所為で昔からそればかり言われ続けてきた。ずっと我慢してきたが。公爵令嬢のヒロインは16歳になり婚約者が妹と共に出来きたが…まさかの展開が。
「お姉様の婚約者頂戴」
妹がヒロインの婚約者を寝取ってしまい、終いには頂戴と言う始末。両親に話すが…。
「お姉さんなのだから、交換して上げなさい」
流石に婚約者を交換するのは…不味いのでは…。
結局ヒロインは妹の要求通りに婚約者を交換した。
そしてヒロインは仕方無しに嫁いで行くが、夫である第2王子にはどうやら想い人がいるらしく…。
夫と息子は私が守ります!〜呪いを受けた夫とワケあり義息子を守る転生令嬢の奮闘記〜
梵天丸
恋愛
グリーン侯爵家のシャーロットは、妾の子ということで本妻の子たちとは差別化され、不遇な扱いを受けていた。
そんなシャーロットにある日、いわくつきの公爵との結婚の話が舞い込む。
実はシャーロットはバツイチで元保育士の転生令嬢だった。そしてこの物語の舞台は、彼女が愛読していた小説の世界のものだ。原作の小説には4行ほどしか登場しないシャーロットは、公爵との結婚後すぐに離婚し、出戻っていた。しかしその後、シャーロットは30歳年上のやもめ子爵に嫁がされた挙げ句、愛人に殺されるという不遇な脇役だった。
悲惨な末路を避けるためには、何としても公爵との結婚を長続きさせるしかない。
しかし、嫁いだ先の公爵家は、極寒の北国にある上、夫である公爵は魔女の呪いを受けて目が見えない。さらに公爵を始め、公爵家の人たちはシャーロットに対してよそよそしく、いかにも早く出て行って欲しいという雰囲気だった。原作のシャーロットが耐えきれずに離婚した理由が分かる。しかし、実家に戻れば、悲惨な末路が待っている。シャーロットは図々しく居座る計画を立てる。
そんなある日、シャーロットは城の中で公爵にそっくりな子どもと出会う。その子どもは、公爵のことを「お父さん」と呼んだ。

キャンプに行ったら異世界転移しましたが、最速で保護されました。
新条 カイ
恋愛
週末の休みを利用してキャンプ場に来た。一歩振り返ったら、周りの環境がガラッと変わって山の中に。車もキャンプ場の施設もないってなに!?クマ出現するし!?と、どうなることかと思いきや、最速でイケメンに保護されました、
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
片想いの相手と二人、深夜、狭い部屋。何も起きないはずはなく
おりの まるる
恋愛
ユディットは片想いしている室長が、再婚すると言う噂を聞いて、情緒不安定な日々を過ごしていた。
そんなある日、怖い噂話が尽きない古い教会を改装して使っている書庫で、仕事を終えるとすっかり夜になっていた。
夕方からの大雨で研究棟へ帰れなくなり、途方に暮れていた。
そんな彼女を室長が迎えに来てくれたのだが、トラブルに見舞われ、二人っきりで夜を過ごすことになる。
全4話です。
命を狙われたお飾り妃の最後の願い
幌あきら
恋愛
【異世界恋愛・ざまぁ系・ハピエン】
重要な式典の真っ最中、いきなりシャンデリアが落ちた――。狙われたのは王妃イベリナ。
イベリナ妃の命を狙ったのは、国王の愛人ジャスミンだった。
短め連載・完結まで予約済みです。設定ゆるいです。
『ベビ待ち』の女性の心情がでてきます。『逆マタハラ』などの表現もあります。苦手な方はお控えください、すみません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる