打ち切りマンガの勇者キャラ？ が家に居候して困っております

一・勇者は居候！

２・打ち切りマンガのキャラクターなの？（１）

　ファンタスタンから来たと主張するベルティーナ。よく見れば結構イケメンであったので、由貴だけでなく珠美もうっとりした表情になった。彼女らにとってイケメンは憧れであった。でも珠美には夫がいた！　由貴の父だ！　でも今はあんまり関係ないので、触れないでおこう。それはともかく、このベルティーナという男が言う事が本当なら、なんかの都合で現代の日本に”異世界転移”してきたことになる。

　「まあ、こんなところに居らずに入ってくださいませ、近所の人もじろじろみていますから」

　珠美はそういってベルティーナを招き入れた。由貴はそれって大丈夫なのと心配になった。近所からコスプレをした外人を家に招き入れる姿を見られる方がもっと噂になるだろう、と心配してしまった。

　「ところで、ベルさんといいましたっけ？　どこで日本語覚えられたのですか？　芸人になるために来日されたのですか？」

　人の話を聞いていない珠美に由貴は呆れたが、その話を信じる者はいないだろうけど現実には。そんな風に由貴は思った。それに目の前の男が「ソードクエストの主人公ベルティーナ」と思えなかった。マンガでは異常に潔癖症でヤキモチやきで、眼光鋭いという雰囲気なのになんとなくだらしない男に見えた。それにいきなり異世界すなわち日本に転移してくれなんて厨二房漫画そのものの展開なんて・・・意味がなかった。

　「日本語、なんだそれは？　この地で話している言葉か？」

　「でも、こうして話をしていますよ」

　「これか？　それは俺の魔術なのさ。見知らぬ地にきても数時間もすればその地の日常会話ぐらいはできるようになるのさ」

　どうも日本語がしゃべれるのはご都合の良いチート能力があるからのようだ。それにしても・・・それしか出来ないかもしれない。それで、試しに野菜を包んでいた新聞を見せると、読めなかった。

　「しかし、どうしたものかな？　こんな異世界に来てしまった俺は何をすればいいんだろう？」

　「異世界？　まあ外国に比べたら日本も異世界みたいなものですからね。本当に面白い事をいわれますわね」

　珠美は例え話でそういっていると思っていたようだ。でも、本当に異世界からの転移者なのか確かめる必要があった。