249 / 344
第249話 機動戦艦ナデシコ(1996-97年)
しおりを挟む
さて、今回のお題は『機動戦艦ナデシコ』(以下ナデシコと略記)です。見ていただくとわかるとおり、本作は宇宙戦艦の名前がタイトルになっています。ただ、主人公が「エステバリス」というリアル系巨大ロボに乗って戦うので、事実上巨大ロボットアニメと言ってよいかと思うので語りたいと思います。スパロボにも参戦していますし。
本作については、リアルタイム当時に全話視聴しています。劇場版の続編も見ました。原作というか、コミカライズにあたる麻宮騎亜『遊撃宇宙戦艦ナデシコ』は最初の方をチラ見した程度で、ほとんど読んでいません。参戦したスパロボも遊んでいないので、アニメ版のみの印象となります。
さて、タイトルからして、かなり露骨に『宇宙戦艦ヤマト』へのオマージュだったりするのですが、中身もかなり壮絶に先行作品へのオマージュであふれています。
特に、劇中劇として出てくるアニメ「ゲキ・ガンガー3」は完全に70年代巨大ロボットアニメを彷彿とさせるシロモノだったりします(笑)。主人公のテンカワ・アキトは、このアニメを先輩格で親友となったヤマダ・ジロウ(自称ダイゴウジ・ガイ)から見せられてハマるという。そのヤマダ・ジロウが第3話の最後であっさり死亡したあとは、形見のように大事にしていました。
この「ゲキ・ガンガー3」って、のちに劇中劇を飛びだして単独OVAにもなっているんですが、残念ながらそちらは未見なんですよ。
ゲキ・ガンガー3はスーパー系ロボなのですが、本作の主役ロボであるエステバリスは、普通にリアルロボです。特に変形したりとかはせず、ギミックはあまりありませんが、リアルロボとしては充分にカッコ良いデザインです。
ただ、本作の場合、戦闘よりもナデシコ艦内の人間模様とかの方に比重が置かれていたという印象があるんですよねえ。
それも、何というかラブコメ風味。艦長のミスマル・ユリカとアキトの恋愛話がメインという。ユリカの声優である桑島法子は本作が出世作になります。
ほかにも女性レギュラーが多くて、味方パイロットも美少女揃いだったり。
特に人気があったのが、オペレーターの無表情無感情少女ホシノ・ルリでした。決めゼリフは無感情に放たれる「バカばっか」。要するに「綾波系でアスカ入ってる」という「狙った」キャラですね(笑)。声優は南央美で、この前の93年から「しまじろう」という一生モノの役を持っているという恵まれた人です……って、今調べたら『ゴルドラン』の主役の拓矢も演じてたのね。
このルリが劇場版では「ナデシコB」の艦長に就任して主役を演じることになります。もっとも、TV版でも艦内の人気投票で一度艦長に就任していますが(笑)。
印象は薄いものの、戦闘も決して刺身のつまではなく、敵の「木星蜥蜴」はかなり強敵という印象でした。
正体不明の敵だったのですが、のちに実は木星以遠に植民した地球人類の末裔ということが発覚します。月などの植民地の独立派が地球連合政府に弾圧されて木星周辺まで逃げていったところ、そこで未知の文明の遺跡を発見して、その文明の技術を用いて逆襲してきたという。ただ、地球連合政府はそれを隠蔽して謎の異星人扱いしていたんですね。
このあたりの展開は、『ヤマト』だと思ってたら実は『ガンダム』だったという、非常にメタネタ的なストーリーなんですよねえ。
この敵軍「木星蜥蜴」、バックグラウンドからするとシリアスな連中なんですが、木星まで持って行けた娯楽が「ゲキ・ガンガー3」くらいしかなかったので、聖典扱いになっているみたいなコメディネタもありました。
全般としてはコメディタッチなんですが、「木星蜥蜴」の境遇とか、本当はシリアスな話も多いんですよ。
ただ、やっぱり印象に残るのは基本アキトとユリカのラブコメなんですよねえ。Wikiによると、伏線とか設定が多すぎて、TV版の作中だと全部の説明ができなかったという風に書いてあるのですが、正直、リアルタイム視聴時には、そんな設定の説明の取りこぼしなんて気にしてませんでした。
これはもう、完全に『エヴァ』のせいですね。思わせぶりな設定とか、所詮はフレーバーに過ぎないということがわかってしまったんですよ。別に語られなくても気にならなくなってしまったという。
だから、最終回で「アキトとユリカがくっついて『めでたしめでたし』で終わり」というオチで納得してしまったという。
