67 / 171
第一章 ― 優 ―
イケメンと美形は違う②
しおりを挟む
「オーケー」
「わー、放課後が楽しみー! あ、その前になにがあったか、聞かせてもらうからね!」
しっかり釘を刺されて、私は頷いた。
どこまで話そうかと考えながら。
放課後、人がまばらになった教室で、菜摘ちゃんとさやちゃんが私の席に寄ってきた。
「それで、どうしたの? どうせ遥斗先輩絡みだろうけど」
うー、そう言われると言いにくいなぁ。
その通りなんだけど。
「んーとね。体操服を取りに行ったでしょ? 部室に入ったらちょうど遥斗先輩が着替えてて……」
「うわぁー、いわゆるラッキーハプニング?」
「なにそれ?」
「なっちゃん、ふざけない!」
「ごめーん」
さやちゃんに怒られた菜摘ちゃんはテヘッと舌を出す。
「それで?」
「それで、遥斗先輩の上半身を見ちゃったんだけど……信じられないほどガリガリに痩せていたの。肋骨が浮いて」
目に焼きついている遥斗先輩の身体。
最近はちゃんと食べているはずだけど、ゴールデンウィークもあったし、そんなに簡単には回復しないか……。
それを聞いた二人は痛ましい表情になった。
「遥斗先輩……本当に食べるものに困っていたんだね」
「そんなことあるなんて、未だに信じられないんだけど……」
「うん、そうだね……。それで、私、居ても立っても居られなくなって、和田先生のところに行ったの」
「和田先生?」
「そんな先生いた?」
さやちゃんも菜摘ちゃんも首を傾げた。
そういえば、和田先生のことは言ったことなかったかも。
直接教わってなかったら、接点もないしね。
「うん、歴史の先生で、写真同好会の顧問。っていうか、前から遥斗先輩を知ってて、ここに先輩がいられるようにしてくれたのも和田先生っぽい」
「へー、そうだったんだ」
「じゃあ、その和田先生にいじめられたの?」
そう言って菜摘ちゃんが視線を鋭くするから、私は慌てて否定した。
「違う違う! なんとかならないのか、直談判に行ったの。今思うと、八つ当たりみたいだったかも」
冷静になって思い返すと、ちょっと冷や汗が出てくる。
少なくとも先生には私に責められる覚えはないよね……。
「でも、完全に大人の領域なんだから、それは正しいんじゃない?」
「わー、放課後が楽しみー! あ、その前になにがあったか、聞かせてもらうからね!」
しっかり釘を刺されて、私は頷いた。
どこまで話そうかと考えながら。
放課後、人がまばらになった教室で、菜摘ちゃんとさやちゃんが私の席に寄ってきた。
「それで、どうしたの? どうせ遥斗先輩絡みだろうけど」
うー、そう言われると言いにくいなぁ。
その通りなんだけど。
「んーとね。体操服を取りに行ったでしょ? 部室に入ったらちょうど遥斗先輩が着替えてて……」
「うわぁー、いわゆるラッキーハプニング?」
「なにそれ?」
「なっちゃん、ふざけない!」
「ごめーん」
さやちゃんに怒られた菜摘ちゃんはテヘッと舌を出す。
「それで?」
「それで、遥斗先輩の上半身を見ちゃったんだけど……信じられないほどガリガリに痩せていたの。肋骨が浮いて」
目に焼きついている遥斗先輩の身体。
最近はちゃんと食べているはずだけど、ゴールデンウィークもあったし、そんなに簡単には回復しないか……。
それを聞いた二人は痛ましい表情になった。
「遥斗先輩……本当に食べるものに困っていたんだね」
「そんなことあるなんて、未だに信じられないんだけど……」
「うん、そうだね……。それで、私、居ても立っても居られなくなって、和田先生のところに行ったの」
「和田先生?」
「そんな先生いた?」
さやちゃんも菜摘ちゃんも首を傾げた。
そういえば、和田先生のことは言ったことなかったかも。
直接教わってなかったら、接点もないしね。
「うん、歴史の先生で、写真同好会の顧問。っていうか、前から遥斗先輩を知ってて、ここに先輩がいられるようにしてくれたのも和田先生っぽい」
「へー、そうだったんだ」
「じゃあ、その和田先生にいじめられたの?」
そう言って菜摘ちゃんが視線を鋭くするから、私は慌てて否定した。
「違う違う! なんとかならないのか、直談判に行ったの。今思うと、八つ当たりみたいだったかも」
冷静になって思い返すと、ちょっと冷や汗が出てくる。
少なくとも先生には私に責められる覚えはないよね……。
「でも、完全に大人の領域なんだから、それは正しいんじゃない?」
0
お気に入りに追加
148
あなたにおすすめの小説
何故か超絶美少女に嫌われる日常
やまたけ
青春
K市内一と言われる超絶美少女の高校三年生柊美久。そして同じ高校三年生の武智悠斗は、何故か彼女に絡まれ疎まれる。何をしたのか覚えがないが、とにかく何かと文句を言われる毎日。だが、それでも彼女に歯向かえない事情があるようで……。疋田美里という、主人公がバイト先で知り合った可愛い女子高生。彼女の存在がより一層、この物語を複雑化させていくようで。
しょっぱなヒロインから嫌われるという、ちょっとひねくれた恋愛小説。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/youth.png?id=ad9871afe441980cc37c)
隣人の女性がDVされてたから助けてみたら、なぜかその人(年下の女子大生)と同棲することになった(なんで?)
