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第三章
全力で……!②
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ようやく一つになれて満たされて、こんな幸せあるのかと驚いた。
離れがたくて、私たちはお互いを見つめて微笑み合ったり、キスをいっぱいした。
先輩に抱きつくと、優しく抱き返してくれて、チュッと頭のてっぺんに口づけられる。
人肌って気持ちいい。
先輩の胸にスリスリと頬を寄せる。
「人肌って気持ちいいんだな。知らなかった」
同じことを思っていたようで、先輩がつぶやくから、うれしくなって、またギュッとする。
(先輩、大好き!)
背中をなでてくれていた先輩の顔から、思わずというように笑みがこぼれた。
こんなリラックスした顔の先輩は初めてだった。
「そういえば、もうすぐクリスマスですね。プレゼントに欲しい物はありますか?」
「優だな。お前がそばにいればいい」
即答されて、顔を赤らめる。
「も、もう! それはあげるとして、それ以外ですよー!」
「お前以外なにもいらない」
「もうっ! 参考にならないです」
私が拗ねると、先輩はくすくす笑って、指で私の頬をなでた。
「これ以上望んだら、バチが当たりそうだ」
「なんですか、それ。当たりませんよ!」
「お前はなにか欲しい物はないのか?」
逆に聞かれて、考え込む。
私も今が幸せ過ぎて、なにも考えつかない。
先輩がいればそれでいいかも。
「うーん、あっ、そうだ! 先輩とどこかに出かけたいです」
「お前も物じゃないんだな」
先輩が笑って、続けた。
「じゃあ、優の欲しい物を買いに出かけよう」
蕩けそうに甘い瞳で先輩が言ってくれる。
「うれしいです!」
最近はネットの絵の販売もバイトも順調で、お金にゆとりができてきたようだ。気軽に出かけようと、言ってくれるようになって、うれしい。
クリスマスはデート。
そう考えるだけで、さらに幸せが込み上げてきた。
クリスマスはちょうど土曜日だった。
朝、いつもよりオシャレをして、部室に急ぐ。
「先輩、メリークリスマス!」
私がそう言いながら入ると、遥斗先輩は振り返って、極上の笑みを見せた。
憂いのなくなった先輩の笑顔は強烈で、いつもポーッと見惚れてしまう。
(お願いだから、そんな笑顔を他の人に見せないでほしい)
先輩に抱きついて、そんなことを切に願う。
「そうだ、先輩。クリスマスプレゼント!」
私は持ってきたカバンからプレゼントを取り出し渡した。
「ありがとう。見ていいか?」
「もちろん」
私が先輩に選んだのは、ちょっと高価なパステルセット。先輩の描く油絵も好きだけど、ほんわかした美しい色のパステル画も好きなんだ。
これで、素敵な絵をいっぱい描いてほしいな、なんて思う。
「これは……綺麗だ」
パステルを見て、先輩が目を輝かせる。
本当に先輩は絵を描くのが好きよね?
大事そうにパステルをなでた。
ふっと顔を上げて私を見ると、先輩が言った。
「俺からも……」
まさかの先輩からのお返しがあるようだ。
今から買いに行くって言ってたのに。
先輩は棚から額を取り出した。
「え……」
それは喜びに溢れたピンク色の洪水。綺麗で綺麗で胸を打つ絵だった。
前に返却した絵と色合いは似てるのに、全然印象が違う。売れてしまったあの絵とも違って、光り輝くように幸福感に溢れていた。
「今の俺だから描けた絵だ。優、ありがとう」
私に絵を手渡しながら、先輩がお礼を言う。
「先輩……」
胸が詰まって、それ以上言葉が出なかった。
こんなに幸せに思ってくれてるの?
本当に?
感動に胸が震える。
感極まって、先輩に抱きついた。
私を優しく抱きとめて、先輩がささやいた。
「優……、俺は今とても幸せだ。もう死んでもいいくらい幸せなんだ」
慌てて顔をあげて、抗議する。
「死んじゃダメですよ、先輩! それに、もっともっと幸せになるんだから」
「これ以上の幸せなんて、想像つかないな」
甘い瞳で私の頬をくすぐりながら、先輩が言うので、私は自信たっぷりに断言した。
「大丈夫です。私が全力でおせっかいして、先輩を幸せにしますから!」
全力で抱きしめられた。
─fin─
離れがたくて、私たちはお互いを見つめて微笑み合ったり、キスをいっぱいした。
先輩に抱きつくと、優しく抱き返してくれて、チュッと頭のてっぺんに口づけられる。
人肌って気持ちいい。
先輩の胸にスリスリと頬を寄せる。
「人肌って気持ちいいんだな。知らなかった」
同じことを思っていたようで、先輩がつぶやくから、うれしくなって、またギュッとする。
(先輩、大好き!)