続編の劇場版はTV版の三年後が舞台でルリが主人公ということなので見に行ってみたら、幸せな結婚をしたはずのアキトとユリカはいきなり事故死していたという。ところが、それは偽装で、敵に誘拐されて人体実験の材料にされていたんですね。アキトは脱走に成功して、仮面キャラの凄腕パイロットとしてユリカを取り戻すために戦っていました。最後はユリカを取り戻すことには成功したものの、アキトは人体実験で味覚を破壊されていたという。本来コックになることが夢だったアキトは、その道を断たれて、自分のレシピをルリに託して去って行く、という暗いエンディングだったんですよ。
何というか、TV版よりもシリアスにしたいという意図はわかるのですが、何でこんな救いの無いラストにするかなぁ、とは思いました。
あ、オープニング主題歌「YOU GET TO BURNING」は非常にカッコ良い名曲です。
全般的に、決してつまらない作品ではありませんでしたし、オタ向けのパロネタやメタネタはそれなりに楽しめたのですが、ものすごく熱中できる作品というほどではなかったというのが総評になります。
さて、前述のとおり『超者ライディーン』は見ていませんし、『天空のエスカフローネ』も未見なので、これで96年で語れる作品は終わってしまいました。次は97年最初の作品になります。勇者シリーズ最終作にして、日本巨大ロボットアニメの「金字塔」である『勇者王ガオガイガー』行ってみましょう!
本作については、リアルタイム当時に全話視聴しています。劇場版の続編も見ました。原作というか、コミカライズにあたる麻宮騎亜『遊撃宇宙戦艦ナデシコ』は最初の方をチラ見した程度で、ほとんど読んでいません。参戦したスパロボも遊んでいないので、アニメ版のみの印象となります。
さて、タイトルからして、かなり露骨に『宇宙戦艦ヤマト』へのオマージュだったりするのですが、中身もかなり壮絶に先行作品へのオマージュであふれています。
特に、劇中劇として出てくるアニメ「ゲキ・ガンガー3」は完全に70年代巨大ロボットアニメを彷彿とさせるシロモノだったりします(笑)。主人公のテンカワ・アキトは、このアニメを先輩格で親友となったヤマダ・ジロウ(自称ダイゴウジ・ガイ)から見せられてハマるという。そのヤマダ・ジロウが第3話の最後であっさり死亡したあとは、形見のように大事にしていました。
この「ゲキ・ガンガー3」って、のちに劇中劇を飛びだして単独OVAにもなっているんですが、残念ながらそちらは未見なんですよ。
ゲキ・ガンガー3はスーパー系ロボなのですが、本作の主役ロボであるエステバリスは、普通にリアルロボです。特に変形したりとかはせず、ギミックはあまりありませんが、リアルロボとしては充分にカッコ良いデザインです。
ただ、本作の場合、戦闘よりもナデシコ艦内の人間模様とかの方に比重が置かれていたという印象があるんですよねえ。
それも、何というかラブコメ風味。艦長のミスマル・ユリカとアキトの恋愛話がメインという。ユリカの声優である桑島法子は本作が出世作になります。
ほかにも女性レギュラーが多くて、味方パイロットも美少女揃いだったり。
特に人気があったのが、オペレーターの無表情無感情少女ホシノ・ルリでした。決めゼリフは無感情に放たれる「バカばっか」。要するに「綾波系でアスカ入ってる」という「狙った」キャラですね(笑)。声優は南央美で、この前の93年から「しまじろう」という一生モノの役を持っているという恵まれた人です……って、今調べたら『ゴルドラン』の主役の拓矢も演じてたのね。
このルリが劇場版では「ナデシコB」の艦長に就任して主役を演じることになります。もっとも、TV版でも艦内の人気投票で一度艦長に就任していますが(笑)。
印象は薄いものの、戦闘も決して刺身のつまではなく、敵の「木星蜥蜴」はかなり強敵という印象でした。
正体不明の敵だったのですが、のちに実は木星以遠に植民した地球人類の末裔ということが発覚します。月などの植民地の独立派が地球連合政府に弾圧されて木星周辺まで逃げていったところ、そこで未知の文明の遺跡を発見して、その文明の技術を用いて逆襲してきたという。ただ、地球連合政府はそれを隠蔽して謎の異星人扱いしていたんですね。
このあたりの展開は、『ヤマト』だと思ってたら実は『ガンダム』だったという、非常にメタネタ的なストーリーなんですよねえ。
この敵軍「木星蜥蜴」、バックグラウンドからするとシリアスな連中なんですが、木星まで持って行けた娯楽が「ゲキ・ガンガー3」くらいしかなかったので、聖典扱いになっているみたいなコメディネタもありました。
