6 / 22
06 内容と理解
しおりを挟む
「お祓い?」
『依頼だと言っただろう。内容を聞け』
「どんな内容になります?」
「とにかくついてないんです。怪我したり、事故ったり、ありえないミスをしたり。厄年ってわけじゃないんですが……同僚とかにも、お祓いでも受けろって勧められて」
「ああ。一般的なお祓いですね」
厄祓い。じいちゃんがたまに頼まれてやってたやつだ。
「いつになさいますか」
メモを取ろうとペンを手にして、はっと気がついた。じいちゃんはもういない。厄祓いなんてやったことがない。できない。
「なるはやで。今週の土曜日とか、どうですか」
「あ……の」
『大丈夫だ。受けろ。私が教えてやる』
「………」
「だめですか? 本当に困ってるんです」
サハラさんの涙が思い出された。誰にもわかってもらえない。頭がおかしいと思われる。
「大丈夫です。午前中のご都合の良い時間にいらしてください。朝早くで構いません」
「ありがとう! なるべく早いうちに伺います」
チン、と受話器を置く。受けてしまった……。
「本当に大丈夫?」
『それはこっちのせりふだ、イチカ。お前がやるんだ』
「…………」
装束を出してみる。祖父は小柄だったので、イチカが着ても丈が余るということはない。衣冠束帯というやつ。
『まず潔斎をする。本当は一週間程度続けるのがよろしい。しかし今回は時間がないし、お前は学校に行かなければならない。前日、金曜の夜からするしかない』
潔斎は、水で(お湯ではなく)体を清める。じいちゃんが木の桶で頭から水をかぶっているのを見たことがある。何杯も何杯もかぶる。
「……あれってどのくらいかけるの?」
『充分洗われたと思うまで』
「そういうのやめてよ……」
『やってみろ。自ずとわかるはずだ』
そして清潔な着物に袖を通し、塩水でうがいをする。そこからは生臭ものは一切口にできない。そして……
「そして?」
『そこからは依頼人に会ってからのことだ。依頼人が決める』
「ええ………」
不安ばかりだった。それでも金曜が来て、その夜が来た。風呂桶に水を溜めて、木の桶でそれを汲む。四月下旬。まだ肌寒い。息を止める。桶を頭の上でひっくり返す。
「………っっ」
冷たい。寒い……。これで終わりにしたいところだが、例によってスズシロが脱衣所で目を光らせている。
『冷たい、嫌だと思うから余計負担になる。目的は何だ? 考えろ。何をせねばならぬのか』
「………」
歯の根が合わなくて口をきけない。何をせねばならぬのか。体をきれいにしなければならない。意を決して、ざぶんとまた桶に水を付ける。ちびちびやっているから余計寒いんだ。嫌な思いをするためにやっているんじゃない。思い切ってやらなければ。
バッシャー
『よしよし。お前はのみこみがよい。昭衛の育て方が良かったな』
次々に水をかぶる。身体中が水と同じ温度になった気がしたところで、もういいだろうと思った。
『言っただろう。自ずとわかると』
「………」
翌朝、神社を清めて依頼人を待ったがなかなか来なかった。
10時を回って、こちらから電話を入れてみようかと思った時、神社の鳥居に車が横付けした。男の人がばっと運転席から出てきて、後部座席の人の腕を自分に回し、よたよたとこちらに向かってくる。
「あの! 神社の人?」
「はい」
「この、こいつが厄祓いして欲しいやつです」
肩を支えられた男は、額に脂汗をかいて顔を顰めている。しゃべることもできないらしい。
「とにかく尋常じゃなくて。昨日から、足が痛むって言い出して」
もう片方の肩を脇から支えて、まずは家の客間に連れて行く。とにかく話を聞かなければならない。スズシロが黙って付いてくる。男は座布団に座ることができなかったので、3枚繋げて身を横たえた。
「すみません……」
「ほんとに、おかしいんです。こいつ。今日も頭痛で行けないとか言い出して。で、どなたが神主さんなんですか」
うっと詰まった。やはりどう見ても中学生、よく見積もっても高校生くらいの伊邇では、話にならないだろうか。
「あの……」
その時、すっと襖が開いた。黒髪をきっちりとセットして、物凄く色白で酷薄そうな男性が入ってきた。スーツを着ている。
誰?
