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幼稚な正義感の名の下で
サブリナの真実
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そのときギャルソンは違法行為を糾弾されることよりも信じているサブリナが糾弾されることが苦痛であった。
その時の彼の頭の中はサブリナは聖女であり正義、キャロルはいじめっ子で悪魔、と認識していたからだ。
「あの女が! キャロルがイジメているって事を何度も聞かされているんだ! それに俺はあの女が階段から突き落とすのを見ているし、机に陰惨な落書きをされたのも見ている! サブリナは被害者なのに!」
ギャルソンは荒れ狂っていたが目の前の男は冷静だった。
「それはないな、君! なんだってキャロル・オーガストさんは我が国にとって重要人物なんだ。だから学校内では常に警備対象になっているんだ。それは本人も知らされていない事さ。君が通っている学校の教師や生徒の中にも情報部員のエージェントが何人もいるのさ。詳細は言う事は出来ないが、君の好きなサブリナは気を引くためにウソを言っていたんだ。そもそも学校内でサブリナが主張するのを真面に信じていたのは君ぐらいさ」
「嘘だ! ウソだ! ウソをいいやがって! なぜあの女の、あの女をかばうんだ! それにあんたら何者だよ! なぜ俺の家の家族会議にいるんだよ!」
その時、ギャルソンの父親が頬をぶん殴った! ギャルソンにとって殴られるのは初めてだった。
「何するんだよ!」
「いい加減目を覚ませ! すでに報告を受けているんだ。お前とキャロルさんとの婚約式を早くすればよかったと後悔しているぞ。そこまでキャロルさんの箏を疎ましく思っていたなんて」
「そうさ! 疎ましかったんだ! なんであんな地味な女と結婚しなきゃいけないんだよ!」
「それはな・・・モルトケ家も本来は赤い竜の血を受けづいてきた家だったんだ。しかし、絶えてしまったんだ。そこのあたりの話は出来ないが・・・興味ないだろうしな。もうすべては遅すぎるのさ。キャロルさんは目覚めてしまったんだからな」
ギャルソンは父親が言っていることが理解できなかった。
「わからねえ、じゃあ俺なんだよ! 兄貴でもよかっただろうに!」
「それはな出来ない事さ。誰でもいいわけじゃないんだ。お前が適合していたはずなんだが・・・気持ちは離れていたんだな。でもな、これだけは言う! そのサブリナという娘と結婚するのは許さない! したいというなら勘当だな!」
「サブリナを認めないだと! なぜなんだ! 俺たちは愛し合っているというのに!」
「決まっているじゃないか! 婚約者がいると知っていて奪おうとする娘なんか、信用できないからだ。それにご禁制のあのお茶を裏で売ろうと持ち掛けた娘だしな」
「なぜ、それを知っているんだ、親父?」
「決まっているんじゃないか、そのサブリナって娘はすでに警察に拘束されているんだからな。それとキャロルさんが男と関係を持っている写真を撮った連中もそうだ。お前が知らないうちに・・・」
そういうとギャルソンの父は突き飛ばした。その行為にはやりきれないといった怒りが籠っていた。
「じゃあ、サブリナと俺は?」
「ああ、出来ないさ。したければこの家から出ろ。でもな、サブリナの目的は金回りの良い金持ちの息子と結婚する事だそうだから、お前は苦労するだろうな。そんな女と結婚してもダメだっただろうな。ウソを平気なんだからな」
ギャルソンは信じていたサブリナを否定されて打ちのめされて、心が折れそうになった。キャロルという婚約者を捨てる事が正義だと信じていたのに、何故なんだと。モルトケ家が重苦しい空気に支配されていた時、美しい金髪をなびかせた少女が入ってきた。その少女が誰なのかわからなかった。
「お、お前は?」
「私よ! キャロル・オーガストよ!」
「?????」
そこには地味だったキャロルではなかった。赤い竜の血を受けづく娘の能力が覚醒したキャロルだった。その顔を見たときギャルソンは何が起きたのか分からなかった。
「モルトケさん。あなたたちご夫婦は好きでしたが、ご令息は好きではありませんでした。私がサブリナさんをイジメているなんて戯言を信じて私の貞操を奪おうとした男との婚約破棄が出来て嬉しく思います」
「ちょっとまて、なら何故否定しなかったんだ!サブリナがウソを言っていると!」
「決まっているじゃないですか、聞かれなかったからです。それに、昔から私が話しかけても無視するか無関心な態度じゃないですか? それに婚約式が終わっていないのに、学校で婚約者として振舞えるわけありませんよね? あなた知らないんですか?」
「そんなの・・・知らん! サブリナの方がよかったんだからな。それにしても何故綺麗になったんだお前!」
「それは覚醒したからよ! 本当はあなたと夫婦の契りをすれば手に入れることは出来たのに残念ね」
「なにが残念なんだ!」
そういってキャロルにギャルソンが飛びかかろうとしたが、男二人に阻止された。
「なにするんだよ!」
「まあ、落ち着け! キャロルさんはお前さんとの婚約を解消するために来たんだよ。よかったな、お前の希望通りになって」
ギャルソンは男に皮肉っぽく言われた。キャロルとの婚約を破棄するのが目的だったが、思い描いていたものと違っていた。
その時の彼の頭の中はサブリナは聖女であり正義、キャロルはいじめっ子で悪魔、と認識していたからだ。
「あの女が! キャロルがイジメているって事を何度も聞かされているんだ! それに俺はあの女が階段から突き落とすのを見ているし、机に陰惨な落書きをされたのも見ている! サブリナは被害者なのに!」
ギャルソンは荒れ狂っていたが目の前の男は冷静だった。
「それはないな、君! なんだってキャロル・オーガストさんは我が国にとって重要人物なんだ。だから学校内では常に警備対象になっているんだ。それは本人も知らされていない事さ。君が通っている学校の教師や生徒の中にも情報部員のエージェントが何人もいるのさ。詳細は言う事は出来ないが、君の好きなサブリナは気を引くためにウソを言っていたんだ。そもそも学校内でサブリナが主張するのを真面に信じていたのは君ぐらいさ」
「嘘だ! ウソだ! ウソをいいやがって! なぜあの女の、あの女をかばうんだ! それにあんたら何者だよ! なぜ俺の家の家族会議にいるんだよ!」
その時、ギャルソンの父親が頬をぶん殴った! ギャルソンにとって殴られるのは初めてだった。
「何するんだよ!」
「いい加減目を覚ませ! すでに報告を受けているんだ。お前とキャロルさんとの婚約式を早くすればよかったと後悔しているぞ。そこまでキャロルさんの箏を疎ましく思っていたなんて」
「そうさ! 疎ましかったんだ! なんであんな地味な女と結婚しなきゃいけないんだよ!」
「それはな・・・モルトケ家も本来は赤い竜の血を受けづいてきた家だったんだ。しかし、絶えてしまったんだ。そこのあたりの話は出来ないが・・・興味ないだろうしな。もうすべては遅すぎるのさ。キャロルさんは目覚めてしまったんだからな」
ギャルソンは父親が言っていることが理解できなかった。
「わからねえ、じゃあ俺なんだよ! 兄貴でもよかっただろうに!」
「それはな出来ない事さ。誰でもいいわけじゃないんだ。お前が適合していたはずなんだが・・・気持ちは離れていたんだな。でもな、これだけは言う! そのサブリナという娘と結婚するのは許さない! したいというなら勘当だな!」
「サブリナを認めないだと! なぜなんだ! 俺たちは愛し合っているというのに!」
「決まっているじゃないか! 婚約者がいると知っていて奪おうとする娘なんか、信用できないからだ。それにご禁制のあのお茶を裏で売ろうと持ち掛けた娘だしな」
「なぜ、それを知っているんだ、親父?」
「決まっているんじゃないか、そのサブリナって娘はすでに警察に拘束されているんだからな。それとキャロルさんが男と関係を持っている写真を撮った連中もそうだ。お前が知らないうちに・・・」
そういうとギャルソンの父は突き飛ばした。その行為にはやりきれないといった怒りが籠っていた。
「じゃあ、サブリナと俺は?」
「ああ、出来ないさ。したければこの家から出ろ。でもな、サブリナの目的は金回りの良い金持ちの息子と結婚する事だそうだから、お前は苦労するだろうな。そんな女と結婚してもダメだっただろうな。ウソを平気なんだからな」
ギャルソンは信じていたサブリナを否定されて打ちのめされて、心が折れそうになった。キャロルという婚約者を捨てる事が正義だと信じていたのに、何故なんだと。モルトケ家が重苦しい空気に支配されていた時、美しい金髪をなびかせた少女が入ってきた。その少女が誰なのかわからなかった。
「お、お前は?」
「私よ! キャロル・オーガストよ!」
「?????」
そこには地味だったキャロルではなかった。赤い竜の血を受けづく娘の能力が覚醒したキャロルだった。その顔を見たときギャルソンは何が起きたのか分からなかった。
「モルトケさん。あなたたちご夫婦は好きでしたが、ご令息は好きではありませんでした。私がサブリナさんをイジメているなんて戯言を信じて私の貞操を奪おうとした男との婚約破棄が出来て嬉しく思います」
「ちょっとまて、なら何故否定しなかったんだ!サブリナがウソを言っていると!」
「決まっているじゃないですか、聞かれなかったからです。それに、昔から私が話しかけても無視するか無関心な態度じゃないですか? それに婚約式が終わっていないのに、学校で婚約者として振舞えるわけありませんよね? あなた知らないんですか?」
「そんなの・・・知らん! サブリナの方がよかったんだからな。それにしても何故綺麗になったんだお前!」
「それは覚醒したからよ! 本当はあなたと夫婦の契りをすれば手に入れることは出来たのに残念ね」
「なにが残念なんだ!」
そういってキャロルにギャルソンが飛びかかろうとしたが、男二人に阻止された。
「なにするんだよ!」
「まあ、落ち着け! キャロルさんはお前さんとの婚約を解消するために来たんだよ。よかったな、お前の希望通りになって」
ギャルソンは男に皮肉っぽく言われた。キャロルとの婚約を破棄するのが目的だったが、思い描いていたものと違っていた。
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