全般としてはコメディタッチなんですが、「木星蜥蜴」の境遇とか、本当はシリアスな話も多いんですよ。
ただ、やっぱり印象に残るのは基本アキトとユリカのラブコメなんですよねえ。Wikiによると、伏線とか設定が多すぎて、TV版の作中だと全部の説明ができなかったという風に書いてあるのですが、正直、リアルタイム視聴時には、そんな設定の説明の取りこぼしなんて気にしてませんでした。
これはもう、完全に『エヴァ』のせいですね。思わせぶりな設定とか、所詮はフレーバーに過ぎないということがわかってしまったんですよ。別に語られなくても気にならなくなってしまったという。
だから、最終回で「アキトとユリカがくっついて『めでたしめでたし』で終わり」というオチで納得してしまったという。
続編の劇場版はTV版の三年後が舞台でルリが主人公ということなので見に行ってみたら、幸せな結婚をしたはずのアキトとユリカはいきなり事故死していたという。ところが、それは偽装で、敵に誘拐されて人体実験の材料にされていたんですね。アキトは脱走に成功して、仮面キャラの凄腕パイロットとしてユリカを取り戻すために戦っていました。最後はユリカを取り戻すことには成功したものの、アキトは人体実験で味覚を破壊されていたという。本来コックになることが夢だったアキトは、その道を断たれて、自分のレシピをルリに託して去って行く、という暗いエンディングだったんですよ。
何というか、TV版よりもシリアスにしたいという意図はわかるのですが、何でこんな救いの無いラストにするかなぁ、とは思いました。
あ、オープニング主題歌「YOU GET TO BURNING」は非常にカッコ良い名曲です。
全般的に、決してつまらない作品ではありませんでしたし、オタ向けのパロネタやメタネタはそれなりに楽しめたのですが、ものすごく熱中できる作品というほどではなかったというのが総評になります。
さて、前述のとおり『超者ライディーン』は見ていませんし、『天空のエスカフローネ』も未見なので、これで96年で語れる作品は終わってしまいました。次は97年最初の作品になります。勇者シリーズ最終作にして、日本巨大ロボットアニメの「金字塔」である『勇者王ガオガイガー』行ってみましょう!
0
お気に入りに追加
20
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
呪配
真霜ナオ
ホラー
ある晩。いつものように夕食のデリバリーを利用した比嘉慧斗は、初めての誤配を経験する。
デリバリー専用アプリは、続けてある通知を送り付けてきた。
『比嘉慧斗様、死をお届けに向かっています』
その日から不可解な出来事に見舞われ始める慧斗は、高野來という美しい青年と衝撃的な出会い方をする。
不思議な力を持った來と共に死の呪いを解く方法を探す慧斗だが、周囲では連続怪死事件も起こっていて……?
「第7回ホラー・ミステリー小説大賞」オカルト賞を受賞しました!
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
悠久の機甲歩兵
竹氏
ファンタジー
文明が崩壊してから800年。文化や技術がリセットされた世界に、その理由を知っている人間は居なくなっていた。 彼はその世界で目覚めた。綻びだらけの太古の文明の記憶と機甲歩兵マキナを操る技術を持って。 文明が崩壊し変わり果てた世界で彼は生きる。今は放浪者として。
※現在毎日更新中
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
天空からのメッセージ vol.70 ~魂の旅路~
天空の愛
エッセイ・ノンフィクション
そのために、シナリオを描き
そのために、親を選び
そのために、命をいただき
そのために、助けられて
そのために、生かされ
そのために、すべてに感謝し
そのためを、全うする
そのためは、すべて内側にある
1976年生まれ、氷河期世代の愚痴
相田 彩太
エッセイ・ノンフィクション
氷河期世代って何?
氷河期世代だけど、過去を振り返ってみたい! どうしてこうなった!?
1976年生まれの作者が人生を振り返りながら、そんなあなたの疑問に答える挑戦作!
トーク形式で送る、氷河期愚痴エッセイ!
設定は横読み推奨というか一択。
エッセイとは「試み」という意味も持っているのである。
オチはいつも同じです。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる