119 / 171
第三章
意味わかる?①
しおりを挟む
散々泣いて、泣き疲れると、不思議と落ち着いた。
でも、目は痛いし、鼻はずるずる。
廊下に誰もいないことを確認して、近くのトイレに駆け込む。
バシャバシャと顔を洗ったら、スッキリした。
でも、完全に目が腫れていてひどい顔。
ハンカチを濡らして目を冷やす。
…………初めて授業をサボっちゃったなぁ。
先生に見つかるとヤバいから、またさっきの教室に戻った。
今度はちゃんと椅子に座って、水筒のお茶を飲む。
はぁぁぁあ………。
なにが遥斗先輩を怒らせたのかなぁ。
和田先生に出品料の話をしたのがバレたとか? お兄ちゃんの服を和田先生経由であげたこと? やっぱりあの部屋を部室にしたことが嫌になったのかな?
心当たりがあり過ぎて、特定できない。
細かいところでは、お弁当の感想を言わせるとか、嫌だったのかもしれない。
ボソッと律儀に言ってくれるのがかわいくて、結構好きだったのになぁ。
それも、もう聞けない。
『お前にうろちょろされると迷惑だ。もう絵が売れるのはわかったし、お前には用はない』
先輩の声がリフレインする。
胸に棘が刺さったように、ズキズキ痛む。
でも、私がいても全然お構いなしに絵を描いてたよね?
もう私に用はないなんて、私を利用してたような言い方だったけど、私がどんどん勝手に進めたことだったし、なんか違うよね?
冷静になってみると、なんかおかしい。
昨日の帰りまで遥斗先輩は普通で笑ったりもして、絵が売れたことを喜んでいたし、私が部室に来るのを嫌がる様子もなかった。
お弁当は今週で終わりでいいとは言っていたけど、私がどうしてもって言ったら、受け取ってくれそうだった。
なのに、急になんで?
『ここに来るな』の一点張りだった。
ってことは、私が帰ってからなにかあったの?
考えられるのは真奈美先輩か和田先生。
まずは真奈美先輩に聞いてみようかな。
方針が決まるとちょっと心が軽くなった。
それでも、あの遥斗先輩の冷たい眼差しを思い出すと、すぐ心が冷えてズーンと重くなる。
ダメだ。えっと思い浮かべるなら笑顔にしよう。
遥斗先輩の滅多に見せない笑顔を思い浮かべると、それはそれで泣きたくなった。
胸がキューッとなって、切なくなる。
その顔に向かって心の中で叫ぶ。
おせっかい優ちゃんから、そんな簡単に逃げられると思わないでください!
真奈美先輩のところに行くことにしたのはいいんだけど、まだ授業中だ。
時間を持て余した私は仕方なく勉強をすることにした。
もうすぐ中間テストだし。
でも、目は痛いし、鼻はずるずる。
廊下に誰もいないことを確認して、近くのトイレに駆け込む。
バシャバシャと顔を洗ったら、スッキリした。
でも、完全に目が腫れていてひどい顔。
ハンカチを濡らして目を冷やす。
…………初めて授業をサボっちゃったなぁ。
先生に見つかるとヤバいから、またさっきの教室に戻った。
今度はちゃんと椅子に座って、水筒のお茶を飲む。
はぁぁぁあ………。
なにが遥斗先輩を怒らせたのかなぁ。
和田先生に出品料の話をしたのがバレたとか? お兄ちゃんの服を和田先生経由であげたこと? やっぱりあの部屋を部室にしたことが嫌になったのかな?
心当たりがあり過ぎて、特定できない。
細かいところでは、お弁当の感想を言わせるとか、嫌だったのかもしれない。
ボソッと律儀に言ってくれるのがかわいくて、結構好きだったのになぁ。
それも、もう聞けない。
『お前にうろちょろされると迷惑だ。もう絵が売れるのはわかったし、お前には用はない』
先輩の声がリフレインする。
胸に棘が刺さったように、ズキズキ痛む。
でも、私がいても全然お構いなしに絵を描いてたよね?
もう私に用はないなんて、私を利用してたような言い方だったけど、私がどんどん勝手に進めたことだったし、なんか違うよね?
冷静になってみると、なんかおかしい。
昨日の帰りまで遥斗先輩は普通で笑ったりもして、絵が売れたことを喜んでいたし、私が部室に来るのを嫌がる様子もなかった。
お弁当は今週で終わりでいいとは言っていたけど、私がどうしてもって言ったら、受け取ってくれそうだった。
なのに、急になんで?
『ここに来るな』の一点張りだった。
ってことは、私が帰ってからなにかあったの?
考えられるのは真奈美先輩か和田先生。
まずは真奈美先輩に聞いてみようかな。
方針が決まるとちょっと心が軽くなった。
それでも、あの遥斗先輩の冷たい眼差しを思い出すと、すぐ心が冷えてズーンと重くなる。
ダメだ。えっと思い浮かべるなら笑顔にしよう。
遥斗先輩の滅多に見せない笑顔を思い浮かべると、それはそれで泣きたくなった。
胸がキューッとなって、切なくなる。
その顔に向かって心の中で叫ぶ。
おせっかい優ちゃんから、そんな簡単に逃げられると思わないでください!
真奈美先輩のところに行くことにしたのはいいんだけど、まだ授業中だ。
時間を持て余した私は仕方なく勉強をすることにした。
もうすぐ中間テストだし。
0
お気に入りに追加
144
あなたにおすすめの小説
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
彼氏と親友が思っていた以上に深い仲になっていたようなので縁を切ったら、彼らは別の縁を見つけたようです
珠宮さくら
青春
親の転勤で、引っ越しばかりをしていた佐久間凛。でも、高校の間は転校することはないと約束してくれていたこともあり、凛は友達を作って親友も作り、更には彼氏を作って青春を謳歌していた。
それが、再び転勤することになったと父に言われて現状を見つめるいいきっかけになるとは、凛自身も思ってもいなかった。
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
校長先生の話が長い、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
学校によっては、毎週聞かされることになる校長先生の挨拶。
学校で一番多忙なはずのトップの話はなぜこんなにも長いのか。
とあるテレビ番組で関連書籍が取り上げられたが、実はそれが理由ではなかった。
寒々とした体育館で長時間体育座りをさせられるのはなぜ?
なぜ女子だけが前列に集められるのか?
そこには生徒が知りえることのない深い闇があった。
新年を迎え各地で始業式が始まるこの季節。
あなたの学校でも、実際に起きていることかもしれない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる