【中編小説集】婚約破棄して”ざまあ!”になった人々の話

ジャン・幸田

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幼稚な正義感の名の下で

婚約者がイジメ?

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 とある古代の国の出来事だ。側妃の一人が自分の息子を次期国王にするため企んだ事があった。自分の服に蜂蜜をつけて虫がたかる様にしたのだ。そして別の側妃の息子で次期国王の最有力だった王子の前にいった。そのとき虫がたかってきたので心優しい王子はたたきはたいたが、その光景を国王が見ていた。その国王は王子がイジメていると勘違いしてしまった。そして王子を幽閉し、次期国王には蜂蜜をつけた側妃の息子が即位した。

 その側妃の企みはまんまと成功したが、ひとつ落ち度があった。本人たちに国王として才覚が全くなかったことだ。結果として二人とも失脚し非業の最期を迎えたという。また前国王が騙されたと知った時には嵌められた王子
ともども抹殺されたという。

 このように正義感からした行為は実は不正行為に加担したことになり、結果として最悪な結末を迎える事は珍しくない。それは古今東西起きることである。男女関係では。

 「あのキャロルがひどいことを?」

 令息のギャルソンは絶句していた。婚約者のキャロルが同級生のサブリナをイジメているという。それも陰湿かつ継続的にだという。そうサブリナが訴えるのだ。しかも同級生たちも同じことを主張しており、そう証言するのだ。

 キャロルとは幼い時からの婚約者で、成人年齢とされる18歳になると結婚することが決まっていたが、実はギャルソンは女と認識出来ていなかった。幼い時から何を考えているのか分からないほど無口で、波長が合わないと思ってきたのだ。だからギャルソンは学校では別の女友達と会話することが多く、事情を何も知らない生徒には婚約者同士というのすら分からないほどだった。

 そんなキャロルが他の生徒をイジメているなんて。女というのは恐ろしいものである。おとなしくても裏では恐ろしい事をしている。それならば制裁しなければならない。

 ギャルソンの正義感はキャロルを糾弾すべしと燃えていた。しかしこの時彼は気付いていなかった。全ては陰謀だということを。自分がまだ直接みたわけではないし、そもそもキャロルは可能な限り学園内では他人と交わるのを避けていることを知らなかった。キャロルの異能が発動しないために。

 それを知らぬギャルソンは正義の実現のために思い付いた。この際だから鬱陶しい存在のキャロルとの関係を遮断しようと。そうすれば本当に恋仲になるかもしれないサブリナと恋人になれるかもしれないし、周囲も結婚相手として認めてくれるかもしれない。

 ギャルソンはサブリナを助けるために行動することにした。それが自身にとって重大な結果をもたらすとも知らずに・・・
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