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0.恋の前兆

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 初恋の人と結ばれる、要は初めて好きになった女と付き合って結婚するのが良いという事がある。

 それは出会いがあっても別れをすることがないからだという。ただ死に別れるときを除けばだが。

 でも、初恋は片思いだったので実らなかった。いわば不戦敗だ。

 で、初めて付き合った女ならどうか? でも、あんまり目立たなかったので付き合う事もなかった。

 そんな自分が好きになって付き合いたいと思う女の子が目の前に現れた。彼女は綺麗な体形をしていて、それに綺麗な顔をしていた。しかし欠点もあった。

 表情は微笑んだままで変わらないし、しゃべることも出来なかった。いつも持ち歩いている小さなタブレットに言いたいことが表示されるだけだった。しかも本当は男ではないかという疑いを持っていた。だって見た目は女の子でも身体がきれるから。でもなんで好きになったんだろう、自分は?

 その彼女は栗色の長い髪をしていて碧い大きな瞳で整った顔をしている。そして肌は人形のようであった。いや、本当は人形だった。人形だけど中に確実に人間が入っていた。

 雛乃、それが彼女の名前だったけど、彼女の出会いは最悪だった。
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