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序・クリスタルレディ
07・改造
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人類の活動範囲を銀河全域に拡大させたのは亜空間躍進超光速航法の発見だった。この宇宙は超古代銀河文明と呼ばれる数十億年まに滅亡した文明社会によって、別の宇宙との連続体の隙間を用いた亜空間が作り出されていた。その原理は全て明らかではないが、おかげで地球人類以外含め多くの文明社会が恩恵を受けている。
地球人類も恩恵を受けていたが問題もあった。亜空間では人類の身体能力が極端に低下するのだ。ある程度の訓練で動くこともできるようになるが、地球上にいる時よりも数十分の一以下になる。原因として亜空間に充満する一種の放射光が神経の伝達速度を著しく低下させているとされる。
そのため、亜空間航法中の宇宙船内の操作は比較的影響を受けない機械まかせにするのだが、それにも欠点があった。時々発生する亜空間電磁パルスによって動作がおかしくなるのだ。その場合、宇宙船の航行システムは自動的に慣性で航行するように設定されているので、運行は問題が発生しないが、船内の機器や乗員の異常に対処できない。そこで亜空間電磁パルスを受けないメタルロイドと呼ばれる改造人間を運行乗務員として搭乗させなければならなかった。
メタルロイドはポルスカ恒星系で誕生した体表を金属で覆われた恒星人類のように地球人類を改造したものである。もちろんポルスカ恒星人を直接雇用できれば問題ないが、需要も多いが人口が少ないので雇うだけで数年で巡洋宇宙艇が一隻建造できる費用が掛かるので、地球統合宇宙軍でも二人しかいなかった。そこで彼らの身体に近い状態に改造するわけだ。
そんなメタルロイドの一種がクリスタルレディだった。運航乗務員は別にいるので彼女らの場合は士官候補生で亜空間で介助を必要とする者たちのために配属されていた。ちなみに女性のほうが男性よりも改造するのが容易で安上がりであった。
チズルは少し怖くなっていた。もう眼を開ける事が出来なくなるからだ。その前に少し大きめのコンタクトを眼球に装着した。そのコンタクトは目をつぶっていても外の光景や状況を知らせる情報が表示されるという物だった。もちろん、眼球自体を人工物に置き換える事もできるが、極力人体の改造は行われないということになっているので、コンタクトをはめるわけだ。
「どお、見えます?」
チズルはそう聞かれ目をつぶってみた。すると、目の前にナンシーの顔が大きく映し出されていた。それは機械子宮のモニターを見ている彼女だった。
「見えます! それにしても何ですかこの文字列は?」
チズルがそう言っていると、眼窩が何かに覆われているのが分かった。これでチズルは目を開ける事が出来なくなった。
「それ? 見えているのなら良いわよ。そうそう、ヴィジョンは何を見せる? 退屈なら映画でも良いけど見たいでしょあなた、人間から備品に変えられる姿を」
ナンシーが言うようにどんなふうに自分がされるのかを見たいという気持ちはあった。でも人間でなくなる光景というのも恐ろしいモノであったが。
「見せてください。それって義務なんでしょ?」
「まあそうねえ、でも自分ではもう脱げないわよ。一度改造されると完全に融合してしまうから。まあ刑罰で改造されるわけじゃないから元に戻せるけどね」
そういうと、目に映るヴィジョンがいまのチズルの姿になった。宙に浮かぶハダカのチズルの頭部は既にヘッドギアのようなもので覆っていた。そして口が大きく開けられていた。そこに巨大なチューブが挿入された。
「!!!!!」
そのとき、チズルの口蓋と鼻腔いっぱいに物質が挿入された。メタルロイドは人間のように呼吸しないし摂食もしないので、その代わりになる生命維持装置を装填されるわけだ。呼吸器は液体呼吸装置にされ、消化器は栄養が循環するジェル状のバイオチップで埋め尽くされた。そして同じように下腹部にもチューブが埋め込まれた。
「どお。機械と融合する気分は? わたしもね実験台として改造されたことがあるから分かるけど、もう一回体験したいわね。男とやるよりも気持ち良いから」
ナンシーは悪戯そうな声で言った。この時の痛みはロストヴァージンよりも痛いけど気持ちいいなんて言っていた時と同じだった。彼女は絶対変態だとチズルは思っていた。でも、タクマと結ばれる事はありえなくても機械に身体を侵されるのは嫌だった。
「どお感想は? あ、いましゃべれないのよね、ごめんね」
そう、ナンシーが言うようにこのとき、チズルは全身に激痛が走っていた。耳、口、肛門だけでなく毛穴にも様々なものが入ってくる感覚に襲われていた。このとき、チズルは皮膚を奪われ、素体と外骨格の中間層に改造されていた。コンタクトに映し出される姿はロボットそのものへと変えられていた。
その姿はまるで金属の甲冑を着せられたかのようであった。ただ違う点といえば女性らしいフォルムになっていたことだ。ウエストはくびれ豊満なウエストとバスト・・・あれ、こんなに胸が大きく綺麗でなかったのにとおもった。
「うーん、まあまあかな。あとは表面を加工するからね。表面層に覆われたらもう人間じゃなくなるからね、あなたは」
