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序・クリスタルレディ
06・タクマに会えぬ姿
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チズルは一糸まとわぬ姿となった。全身の毛を全て脱毛処理され、一目で誰なのか分からない状態だった。個性は抹消されていた。もし、タクマが見たとしても彼女だとすぐわからなかっただろう。
「ほお、思った通り良い肉付きしているわね。今回のクリスタルレディの素体としては申し分ないわね。まあ、可愛らしいあどけない顔をしているから、あなたって素体は」
ナンシーはそういったが、彼女からすればチズルはただの素体でしかなかった。彼女が興味あるのは自分の芸術作品と言えるクリスタルレディの出来栄えであった。チズルはただの材料でしかなかった。血肉の通う人間を依り代にして生命をもった機械人形を生み出すための。
チズルはふと自分の下腹部に手をやった。ここを侵すのを許すとすればタクマだけだと決めていたのに、これから機械と融合するために様々な器具が挿入されることになるのがやるせなかった。無言で自分のを触っているとナンシーがこういった。
「あなたみたいに素体になる女の子はどうしても気になるのよね、そこが。でも、あなたってヴァージンでしょ。機械の経験はあるだろうけど」
そういわれチズルは顔を赤くした。今どきの若者といえば、希望すれば性教育の一環としてVRマシーンで性交渉の疑似学習が出来るのだが、チズルはタクマが婚約していると知って自暴自棄になり体験したことがあった。ヘッドギアをつけて体験マシーン装置に入れられて、いったいどういう事をするのかを学ぶものであるが、バーチャル上の男性はもちろんタクマだった。妹のようにしか見てくれないあの人を想ったのだ。ああ、もし許されるのならタクマとこんなことをするんだと感じていた。もちろん、それは脳内に刻み込まれた偽りの感覚であった。
「ええ、まあ。でも、これからすることも学習したことと一緒ですよね」
「そうよ。でも昨日とは違って最後までいったら、あなたは軍の備品になり下がるのよ。まあ、任務を無事に終えたら元に戻してあげるわ」
昨日のシミュレーションでVRマシーンを使い最終チェックをしたので、チズルは自分がいかにして機械にされるのかを知っていた。もっとも、激痛を伴う措置の一部は感覚を省略していたし、終わったらまだ人間であった。でも、いまからはタクマに会っても気づいてもらえない姿にされる!
「はい、わかりました」
チズルは無重力区画にある改造マシーンの中に浮かんだ。ここは「機械子宮」とも呼ばれ、全身を同時進行に改造できるようになっていた。そして、そこを次に出る時は人間ではなくなったあとだ。そのときチズルは偽りの別れの挨拶を交わしたことを思い出して涙していた。機械に生まれ変わって一緒にいくなんて言わずにチズルが去っていったことを。けじめをつけるといっても・・・
「おやおや、怖気ついたの涙なんか浮かべちゃって。まあ、大抵の女の子はそうなるものだけど、意外わね。昨日のシミレーションは結構良い線いっていたのにね。機械になる歓びを感じていたみたいだったのに」
ナンシーはそういったが、昨日のチズルはタクマに再会できる事を想うと楽しくなっていたからそんな反応をしていたのだ。でも、いまはタクマに今の姿では再会できないと悲しくなっていたから、涙したのだ。
「大丈夫です! 早く終わらしてください。早く身体に慣れたいからお願いします」
チズルは振り払うようにそういった。
「ほお、思った通り良い肉付きしているわね。今回のクリスタルレディの素体としては申し分ないわね。まあ、可愛らしいあどけない顔をしているから、あなたって素体は」
ナンシーはそういったが、彼女からすればチズルはただの素体でしかなかった。彼女が興味あるのは自分の芸術作品と言えるクリスタルレディの出来栄えであった。チズルはただの材料でしかなかった。血肉の通う人間を依り代にして生命をもった機械人形を生み出すための。
チズルはふと自分の下腹部に手をやった。ここを侵すのを許すとすればタクマだけだと決めていたのに、これから機械と融合するために様々な器具が挿入されることになるのがやるせなかった。無言で自分のを触っているとナンシーがこういった。
「あなたみたいに素体になる女の子はどうしても気になるのよね、そこが。でも、あなたってヴァージンでしょ。機械の経験はあるだろうけど」
そういわれチズルは顔を赤くした。今どきの若者といえば、希望すれば性教育の一環としてVRマシーンで性交渉の疑似学習が出来るのだが、チズルはタクマが婚約していると知って自暴自棄になり体験したことがあった。ヘッドギアをつけて体験マシーン装置に入れられて、いったいどういう事をするのかを学ぶものであるが、バーチャル上の男性はもちろんタクマだった。妹のようにしか見てくれないあの人を想ったのだ。ああ、もし許されるのならタクマとこんなことをするんだと感じていた。もちろん、それは脳内に刻み込まれた偽りの感覚であった。
「ええ、まあ。でも、これからすることも学習したことと一緒ですよね」
「そうよ。でも昨日とは違って最後までいったら、あなたは軍の備品になり下がるのよ。まあ、任務を無事に終えたら元に戻してあげるわ」
昨日のシミュレーションでVRマシーンを使い最終チェックをしたので、チズルは自分がいかにして機械にされるのかを知っていた。もっとも、激痛を伴う措置の一部は感覚を省略していたし、終わったらまだ人間であった。でも、いまからはタクマに会っても気づいてもらえない姿にされる!
「はい、わかりました」
チズルは無重力区画にある改造マシーンの中に浮かんだ。ここは「機械子宮」とも呼ばれ、全身を同時進行に改造できるようになっていた。そして、そこを次に出る時は人間ではなくなったあとだ。そのときチズルは偽りの別れの挨拶を交わしたことを思い出して涙していた。機械に生まれ変わって一緒にいくなんて言わずにチズルが去っていったことを。けじめをつけるといっても・・・
「おやおや、怖気ついたの涙なんか浮かべちゃって。まあ、大抵の女の子はそうなるものだけど、意外わね。昨日のシミレーションは結構良い線いっていたのにね。機械になる歓びを感じていたみたいだったのに」
ナンシーはそういったが、昨日のチズルはタクマに再会できる事を想うと楽しくなっていたからそんな反応をしていたのだ。でも、いまはタクマに今の姿では再会できないと悲しくなっていたから、涙したのだ。
「大丈夫です! 早く終わらしてください。早く身体に慣れたいからお願いします」
チズルは振り払うようにそういった。
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