処刑された女子少年死刑囚はガイノイドとして冤罪をはらすように命じられた

ジャン・幸田

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目覚め(3)

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 何者かによって持ち出された美樹のものとされる遺骨を収めた骨壷が共同納骨堂に収められた頃、美樹は目覚めた。ただ、人間ではなく機体として。

 ここは、とある民間企業の秘密の研究所。表向きは重火器の研究をしているとして、安全のために周囲の立ち入りが厳重に制限された山間地域にある。そこで美樹は改造されていた。

 「機体番号023号、起動信号を確認。これから意識ファイルを接続します」


 女性型オペレーターはそういった。このエリアでは人間と呼べる存在は一人しかいなかった。その男こそ美樹をある目的のために連れてくるように手配していた。

 「とりあえず、フェーズ1か、それともフェーズ0か? 結構な予算を使った甲斐はあったな」

 目の前には一体の女性型ロボット・・・ガイノイドが横たわっていた。そのガイノイドは美樹の身体を素体にして製造された仮称・機体記号023号だった。

 「おはよう、藤瀬くん。君を助けるためにしかたなかったんだ、悪く思わないでくれ」

 藤瀬とよばれ023号は少し作動を戸惑っていたが、美樹の意識が機体の中で自由な意思を得た。

 「助けるため? わたしってどうなったのですか?」

 「死刑が執行された直後に、君の遺体を確保してから、サイボーグとして改造して蘇らせたのさ。でも、死刑囚が生きているのがバレたら困るだろ? だからロボットにしか見えない姿にしたわけだ。だから君はある程度自由を得たわけだ。法的には死んだことになったが」

 そういって、023号の目の前に大きなモニターが現れ、そこに今の023号の姿が映し出された。その姿は金属や特殊な樹脂に覆われた女性型ロボットであった。それを見た023号はフリーズしてしまった!
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