チズルは言い返したかったが、何も考えたくも無くなっていた。全身が快感に覆われていたからだ。まるで気持ちのいい温泉にでも浸かっているような夢心地だった。でも、違和感があった。呼吸はしていないし体内が重く感じていた。チズルは人間の身体ではなくなっていた。
地球人類も恩恵を受けていたが問題もあった。亜空間では人類の身体能力が極端に低下するのだ。ある程度の訓練で動くこともできるようになるが、地球上にいる時よりも数十分の一以下になる。原因として亜空間に充満する一種の放射光が神経の伝達速度を著しく低下させているとされる。
そのため、亜空間航法中の宇宙船内の操作は比較的影響を受けない機械まかせにするのだが、それにも欠点があった。時々発生する亜空間電磁パルスによって動作がおかしくなるのだ。その場合、宇宙船の航行システムは自動的に慣性で航行するように設定されているので、運行は問題が発生しないが、船内の機器や乗員の異常に対処できない。そこで亜空間電磁パルスを受けないメタルロイドと呼ばれる改造人間を運行乗務員として搭乗させなければならなかった。
メタルロイドはポルスカ恒星系で誕生した体表を金属で覆われた恒星人類のように地球人類を改造したものである。もちろんポルスカ恒星人を直接雇用できれば問題ないが、需要も多いが人口が少ないので雇うだけで数年で巡洋宇宙艇が一隻建造できる費用が掛かるので、地球統合宇宙軍でも二人しかいなかった。そこで彼らの身体に近い状態に改造するわけだ。
そんなメタルロイドの一種がクリスタルレディだった。運航乗務員は別にいるので彼女らの場合は士官候補生で亜空間で介助を必要とする者たちのために配属されていた。ちなみに女性のほうが男性よりも改造するのが容易で安上がりであった。
チズルは少し怖くなっていた。もう眼を開ける事が出来なくなるからだ。その前に少し大きめのコンタクトを眼球に装着した。そのコンタクトは目をつぶっていても外の光景や状況を知らせる情報が表示されるという物だった。もちろん、眼球自体を人工物に置き換える事もできるが、極力人体の改造は行われないということになっているので、コンタクトをはめるわけだ。
「どお、見えます?」
チズルはそう聞かれ目をつぶってみた。すると、目の前にナンシーの顔が大きく映し出されていた。それは機械子宮のモニターを見ている彼女だった。
「見えます! それにしても何ですかこの文字列は?」
チズルがそう言っていると、眼窩が何かに覆われているのが分かった。これでチズルは目を開ける事が出来なくなった。
「それ? 見えているのなら良いわよ。そうそう、ヴィジョンは何を見せる? 退屈なら映画でも良いけど見たいでしょあなた、人間から備品に変えられる姿を」
ナンシーが言うようにどんなふうに自分がされるのかを見たいという気持ちはあった。でも人間でなくなる光景というのも恐ろしいモノであったが。
「見せてください。それって義務なんでしょ?」
「まあそうねえ、でも自分ではもう脱げないわよ。一度改造されると完全に融合してしまうから。まあ刑罰で改造されるわけじゃないから元に戻せるけどね」
そういうと、目に映るヴィジョンがいまのチズルの姿になった。宙に浮かぶハダカのチズルの頭部は既にヘッドギアのようなもので覆っていた。そして口が大きく開けられていた。そこに巨大なチューブが挿入された。
「!!!!!」
そのとき、チズルの口蓋と鼻腔いっぱいに物質が挿入された。メタルロイドは人間のように呼吸しないし摂食もしないので、その代わりになる生命維持装置を装填されるわけだ。呼吸器は液体呼吸装置にされ、消化器は栄養が循環するジェル状のバイオチップで埋め尽くされた。そして同じように下腹部にもチューブが埋め込まれた。
「どお。機械と融合する気分は? わたしもね実験台として改造されたことがあるから分かるけど、もう一回体験したいわね。男とやるよりも気持ち良いから」
ナンシーは悪戯そうな声で言った。この時の痛みはロストヴァージンよりも痛いけど気持ちいいなんて言っていた時と同じだった。彼女は絶対変態だとチズルは思っていた。でも、タクマと結ばれる事はありえなくても機械に身体を侵されるのは嫌だった。
「どお感想は? あ、いましゃべれないのよね、ごめんね」
そう、ナンシーが言うようにこのとき、チズルは全身に激痛が走っていた。耳、口、肛門だけでなく毛穴にも様々なものが入ってくる感覚に襲われていた。このとき、チズルは皮膚を奪われ、素体と外骨格の中間層に改造されていた。コンタクトに映し出される姿はロボットそのものへと変えられていた。
その姿はまるで金属の甲冑を着せられたかのようであった。ただ違う点といえば女性らしいフォルムになっていたことだ。ウエストはくびれ豊満なウエストとバスト・・・あれ、こんなに胸が大きく綺麗でなかったのにとおもった。
「うーん、まあまあかな。あとは表面を加工するからね。表面層に覆われたらもう人間じゃなくなるからね、あなたは」
チズルは言い返したかったが、何も考えたくも無くなっていた。全身が快感に覆われていたからだ。まるで気持ちのいい温泉にでも浸かっているような夢心地だった。でも、違和感があった。呼吸はしていないし体内が重く感じていた。チズルは人間の身体ではなくなっていた。
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