「いらっしゃいませ。ご挨拶が遅れまして。私はこちらの神社で運営事務をしております鈴白という者です。こちらが」
男はすっと手のひらでイチカを指した。
「この白羽神社の神主です。まだ年若いですが、ちゃんと修行しておりますのでどうぞお任せください。伊邇様、こちらへ」
イチカが促されるままに客間を出る。こんな人、いた? 万世さんの知り合いでも手伝いに来てくれたのかな? 男は深々と頭を下げて、ぴたりと襖を閉じた。男を振り返ると、そこには白い狐が俯いていた。
『ふう』
「………スズシロ?」
『そうだ。神社へ行くぞ。準備をする』
スズシロが化けてくれたのか? 確かにさっきのスーツの男は鈴白と名乗った気はする。
スズシロは少しふらつきながら神社に上がって行った。イチカもそれに続く。
『いいか。お神酒と塩と小豆と米を用意しろ。米は生米だ。全部台所にある。五色糸を三方に張れ。幣を立てろ』
「うん」
じいちゃんがやっていたのを思い出しながらやる。とりあえず形にはなった。でも重大な問題がある。
「祝詞がわからない」
『お前が必要だと思う祝詞を唱えろ』
「またそれ?」
『そうだ。覚えているはずだ』
「カシコミカシコミ物申すってやつ?」
『それだ。お前が祈るのは神。途中で祝詞を忘れても、お力をなんと申し上げればお借りできるのか考えろ。式が終わるまで動揺するな。依頼者が死んでいても最後までやれ。わかったら呼んでこい』
スズシロはなんだかいつも以上にぶっきらぼうだった。イチカは二人の男を呼んできて、社の下座に座らせた。自分は御神体の入った御霊舎に向き合う。ここに座るのは初めてだ。
「かけまくも畏き伊邪那岐の大神……」
ふと、口からついて出る。そうだ。これが大祓の祝詞。じいちゃんは改めて教えてくれたことはなかったけど、自分は見ていた。思い出せ。じいちゃんは、ちゃんと手本を見せてくれていたはずだ。
幣を振る。
もろもろの
禍事
罪 穢れ
あらむことをば
祓え給ひ
清めたまへと申すことを
聞し召せと
「畏畏もの申す」
ざくざくと幣をふり、男たちを振り向くと、お祓いに来た方の男が口から泡を吹いていてぎょっとした。最後までやれ、というスズシロの声が浮かんで、とりあえず作法通り彼らにも幣を振る。
すると、ぱっと男は目を開けて手の甲で口の周りを拭いた。
「……以上です」
男たちは呆然としている。
「あー……足が、痛くない」
「いや、足とかじゃなくて……」
車を運転してきた男も何と言っていいかわからないようだ。
終わった? スズシロは?
玉串料を置いて二人の男は帰って行った。帰りは二人とも自分の足で歩いた。ほっとした。とりあえずなんとかできた。
「スズシロ?」
あたりを見回すと、スズシロはゆっくりと歩いて来た。尻尾が下がっている。
『……家に行きたい。お神酒と油揚をくれ』
「あ、うん。わかった」
着替えてちょうど昼時だったので、きつねうどんを作るついでにスズシロに油揚を用意した。向かいの席に置くと、スズシロが座ってくんくんと油揚の匂いを嗅いだ。
『はあ。よいのう、油揚は』
「あれはなんだったの? 何がついてたの?」
スズシロはもう一度深くにおいを嗅いで、お神酒の方に鼻先を向けた。そしてまたくんくん。
『知らん』
「知らんて」
『話さなかっただろう。お前も聞かなかったではないか』
「でもスズシロには見えたんだろ?」
『見えた。でもあれが何なのかはわからん。どっかで拾った御霊なのかも知れんし、誰かがかけた呪いかも知れん』
「何かわかんないのにお祓いなんてできんの?」
『言っただろう、大抵の人間は神界のモノが見えん。神界がそこにあることすらわからん。神主たちだって例外ではない。昭衛だって見えなかった。でもそれを払わなければならない。見えなくても祓うシステムが結界と祝詞だ。問答は無用、陣と祝詞が組み合わされば神界の扉が開き、吸い込まれる』
「吸い込まれるとどうなんの?」
『さあな。神成りするものもあるだろうし、黒狗のような神獣に喰われるのもいるだろう』
「………」
『祓うとはそういうことだ』
そしてスズシロはまたお神酒と油揚の匂いを交互に嗅いで、猫みたいに丸まってしまった。
「食わねえの?」
『食ったぞ。腹一杯だ』
「におい嗅いだだけだろ?」