背中をなでてくれていた先輩の顔から、思わずというように笑みがこぼれた。
こんなリラックスした顔の先輩は初めてだった。
「そういえば、もうすぐクリスマスですね。プレゼントに欲しい物はありますか?」
「優だな。お前がそばにいればいい」
即答されて、顔を赤らめる。
「も、もう! それはあげるとして、それ以外ですよー!」
「お前以外なにもいらない」
「もうっ! 参考にならないです」
私が拗ねると、先輩はくすくす笑って、指で私の頬をなでた。
「これ以上望んだら、バチが当たりそうだ」
「なんですか、それ。当たりませんよ!」
「お前はなにか欲しい物はないのか?」
逆に聞かれて、考え込む。
私も今が幸せ過ぎて、なにも考えつかない。
先輩がいればそれでいいかも。
「うーん、あっ、そうだ! 先輩とどこかに出かけたいです」
「お前も物じゃないんだな」
先輩が笑って、続けた。
「じゃあ、優の欲しい物を買いに出かけよう」
蕩けそうに甘い瞳で先輩が言ってくれる。
「うれしいです!」
最近はネットの絵の販売もバイトも順調で、お金にゆとりができてきたようだ。気軽に出かけようと、言ってくれるようになって、うれしい。
クリスマスはデート。
そう考えるだけで、さらに幸せが込み上げてきた。
クリスマスはちょうど土曜日だった。
朝、いつもよりオシャレをして、部室に急ぐ。
「先輩、メリークリスマス!」
私がそう言いながら入ると、遥斗先輩は振り返って、極上の笑みを見せた。
憂いのなくなった先輩の笑顔は強烈で、いつもポーッと見惚れてしまう。
(お願いだから、そんな笑顔を他の人に見せないでほしい)
先輩に抱きついて、そんなことを切に願う。
「そうだ、先輩。クリスマスプレゼント!」
私は持ってきたカバンからプレゼントを取り出し渡した。
「ありがとう。見ていいか?」
「もちろん」
私が先輩に選んだのは、ちょっと高価なパステルセット。先輩の描く油絵も好きだけど、ほんわかした美しい色のパステル画も好きなんだ。
これで、素敵な絵をいっぱい描いてほしいな、なんて思う。
「これは……綺麗だ」
パステルを見て、先輩が目を輝かせる。
本当に先輩は絵を描くのが好きよね?
大事そうにパステルをなでた。
ふっと顔を上げて私を見ると、先輩が言った。
「俺からも……」
まさかの先輩からのお返しがあるようだ。
今から買いに行くって言ってたのに。
先輩は棚から額を取り出した。
「え……」
それは喜びに溢れたピンク色の洪水。綺麗で綺麗で胸を打つ絵だった。
前に返却した絵と色合いは似てるのに、全然印象が違う。売れてしまったあの絵とも違って、光り輝くように幸福感に溢れていた。
「今の俺だから描けた絵だ。優、ありがとう」
私に絵を手渡しながら、先輩がお礼を言う。
「先輩……」
胸が詰まって、それ以上言葉が出なかった。
こんなに幸せに思ってくれてるの?
本当に?
感動に胸が震える。
感極まって、先輩に抱きついた。
私を優しく抱きとめて、先輩がささやいた。
「優……、俺は今とても幸せだ。もう死んでもいいくらい幸せなんだ」
慌てて顔をあげて、抗議する。
「死んじゃダメですよ、先輩! それに、もっともっと幸せになるんだから」
「これ以上の幸せなんて、想像つかないな」
甘い瞳で私の頬をくすぐりながら、先輩が言うので、私は自信たっぷりに断言した。
「大丈夫です。私が全力でおせっかいして、先輩を幸せにしますから!」
全力で抱きしめられた。
─fin─
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