チドリ正明@不労所得発売中!!
青春
マンションの隣の部屋から女性の悲鳴と男性の怒鳴り声が聞こえた。
主人公 時田宗利(ときたむねとし)の判断は早かった。迷わず訪問し時間を稼ぎ、確証が取れた段階で警察に通報。DV男を現行犯でとっちめることに成功した。
ちっぽけな勇気と小心者が持つ単なる親切心でやった宗利は日常に戻る。
しかし、しばらくして宗時は見覚えのある女性が部屋の前にしゃがみ込んでいる姿を発見した。
その女性はDVを受けていたあの時の隣人だった。
「頼れる人がいないんです……私と一緒に暮らしてくれませんか?」
これはDVから女性を守ったことで始まる新たな恋物語。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/youth.png?id=ad9871afe441980cc37c)
大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話
家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。
高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。
全く勝ち目がないこの恋。
潔く諦めることにした。
自称未来の妻なヤンデレ転校生に振り回された挙句、最終的に責任を取らされる話
水島紗鳥
青春
成績優秀でスポーツ万能な男子高校生の黒月拓馬は、学校では常に1人だった。
そんなハイスペックぼっちな拓馬の前に未来の妻を自称する日英ハーフの美少女転校生、十六夜アリスが現れた事で平穏だった日常生活が激変する。
凄まじくヤンデレなアリスは拓馬を自分だけの物にするためにありとあらゆる手段を取り、どんどん外堀を埋めていく。
「なあ、サインと判子欲しいって渡された紙が記入済婚姻届なのは気のせいか?」
「気にしない気にしない」
「いや、気にするに決まってるだろ」
ヤンデレなアリスから完全にロックオンされてしまった拓馬の運命はいかに……?(なお、もう一生逃げられない模様)
表紙はイラストレーターの谷川犬兎様に描いていただきました。
小説投稿サイトでの利用許可を頂いております。
Hand in Hand - 二人で進むフィギュアスケート青春小説
宮 都
青春
幼なじみへの気持ちの変化を自覚できずにいた中2の夏。ライバルとの出会いが、少年を未知のスポーツへと向わせた。
美少女と手に手をとって進むその競技の名は、アイスダンス!!
【2022/6/11完結】
その日僕たちの教室は、朝から転校生が来るという噂に落ち着きをなくしていた。帰国子女らしいという情報も入り、誰もがますます転校生への期待を募らせていた。
そんな中でただ一人、果歩(かほ)だけは違っていた。
「制覇、今日は五時からだから。来てね」
隣の席に座る彼女は大きな瞳を輝かせて、にっこりこちらを覗きこんだ。
担任が一人の生徒とともに教室に入ってきた。みんなの目が一斉にそちらに向かった。それでも果歩だけはずっと僕の方を見ていた。
◇
こんな二人の居場所に現れたアメリカ帰りの転校生。少年はアイスダンスをするという彼に強い焦りを感じ、彼と同じ道に飛び込んでいく……
――小説家になろう、カクヨム(別タイトル)にも掲載――
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
水曜日は図書室で
白妙スイ@書籍&電子書籍発刊!
青春
綾織 美久(あやおり みく)、高校二年生。
見た目も地味で引っ込み思案な性格の美久は目立つことが苦手でクラスでも静かに過ごしていた。好きなのは図書室で本を見たり読んだりすること、それともうひとつ。
あるとき美久は図書室で一人の男子・久保田 快(くぼた かい)に出会う。彼はカッコよかったがどこか不思議を秘めていた。偶然から美久は彼と仲良くなっていき『水曜日は図書室で会おう』と約束をすることに……。
第12回ドリーム小説大賞にて奨励賞をいただきました!
本当にありがとうございます!
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる