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【番外編】
悪友と 上
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「お嬢さん、マジで理人でいいの?」
「騙されてない?」
「Elle est mignonne.(かわいいですね) リヒトなんてヤメテ、ワタシと恋しませんか?」
悪友どもに葉月を紹介したら、第一声がこれだった。
学生からの腐れ縁の武藤に、前の会社の同僚の林とルイ。
飲み仲間兼ツーリング仲間で、たまにつるんでいるメンバーだ。
結婚のことを話したら、こいつらが式の前に紹介しろとうるさいので、行きつけのイタリアンで飲むことにした。
自己紹介してはにかんだ笑顔の葉月に、やつらが一様に視線を吸い寄せられ、まぶしそうに目を細めた。その次の瞬間の言葉がこれだ。
(葉月は妙に俺たちのような遊び慣れてる男を惹きつけるよな)
控えめで清純。なのに、どこか一本筋が通っているような凛としたところがあるからだろうか。手を差し伸べたくなる可憐さもある。
考えてみたら、一柳も葉月に執着していたな。
大切に囲っておきたくなるようなお嬢様。
でも、本当はそんな枠には収まらない大胆なところもあって、目が離せない。
それに葉月はどんどん綺麗になっていく。
自分に自信がなくて、うつむいてばかりいたのが、表情が明るくなり、活き活きとしているからかもしれない。
本人はまったく自覚がないようだから、危なっかしくて仕方がない。
「お前らな~」
ニヤニヤ笑うヤツらを睨めつけ、同じくふふっと笑う葉月の腰を引き寄せる。
特に、ルイはヤバい。葉月を近づけてはいけないヤツだった。
彼は恋多きフランス人。ナチュラルに手が早く、危険人物だ。
「千里さんと同じことを言うんですね」
笑いながら葉月が言うと、武藤が「そりゃ、日頃の行いがね~」と返す。
「実際、理人が結婚だなんて、なんの冗談だと思ったね。てっきり、避妊に失敗したかと……」
「おいっ!」
「しかも、こんな清楚なお嬢様とだなんてな。でも、そんなふうに取られまいと逆毛を立てているってことは本気なんだな」
「ハハッ、リヒトのソンなカオはハジメテ見たよ」
俺のめずらしい様子をからかわれて、気恥ずかしい。
らしくないと自分でも思う。
でも、葉月から手を離せない。
(まいったな。独占欲とは無縁だと思っていたのに)
髪を掻き上げて、表情をごまかす。
気がつくと、葉月が頬を染めて、俺を見上げている。
可愛い。
俺は彼女の後ろ髪を撫で、その頬に唇を寄せた。
「うらやましいだろ。俺のもんだ」
「騙されてない?」
「Elle est mignonne.(かわいいですね) リヒトなんてヤメテ、ワタシと恋しませんか?」
悪友どもに葉月を紹介したら、第一声がこれだった。
学生からの腐れ縁の武藤に、前の会社の同僚の林とルイ。
飲み仲間兼ツーリング仲間で、たまにつるんでいるメンバーだ。
結婚のことを話したら、こいつらが式の前に紹介しろとうるさいので、行きつけのイタリアンで飲むことにした。
自己紹介してはにかんだ笑顔の葉月に、やつらが一様に視線を吸い寄せられ、まぶしそうに目を細めた。その次の瞬間の言葉がこれだ。
(葉月は妙に俺たちのような遊び慣れてる男を惹きつけるよな)
控えめで清純。なのに、どこか一本筋が通っているような凛としたところがあるからだろうか。手を差し伸べたくなる可憐さもある。
考えてみたら、一柳も葉月に執着していたな。
大切に囲っておきたくなるようなお嬢様。
でも、本当はそんな枠には収まらない大胆なところもあって、目が離せない。
それに葉月はどんどん綺麗になっていく。
自分に自信がなくて、うつむいてばかりいたのが、表情が明るくなり、活き活きとしているからかもしれない。
本人はまったく自覚がないようだから、危なっかしくて仕方がない。
「お前らな~」
ニヤニヤ笑うヤツらを睨めつけ、同じくふふっと笑う葉月の腰を引き寄せる。
特に、ルイはヤバい。葉月を近づけてはいけないヤツだった。
彼は恋多きフランス人。ナチュラルに手が早く、危険人物だ。
「千里さんと同じことを言うんですね」
笑いながら葉月が言うと、武藤が「そりゃ、日頃の行いがね~」と返す。
「実際、理人が結婚だなんて、なんの冗談だと思ったね。てっきり、避妊に失敗したかと……」
「おいっ!」
「しかも、こんな清楚なお嬢様とだなんてな。でも、そんなふうに取られまいと逆毛を立てているってことは本気なんだな」
「ハハッ、リヒトのソンなカオはハジメテ見たよ」
俺のめずらしい様子をからかわれて、気恥ずかしい。
らしくないと自分でも思う。
でも、葉月から手を離せない。
(まいったな。独占欲とは無縁だと思っていたのに)
髪を掻き上げて、表情をごまかす。
気がつくと、葉月が頬を染めて、俺を見上げている。
可愛い。
俺は彼女の後ろ髪を撫で、その頬に唇を寄せた。
「うらやましいだろ。俺のもんだ」
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