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第三章
ごめん①
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土曜日。
昨日は疲れて早く寝ちゃったから、ぐっすり寝てさわやかに目覚める。
いそいそとお気に入りのカットソーとジーンズに着替えると、おにぎりを作った。
遥斗先輩が好きなのはシャケのおにぎり。
甘い卵焼き、ポテトサラダ。オレンジ。
それをお弁当箱に詰めると、学校に行く。
サッカー部が朝練をしていた。
私に気づいて、手を振ってくれる人もいた。
カメラを構えて、パシャリと撮ると、わぁっとみんな寄って来ようとして、慌てて手を振って逃げ出す。
部室の前に着くと、すーはぁーっと深呼吸した。
緊張する。なんて言われるかな?
覚悟を決めてノックすると、勢いよく中に入った。
「おはよーございます!」
いつもの位置で絵を描いていた遥斗先輩が振り返って、目を見開いた。私が来るとは思ってもみなかったようで、心底驚愕の表情をしている。
久しぶりの遥斗先輩。
ちょっと顔色が悪い? ちゃんと食べていないのかな?
一瞬、私たちは見つめ合った。
先に我に返ったのは先輩の方で、目つきを鋭くして、「もう来るなって言っただろ」と言い放つ。
「大丈夫ですよ、先輩。土曜日だから噂する人もいないし」
「運動部がいるだろ」
そう言い返して、先輩はしまったという顔をした。
やっぱり噂を気にしてくれていたんだ。
うれしくなって、にっこりする。
「それももう大丈夫なんですよ! 新聞部に頼んで、校内新聞に部活動の記事を書くことになって、昨日、サッカー部と陸上部に行ってきたんです。ここが部室だってアピールしてきたから、もう変な噂をされることはありません! 野球部は森さん……知り合いが否定してくれてるし……」
矢継ぎ早に説明すると、先輩は唖然としていた。
「この短い間に……?」
「そうなんですよー。友達が新聞部の人と知り合いで、相談したら、なんかとんとん拍子にそうなっちゃって、だから……」
私が一生懸命説明していると、先輩はふっと表情を緩めた。と思うと、笑い声を漏らす。
「クッ、アハハハ…………お前、むちゃくちゃだなぁ」
そのままお腹を抱えて、ゲラゲラ笑い出す。
遥斗先輩が爆笑してる……。
今度は私が呆然とその姿を眺めた。
先輩に私を厭う様子はない。
ほっとした瞬間に、ポロッと涙がこぼれた。
あ、ダメだ……。
慌てて涙を拭う。
それでもポロポロ溢れてきてしまって、どうしようと思ったとき───
頭を引き寄せられた。先輩の胸に。
えっ……。
私がフリーズしていると、先輩は私の髪を優しくなでながら、耳許でささやいた。
「悪かった。ひどいことを言って。傷つけて、ごめん。それでも、優は頑張ってくれたんだな……」
先輩……!
そんなことを言われるから、涙が止まらない。
「うっ……ふ、えーん……うっ、うぅっ………」
私は先輩にしがみついて、思いっきり泣いてしまった。
先輩は、私が泣きやむまで、髪や背中をそっとなでてくれた。
昨日は疲れて早く寝ちゃったから、ぐっすり寝てさわやかに目覚める。
いそいそとお気に入りのカットソーとジーンズに着替えると、おにぎりを作った。
遥斗先輩が好きなのはシャケのおにぎり。
甘い卵焼き、ポテトサラダ。オレンジ。
それをお弁当箱に詰めると、学校に行く。
サッカー部が朝練をしていた。
私に気づいて、手を振ってくれる人もいた。
カメラを構えて、パシャリと撮ると、わぁっとみんな寄って来ようとして、慌てて手を振って逃げ出す。
部室の前に着くと、すーはぁーっと深呼吸した。
緊張する。なんて言われるかな?
覚悟を決めてノックすると、勢いよく中に入った。
「おはよーございます!」
いつもの位置で絵を描いていた遥斗先輩が振り返って、目を見開いた。私が来るとは思ってもみなかったようで、心底驚愕の表情をしている。
久しぶりの遥斗先輩。
ちょっと顔色が悪い? ちゃんと食べていないのかな?
一瞬、私たちは見つめ合った。
先に我に返ったのは先輩の方で、目つきを鋭くして、「もう来るなって言っただろ」と言い放つ。
「大丈夫ですよ、先輩。土曜日だから噂する人もいないし」
「運動部がいるだろ」
そう言い返して、先輩はしまったという顔をした。
やっぱり噂を気にしてくれていたんだ。
うれしくなって、にっこりする。
「それももう大丈夫なんですよ! 新聞部に頼んで、校内新聞に部活動の記事を書くことになって、昨日、サッカー部と陸上部に行ってきたんです。ここが部室だってアピールしてきたから、もう変な噂をされることはありません! 野球部は森さん……知り合いが否定してくれてるし……」
矢継ぎ早に説明すると、先輩は唖然としていた。
「この短い間に……?」
「そうなんですよー。友達が新聞部の人と知り合いで、相談したら、なんかとんとん拍子にそうなっちゃって、だから……」
私が一生懸命説明していると、先輩はふっと表情を緩めた。と思うと、笑い声を漏らす。
「クッ、アハハハ…………お前、むちゃくちゃだなぁ」
そのままお腹を抱えて、ゲラゲラ笑い出す。
遥斗先輩が爆笑してる……。
今度は私が呆然とその姿を眺めた。
先輩に私を厭う様子はない。
ほっとした瞬間に、ポロッと涙がこぼれた。
あ、ダメだ……。
慌てて涙を拭う。
それでもポロポロ溢れてきてしまって、どうしようと思ったとき───
頭を引き寄せられた。先輩の胸に。
えっ……。
私がフリーズしていると、先輩は私の髪を優しくなでながら、耳許でささやいた。
「悪かった。ひどいことを言って。傷つけて、ごめん。それでも、優は頑張ってくれたんだな……」
先輩……!
そんなことを言われるから、涙が止まらない。
「うっ……ふ、えーん……うっ、うぅっ………」
私は先輩にしがみついて、思いっきり泣いてしまった。
先輩は、私が泣きやむまで、髪や背中をそっとなでてくれた。
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