燃えよ、ロボ魂!!

結城藍人

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第327話 REIDEEN(2007年)

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 今回の話に入る前に、前回の補遺を少々書きたいと思います。前回「見て損はない佳作」みたいに書いた『ダンクーガノヴァ』ですが、前回を書いたあとで感想返しのためにググってみたところ、脚本家の首藤剛志にとっては、だいぶ不本意な出来だったようで、自分のブログでボロクソに書いていました。

 ただ、それはと別に書いてたWeb連載で「作品名を伏せて」延々と語っていたところによると、スケジュールがタイトすぎたのと、監督やもうひとりの脚本家との打ち合わせが足りなかったのが原因、みたいに総括してました。

 その上で、全話通しして見直してみたら「面白かった」と書いてましたね。ただし、それは……以下引用。

>設定、伏線、キャラクター、ついでに温泉……B級ロボットアニメの要素を詰め込むだけ詰め込んで、結局「そんなの関係ない」と、メインパイロットの女の子の鉄拳で吹っ飛ばしてしまう。意図して作った「おばかアニメ」としては、いい線いっていると思う。
(引用ここまで。改行無くしました)

 という皮肉に満ちた表現ではありましたが。

 ただ、これで私が『ノヴァ』を「それなりに面白い佳作」と評価してた理由が分かったんですよ。ああ、私は「B級作品」として『ノヴァ』は面白いと思ってたんだな、と。第1話のノリから「B級感」が漂ってたんで、伏線とかそんなに気にしないで、毎回「何も考えないで楽しめるか」を基準に見てたら、それなりに面白かったんで「見て損は無い」扱いになったんだろうなと。

 さて、ここまで延々と前回の『ノヴァ』について書いてきたのには、実は理由があります。

 今回語りたい『REIDEEN』は、ある意味この『ノヴァ』の真逆の作品だったからです。

 本作はWOWOW用作品として制作されましたが、私はWOWOWからは少し遅れて完結後に2008年1月から放送されたCS放送「ファミリー劇場」で全二十六話を視聴しました。なお、地上波では東京MXで放送されていたのですが、なぜか10話で打ち切りになっています。また、WOWOW放送時にトラブルで一時放送中止になったという記事を見かけた記憶があるのですが、今ググってみてもそれに言及している記事を見つけられませんでした。

 本作の作画は美麗です。声優の演技にもまったく問題はありません。クオリティという意味では非の打ち所は無いです。その点で言えば『ガサラキ』に通じるものがあります。だから、最後まで見ました。

 ただ、キャラクターデザインについて言えば、この頃の流行りの絵柄ではありましたが、私の好みからは少し外れていました。それでも、それで評価を下げるというような絵柄ではありません。

 それじゃあ、どうして前話最後で「『見たい』という人には『やめとけ』と助言したくなる作品」と書いたのか。

 タルいんです。ただひたすらタルい。

 あんまり盛り上がらない、のっぺりした話が延々と続く。そういう感じの作品なんですよ。

 これがまたキツいことに「クソつまんねえ!」と一話でぶった切るほどつまらなくはないんですよ。作画とかのクオリティは高いから、何となく見れてしまう。

 また、あの『アクエリオン』のように、「この設定はキツい、合わない!」と言うほど尖った設定にもなっていないという。

 あ、ロボに乗ったときに主人公(男)が無意味に裸になってたんですが、これはどうやら『超者ライディーン』の方へのオマージュらしいと前に本家『勇者ライディーン』を書いたときの感想欄で教えていただきました(笑)。

 こういった微妙な(笑)前作オマージュとかもあったりするんですよね。でも本質的には無関係なリメイクという。

 頑張ってることは分かるんです。この2007年という時代背景にスーパーロボをリアルに描くとどうなるのかというのを、真面目に追求しようとはしてるんです。意図と意欲は分かるんです。

 でも空回りしてる。リアルってものをはき違えてるよって感じの展開なんですよ。

 特に自警隊という、現実の自衛隊にあたる防衛隊が自作ロボ出してきたりするんですが、この戦闘シーンがタルい。リアルに考えたらそうなるだろうなと思いつつも、タルい。

 もっとも、主役ロボであるREIDEENの戦闘シーンも、何となくもったりしていてタルかったんですが(笑)。シナリオやストーリーだけじゃなくて、戦闘シーンも爽快感が無かったんですよ。

 この爽快感の無さは、あの悪夢の『サイバスター』に一脈通じるものがありました。ところが、あそこまで作画がボロくないのが逆にキツいという(笑)。

 とにかく、全般的に「もったり」して爽快感が無い作品だったんです。それなのに作品を構成する各部のクオリティは妙に高いという。

 そういう意味で「B級的な面白さ」と「爽快感」はあった『ノヴァ』とは対照的なんですよ。「A級的なクオリティ」と、それとは裏腹の「もったり感」。

 本作は『ガサラキ』に比べれば話はわかりやすいんですが、全般的な評価で言うと『ガサラキ』や、あるいは『ラーゼフォン』に近似してしまうんですね……って、確か『ラーゼフォン』もライディーンオマージュだった気が。まさかライディーンをオマージュやリメイクすると……(爆)。

 ロボ自体は旧作ライディーンに忠実にリメイクしていて、デザインは金色一色ですけどこれもフェードイン前に人面岩から出てくるシーンのオマージュですし、全体的なデザインや装備も旧作リスペクトは感じられるんです。でも、それだけ。ガイキングRODみたいな「前作をリスペクトしつつも、それを超えてやるぜ!」的な気合が感じられないという。

 なお、今回の執筆のためにググってみたら、監督は初期『クレヨンしんちゃん』の監督だった本郷みつるだったんですね。

 それで思い出したことがあるんですよ。私はリアルタイムでは『クレしん』見てなかったんですが、このあと結婚する女房が『クレしん』好きだったんで、初期『クレしん』をCS放送「テレ朝チャンネル」で見たんです。その中に、しんちゃんが映画館に行って「カンタムロボ」の映画を見るって話がありまして。その話の中では、しんちゃんはたまに観客席で「カンタムロボがんばれー!」とか言ったりポップコーン食って「えへへ」とか言ってるだけで、延々と劇中劇である「カンタムロボ」の話が続くという、なかなかシュールな話だったんですよ(笑)。

 ところが、その「カンタムロボ」が意外に面白かったという。少なくとも、この『REIDEEN』よりは、よっぽど面白かったですね。ロボのデザインなんか、あのとおり超ヘボいのに。

 なので、本作の監督が本郷みつるだと知って、こう思ったんですよ。「あんた『カンタムロボ』作った方が良かったんじゃない?」って(爆)。

 どうせライディーンの皮かぶせるだけのリメイク作なんだったら、中身をカンタムロボにしときゃあ面白かったのに。そんな風に思ってしまう作品だったのでした。

 さて、次回は『鉄人28号 白昼の残月』に行きたいのですが……1回見ただけの映画なんで、どれだけ語れるのか自分でも不安だったり(笑)。
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