『そう思うならお前、その油揚を食ってみろ』
言われて齧ってみる。
「うへ」
なぜだろう。まずい。同じものがきつねうどんに入っていたとは思えないくらいに。
『依頼だと言っただろう。内容を聞け』
「どんな内容になります?」
「とにかくついてないんです。怪我したり、事故ったり、ありえないミスをしたり。厄年ってわけじゃないんですが……同僚とかにも、お祓いでも受けろって勧められて」
「ああ。一般的なお祓いですね」
厄祓い。じいちゃんがたまに頼まれてやってたやつだ。
「いつになさいますか」
メモを取ろうとペンを手にして、はっと気がついた。じいちゃんはもういない。厄祓いなんてやったことがない。できない。
「なるはやで。今週の土曜日とか、どうですか」
「あ……の」
『大丈夫だ。受けろ。私が教えてやる』
「………」
「だめですか? 本当に困ってるんです」
サハラさんの涙が思い出された。誰にもわかってもらえない。頭がおかしいと思われる。
「大丈夫です。午前中のご都合の良い時間にいらしてください。朝早くで構いません」
「ありがとう! なるべく早いうちに伺います」
チン、と受話器を置く。受けてしまった……。
「本当に大丈夫?」
『それはこっちのせりふだ、イチカ。お前がやるんだ』
「…………」
装束を出してみる。祖父は小柄だったので、イチカが着ても丈が余るということはない。衣冠束帯というやつ。
『まず潔斎をする。本当は一週間程度続けるのがよろしい。しかし今回は時間がないし、お前は学校に行かなければならない。前日、金曜の夜からするしかない』
潔斎は、水で(お湯ではなく)体を清める。じいちゃんが木の桶で頭から水をかぶっているのを見たことがある。何杯も何杯もかぶる。
「……あれってどのくらいかけるの?」
『充分洗われたと思うまで』
「そういうのやめてよ……」
『やってみろ。自ずとわかるはずだ』
そして清潔な着物に袖を通し、塩水でうがいをする。そこからは生臭ものは一切口にできない。そして……
「そして?」
『そこからは依頼人に会ってからのことだ。依頼人が決める』
「ええ………」
不安ばかりだった。それでも金曜が来て、その夜が来た。風呂桶に水を溜めて、木の桶でそれを汲む。四月下旬。まだ肌寒い。息を止める。桶を頭の上でひっくり返す。
「………っっ」
冷たい。寒い……。これで終わりにしたいところだが、例によってスズシロが脱衣所で目を光らせている。
『冷たい、嫌だと思うから余計負担になる。目的は何だ? 考えろ。何をせねばならぬのか』
「………」
歯の根が合わなくて口をきけない。何をせねばならぬのか。体をきれいにしなければならない。意を決して、ざぶんとまた桶に水を付ける。ちびちびやっているから余計寒いんだ。嫌な思いをするためにやっているんじゃない。思い切ってやらなければ。
バッシャー
『よしよし。お前はのみこみがよい。昭衛の育て方が良かったな』
次々に水をかぶる。身体中が水と同じ温度になった気がしたところで、もういいだろうと思った。
『言っただろう。自ずとわかると』
「………」
翌朝、神社を清めて依頼人を待ったがなかなか来なかった。
10時を回って、こちらから電話を入れてみようかと思った時、神社の鳥居に車が横付けした。男の人がばっと運転席から出てきて、後部座席の人の腕を自分に回し、よたよたとこちらに向かってくる。
「あの! 神社の人?」
「はい」
「この、こいつが厄祓いして欲しいやつです」
肩を支えられた男は、額に脂汗をかいて顔を顰めている。しゃべることもできないらしい。
「とにかく尋常じゃなくて。昨日から、足が痛むって言い出して」
もう片方の肩を脇から支えて、まずは家の客間に連れて行く。とにかく話を聞かなければならない。スズシロが黙って付いてくる。男は座布団に座ることができなかったので、3枚繋げて身を横たえた。
「すみません……」
「ほんとに、おかしいんです。こいつ。今日も頭痛で行けないとか言い出して。で、どなたが神主さんなんですか」
うっと詰まった。やはりどう見ても中学生、よく見積もっても高校生くらいの伊邇では、話にならないだろうか。
「あの……」
その時、すっと襖が開いた。黒髪をきっちりとセットして、物凄く色白で酷薄そうな男性が入ってきた。スーツを着ている。
誰?
「いらっしゃいませ。ご挨拶が遅れまして。私はこちらの神社で運営事務をしております鈴白という者です。こちらが」
男はすっと手のひらでイチカを指した。
「この白羽神社の神主です。まだ年若いですが、ちゃんと修行しておりますのでどうぞお任せください。伊邇様、こちらへ」
イチカが促されるままに客間を出る。こんな人、いた? 万世さんの知り合いでも手伝いに来てくれたのかな? 男は深々と頭を下げて、ぴたりと襖を閉じた。男を振り返ると、そこには白い狐が俯いていた。
『ふう』
「………スズシロ?」
『そうだ。神社へ行くぞ。準備をする』
スズシロが化けてくれたのか? 確かにさっきのスーツの男は鈴白と名乗った気はする。
スズシロは少しふらつきながら神社に上がって行った。イチカもそれに続く。
『いいか。お神酒と塩と小豆と米を用意しろ。米は生米だ。全部台所にある。五色糸を三方に張れ。幣を立てろ』
「うん」
じいちゃんがやっていたのを思い出しながらやる。とりあえず形にはなった。でも重大な問題がある。
「祝詞がわからない」
『お前が必要だと思う祝詞を唱えろ』
「またそれ?」
『そうだ。覚えているはずだ』
「カシコミカシコミ物申すってやつ?」
『それだ。お前が祈るのは神。途中で祝詞を忘れても、お力をなんと申し上げればお借りできるのか考えろ。式が終わるまで動揺するな。依頼者が死んでいても最後までやれ。わかったら呼んでこい』
スズシロはなんだかいつも以上にぶっきらぼうだった。イチカは二人の男を呼んできて、社の下座に座らせた。自分は御神体の入った御霊舎に向き合う。ここに座るのは初めてだ。
「かけまくも畏き伊邪那岐の大神……」
ふと、口からついて出る。そうだ。これが大祓の祝詞。じいちゃんは改めて教えてくれたことはなかったけど、自分は見ていた。思い出せ。じいちゃんは、ちゃんと手本を見せてくれていたはずだ。
幣を振る。
もろもろの
禍事
罪 穢れ
あらむことをば
祓え給ひ
清めたまへと申すことを
聞し召せと
「畏畏もの申す」
ざくざくと幣をふり、男たちを振り向くと、お祓いに来た方の男が口から泡を吹いていてぎょっとした。最後までやれ、というスズシロの声が浮かんで、とりあえず作法通り彼らにも幣を振る。
すると、ぱっと男は目を開けて手の甲で口の周りを拭いた。
「……以上です」
男たちは呆然としている。
「あー……足が、痛くない」
「いや、足とかじゃなくて……」
車を運転してきた男も何と言っていいかわからないようだ。
終わった? スズシロは?
玉串料を置いて二人の男は帰って行った。帰りは二人とも自分の足で歩いた。ほっとした。とりあえずなんとかできた。
「スズシロ?」
あたりを見回すと、スズシロはゆっくりと歩いて来た。尻尾が下がっている。
『……家に行きたい。お神酒と油揚をくれ』
「あ、うん。わかった」
着替えてちょうど昼時だったので、きつねうどんを作るついでにスズシロに油揚を用意した。向かいの席に置くと、スズシロが座ってくんくんと油揚の匂いを嗅いだ。
『はあ。よいのう、油揚は』
「あれはなんだったの? 何がついてたの?」
スズシロはもう一度深くにおいを嗅いで、お神酒の方に鼻先を向けた。そしてまたくんくん。
『知らん』
「知らんて」
『話さなかっただろう。お前も聞かなかったではないか』
「でもスズシロには見えたんだろ?」
『見えた。でもあれが何なのかはわからん。どっかで拾った御霊なのかも知れんし、誰かがかけた呪いかも知れん』
「何かわかんないのにお祓いなんてできんの?」
『言っただろう、大抵の人間は神界のモノが見えん。神界がそこにあることすらわからん。神主たちだって例外ではない。昭衛だって見えなかった。でもそれを払わなければならない。見えなくても祓うシステムが結界と祝詞だ。問答は無用、陣と祝詞が組み合わされば神界の扉が開き、吸い込まれる』
「吸い込まれるとどうなんの?」
『さあな。神成りするものもあるだろうし、黒狗のような神獣に喰われるのもいるだろう』
「………」
『祓うとはそういうことだ』
そしてスズシロはまたお神酒と油揚の匂いを交互に嗅いで、猫みたいに丸まってしまった。
「食わねえの?」
『食ったぞ。腹一杯だ』
「におい嗅いだだけだろ?」
『そう思うならお前、その油揚を食ってみろ』
言われて齧ってみる。
「うへ」
なぜだろう。まずい。同じものがきつねうどんに入っていたとは思えないくらいに。
0
お気に入りに追加
33
あなたにおすすめの小説
煩い人
星来香文子
ホラー
陽光学園高学校は、新校舎建設中の間、夜間学校・月光学園の校舎を昼の間借りることになった。
「夜七時以降、陽光学園の生徒は校舎にいてはいけない」という校則があるのにも関わらず、ある一人の女子生徒が忘れ物を取りに行ってしまう。
彼女はそこで、肌も髪も真っ白で、美しい人を見た。
それから彼女は何度も狂ったように夜の学校に出入りするようになり、いつの間にか姿を消したという。
彼女の親友だった美波は、真相を探るため一人、夜間学校に潜入するのだが……
(全7話)
※タイトルは「わずらいびと」と読みます
※カクヨムでも掲載しています
ルール
新菜いに/丹㑚仁戻
ホラー
放課後の恒例となった、友達同士でする怪談話。
その日聞いた怪談は、実は高校の近所が舞台となっていた。
主人公の亜美は怖がりだったが、周りの好奇心に押されその場所へと向かうことに。
その怪談は何を伝えようとしていたのか――その意味を知ったときには、もう遅い。
□第6回ホラー・ミステリー小説大賞にて奨励賞をいただきました□
※章ごとに登場人物や時代が変わる連作短編のような構成です(第一章と最後の二章は同じ登場人物)。
※結構グロいです。
※この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。
※カクヨム、小説家になろうにも掲載しています。
©2022 新菜いに
機織姫
ワルシャワ
ホラー
栃木県日光市にある鬼怒沼にある伝説にこんな話がありました。そこで、とある美しい姫が現れてカタンコトンと音を鳴らす。声をかけるとその姫は一変し沼の中へ誘うという恐ろしい話。一人の少年もまた誘われそうになり、どうにか命からがら助かったというが。その話はもはや忘れ去られてしまうほど時を超えた現代で起きた怖いお話。はじまりはじまり
人を食らわば
GANA.
ホラー
――ろく……なな……はち……――
右手、左手に二重に巻き付け、握ったポリエステル・ロープが軍手越しにぎりぎりと食い込み、びぃんと目一杯張って、すぐ後ろに立てかけられたはしごの最上段をこする。片膝つきの自分は歯を食いしばって、ぐ、ぐ、ぐ、と前に屈み、ウォークイン・クローゼットの扉に額を押し付けた。両腕から全身が緊張しきって、荒い鼻息、鼓動の響きとともにのぼせていく……――
じ、じゅうよん……じゅうご……じゅうろく……――
ロフトへのはしごに背中をつけ、もたれた「うさぎ」の細い首が、最上段からハングマンズノットで絞められていく……引張強度が300キログラム超のロープ、たとえ足がブローリングから浮き、つり下がったとしても、やせっぽちの息の根を止めるうえで問題にはならない。食い込む痛みを押し、自分はいっそう強く握り締めた。仕損じてはいけない……薬で意識のないうちに、苦しむことなく……――
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
甘いマスクは、イチゴジャムがお好き
猫宮乾
ホラー
人間の顔面にはり付いて、その者に成り代わる〝マスク〟という存在を、見つけて排除するのが仕事の特殊捜査局の、梓藤冬親の日常です。※サクサク人が死にます。【完結済】
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
フランソワーズの耳
猫又
ホラー
主婦、有明伽耶子、ある日突然、他人の思惑、心の声が聞こえるようになってしまった
優しくて働き者の夫、頼りになる義母、物静かな義父。
さらに仲良く家族ぐるみで仲良くしていたご近所達。
さらには犬や猫、鳥までのさえずりが理解出来てしまいパニック状態。
酷い本心、罵詈雑言を吐き出すのは誰か?
伽耶子はそれらとどう戦うのか?
関係は元に戻れるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる