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幼稚な正義感の名の下で
婚約者なんか!
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セイラは本当はキャロルは二重性格ではないかと思っていた。官舎にいるときは天真爛漫なのに学校では大人しく目立たない存在だった。それで理由を聞いてみるといつもこういうのだ、「演じているのよ」と。なんでもキャロルの母の指導だという。
キャロルの母、クリスティも「赤い竜の血を受けづく女」だ。赤い瞳の燃えるような金髪を持つ美人だ。でもキャロルは顔立ちは似ていても灰色の瞳と髪の毛であった。そのような姿になるのは「結婚した後」というのであるが、キャロルは具体的に何をすればそうなるのかを教えてもらったことはなかった。ただ確かなのは「婚約者以外の男が魅了しては困るので、学校では地味にするように」と言われていた。
「キャロル、いつも思うけどモルトケと婚約破棄をすれば、素敵な男に出会えるかもしれないわよ。まあ、あたしには彼氏いないけどね」
「そうねえ、そう思うわ。でもね無理よね、両親に悪いし向こうにも悪いし・・・」
キャロルはギャルソンの家族の方が気になった。ギャルソンの両親は結構優しいしドレスなどをプレゼントしてもらうこともあった。でも、ギャルソンは自分の方に寄り添う事はほぼなかった。ホームパーティーなんかで無理やり並ばされても嫌々な態度だった。せめてギャルソンには最低限の挨拶ぐらいしてほしかった。
「そうなんだあ! でもモルトケは学級委員長にぞっこんよ! 手を繋いだりデートにいったりしてね。この前なんか・・・あ、ごめんなさい! 要らないことをいってしまったね」
「いいのよ、そうするのは向こうの勝手なんだから! 本当に婚約者なんか! あ、ごめんね愚痴をいってしまったわ」
キャロルはギャルソンの態度から、もしかすると両親への反発があるとおもっていた。本人たちの意志なんか関係なしに勝手に決めた婚約。今の時代にそぐわないと。それにしても、自分の方は自制しているというのにギャルソンはどんどんプレイボーイになっていくのが許せなかった。でも、面と向かって抗議したくても、話す機会すらなかった。一緒の学校に通っているのに視線にすら入ってこないし。
「しかたないわね・・・婚約者の自覚ないのよね。反省してもらわないといけないけど。なんか手段ないかしら?」
セイラはそういっていると次の授業をする教師が入ってきたので、あわてて席に着いた。
「はい、授業を始めるから、席に戻って!」
教師の言葉でさっきまで騒がしかった教室が静かになった。そのときキャロルは視線を感じた。それはサブリナの競争意識に溢れた悪意に満ちた視線だった。呼び出したというのは絶対なにかを企んでいた。そのとき、キャロルはこう思っていた。ギャルソン・モルトケのことなの? あんな婚約者なんかいらないから、あんたが貰えばいいでしょ! 勝手に! かえってそうしてほしいものだわ!
キャロルの母、クリスティも「赤い竜の血を受けづく女」だ。赤い瞳の燃えるような金髪を持つ美人だ。でもキャロルは顔立ちは似ていても灰色の瞳と髪の毛であった。そのような姿になるのは「結婚した後」というのであるが、キャロルは具体的に何をすればそうなるのかを教えてもらったことはなかった。ただ確かなのは「婚約者以外の男が魅了しては困るので、学校では地味にするように」と言われていた。
「キャロル、いつも思うけどモルトケと婚約破棄をすれば、素敵な男に出会えるかもしれないわよ。まあ、あたしには彼氏いないけどね」
「そうねえ、そう思うわ。でもね無理よね、両親に悪いし向こうにも悪いし・・・」
キャロルはギャルソンの家族の方が気になった。ギャルソンの両親は結構優しいしドレスなどをプレゼントしてもらうこともあった。でも、ギャルソンは自分の方に寄り添う事はほぼなかった。ホームパーティーなんかで無理やり並ばされても嫌々な態度だった。せめてギャルソンには最低限の挨拶ぐらいしてほしかった。
「そうなんだあ! でもモルトケは学級委員長にぞっこんよ! 手を繋いだりデートにいったりしてね。この前なんか・・・あ、ごめんなさい! 要らないことをいってしまったね」
「いいのよ、そうするのは向こうの勝手なんだから! 本当に婚約者なんか! あ、ごめんね愚痴をいってしまったわ」
キャロルはギャルソンの態度から、もしかすると両親への反発があるとおもっていた。本人たちの意志なんか関係なしに勝手に決めた婚約。今の時代にそぐわないと。それにしても、自分の方は自制しているというのにギャルソンはどんどんプレイボーイになっていくのが許せなかった。でも、面と向かって抗議したくても、話す機会すらなかった。一緒の学校に通っているのに視線にすら入ってこないし。
「しかたないわね・・・婚約者の自覚ないのよね。反省してもらわないといけないけど。なんか手段ないかしら?」
セイラはそういっていると次の授業をする教師が入ってきたので、あわてて席に着いた。
「はい、授業を始めるから、席に戻って!」
教師の言葉でさっきまで騒がしかった教室が静かになった。そのときキャロルは視線を感じた。それはサブリナの競争意識に溢れた悪意に満ちた視線だった。呼び出したというのは絶対なにかを企んでいた。そのとき、キャロルはこう思っていた。ギャルソン・モルトケのことなの? あんな婚約者なんかいらないから、あんたが貰えばいいでしょ! 勝手に! かえってそうしてほしいものだわ!
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