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不良令息が婚約破棄すれば
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ウォリスがアリスとの婚約を破棄した時、自分は最強だと自惚れていた。世界は自分中心に回っていると思い込んでいた。士官学校の教官たちに邪魔されることもないし、平民に対し不良仲間と狼藉を働いてもとがめられることはなかった。司法警察も恐れをなしている、そう考えていた。
そんなウォリスがアリスとの婚約を破棄したとする書類を宮内省に提出したのは士官学校卒業直前であった。アリスを公衆の面前で辱めを与えて数日後でもあった。その書類は全て虚偽で塗り固められていた。
理由としてアリスは婚約中にも関わらず別の男性と関係を持ったというものだ。その「証拠」として目撃談などが記された証言をまとめたものであったが、それらは不良仲間のものだったり強要により虚偽するように圧力を受けた人物によるものであった。また別途、提出されたのは新たな「婚姻契約願」であった。それは別の男爵令嬢とのもので、仲良くなった不良令嬢で、アリスに辱めを与えたときも一緒にいた。
そして極めつけは、それらの書類をウォリスの父も承認したという文書も一緒だったことだ。その文書も偽造されたものであった。ウォリスの父はずいぶん前から彼のやることなすこと全て放任していたし、関心を持とうともしていない態度であるかのようだった。
それらからわかるように、虚偽でも書類の形式が整っておりさえすれば全て思い通りになるとウォリスは信じていた。アリスという整いすぎた優等生でも気取っているような娘よりも、一緒に悪徳の限りを一緒にやってくれるワルな娘を妻に迎えたいと。
書類を提出して数日後、ウォリスは呼び出された。通常なら無視してしまうところだが、「婚姻契約願」に関するものだとあったので行く事にした。でも指定されたのは海軍本部がある建物だった。それはおかしいと薄々思っていたが、これから起きることは全く想像もできなかった。
「ウォリス・バクスター士官候補生入ります!」
部屋に通されたとき、目の前には数人の高級軍人らしき者が座っていた。そのとき、一人の男が座るように指示してから話を始めた。
「自分は憲兵隊のジョージ・ブリストルである。今日はこれからの貴官に対する処遇を決定する」
ウォリスは宮内省に提出したのに何故憲兵隊が出てきたのかおかしいとおもったが、ジョージは説明をはじめた。
「今回の事は。小官が宮内省およびバクスター公爵家当主から一任されている。貴官が提出した申請の数々であるが、帝国軍人や帝国貴族どころか、まさに・・・人間のクソ野郎の所業であるな!」
彼の口調は冷静であったが、言葉に限りなくすごみはあった。
「あの・・・」
ウォリスが発言しようとしたが、ジョージは遮った。
「この場では、貴官が発言を許されるのは小官が求めたときだけだ! いまは黙っておきたまえ!」
そういって、ジョージはウォリスが提出した書類を目の前に投げつけた。
「貴官は婚約者を変えたいということだが、調べさせてもらったぞ。婚約者のアリス嬢とは全くうまくいっていなかったようだな。原因は貴官がにあるようだな。それなのに、なんだこの証言は? 出鱈目もいいところだな。よくもまあ作ったんだな。こんなので通るなんて考えているなんて・・・頭の中は空か!」
ウォリスはことから起きることを想像することも出来ないほど頭が回らなかったが、これからまずい事が起きるという事だけ理解できた。
そんなウォリスがアリスとの婚約を破棄したとする書類を宮内省に提出したのは士官学校卒業直前であった。アリスを公衆の面前で辱めを与えて数日後でもあった。その書類は全て虚偽で塗り固められていた。
理由としてアリスは婚約中にも関わらず別の男性と関係を持ったというものだ。その「証拠」として目撃談などが記された証言をまとめたものであったが、それらは不良仲間のものだったり強要により虚偽するように圧力を受けた人物によるものであった。また別途、提出されたのは新たな「婚姻契約願」であった。それは別の男爵令嬢とのもので、仲良くなった不良令嬢で、アリスに辱めを与えたときも一緒にいた。
そして極めつけは、それらの書類をウォリスの父も承認したという文書も一緒だったことだ。その文書も偽造されたものであった。ウォリスの父はずいぶん前から彼のやることなすこと全て放任していたし、関心を持とうともしていない態度であるかのようだった。
それらからわかるように、虚偽でも書類の形式が整っておりさえすれば全て思い通りになるとウォリスは信じていた。アリスという整いすぎた優等生でも気取っているような娘よりも、一緒に悪徳の限りを一緒にやってくれるワルな娘を妻に迎えたいと。
書類を提出して数日後、ウォリスは呼び出された。通常なら無視してしまうところだが、「婚姻契約願」に関するものだとあったので行く事にした。でも指定されたのは海軍本部がある建物だった。それはおかしいと薄々思っていたが、これから起きることは全く想像もできなかった。
「ウォリス・バクスター士官候補生入ります!」
部屋に通されたとき、目の前には数人の高級軍人らしき者が座っていた。そのとき、一人の男が座るように指示してから話を始めた。
「自分は憲兵隊のジョージ・ブリストルである。今日はこれからの貴官に対する処遇を決定する」
ウォリスは宮内省に提出したのに何故憲兵隊が出てきたのかおかしいとおもったが、ジョージは説明をはじめた。
「今回の事は。小官が宮内省およびバクスター公爵家当主から一任されている。貴官が提出した申請の数々であるが、帝国軍人や帝国貴族どころか、まさに・・・人間のクソ野郎の所業であるな!」
彼の口調は冷静であったが、言葉に限りなくすごみはあった。
「あの・・・」
ウォリスが発言しようとしたが、ジョージは遮った。
「この場では、貴官が発言を許されるのは小官が求めたときだけだ! いまは黙っておきたまえ!」
そういって、ジョージはウォリスが提出した書類を目の前に投げつけた。
「貴官は婚約者を変えたいということだが、調べさせてもらったぞ。婚約者のアリス嬢とは全くうまくいっていなかったようだな。原因は貴官がにあるようだな。それなのに、なんだこの証言は? 出鱈目もいいところだな。よくもまあ作ったんだな。こんなので通るなんて考えているなんて・・・頭の中は空か!」
ウォリスはことから起きることを想像することも出来ないほど頭が回らなかったが、これからまずい事が起きるという事だけ理解できた。
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