転校してきてクラスメイトになったのが着ぐるみ美少女だった件について

ジャン・幸田

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第一章:転校生はお人形?

9.俺も私も気になるんだよ

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 森口はアイドルなんかのヲタクでアニメにも興味があった。だからか知らないが「2.5次元」の着ぐるみ美少女の事も知っていた。俺も森口から聞いたことがあったが、それは野郎が内臓になっているというものであった。そういった連中は内臓になる事で可愛らしいキャラクターと一体化できる喜びもあるし、いろんな意味があるなんて言っていたことを思い出した。

 「おい、森口。あの転校生の事をどう思うか?」

 俺は興味本位で聞いてみた。大抵の生徒の反応としては異質なものに対する拒否反応がまず最初にくるものだろうけど、森口の答えは思った通りだった。

 「変に思うかもしれないけど、なんかなあ萌えるなあ俺は。彼女ってたぶん一日中着ぐるみの中で過ごしているんだろ、きっと。なんか辛そうだけど健気だと思うんだけどな」

 すると横から話に割り込んできた。そいつはクラスの女番長とかラオウとかと男子生徒から陰口をたたかれている渕瀬美和だ。とにかくこの女はいろんなところに頭を突っ込むことが多かった。

 「あの転校生の事話しているの? 本当にあの子女なの? なぜ隠すんだよ顔を!」

 「顔を隠すって事は渕瀬は男だとでもいいたいんかい?」

 「そうよ! でも意味が分からないわね。なんで着ぐるみで登校するのよ? それに校長まで出てきてあんなに大勢大人が付いてくるのよ! まさか、本当はロボットじゃなんかじゃないの? 本当のモルモットは私たち全員よ!」

 美和の大きな声で教室のあちらことらで雛乃の事をひそひそ話していたクラスメート全員の注目が集まってしまった。

 「なによ? そんなに集中せんでもいいんじゃないのよ! 例えばって事よ! あたいがテレビで見たことあるけど、重い病気かなんかで入院している子供のかわりに登校するロボットがあるって聞いたことあるのよ。だからあの子も本当はパペットじゃないの?」

 「パペットってなんだ?」

 「操り人形の意味よ! あたしはあの子は病室かどこかで操作しているんじゃないかという事よ! ラジコンみたいにしてから」

 美和の仮説に対し失笑するのもいたけど、そいつに対しキツイ視線を送ったので黙り込んでしまった。そんな時、学級委員の葛城樹がさらに割り込んだ。どうも担任に呼びつけられていたので、何かを伝えに来たようだ。

 「みなさん! 今日の転校生ですが先生があんまり正体などを詮索するようなことをしないようにと伝えてくれという事です」

 「詮索? なんで先生が直接言いにこないんだよ!」

 「先生は・・・なんか、今日の転校生の調子が悪いという事で帰ったので一緒についていったそうです」

 「ついていった?」

 どうも今日は雛乃は午前中で帰ったという事のようだが、それにしても雛乃はどこに帰ったんだろう、自宅それとも病院もしかすると怪しげな研究機関なのか? クラス全員気になっていた。
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