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⑥
新・いばら姫 〜廃城での狂乱の三日間〜
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翌朝、目覚めたアリーシャは自分達がまだ繋がったままなのに気づいて、顔を赤らめた。
自分がおねだりした自覚はあった。
不可抗力と意志が働くのとでは雲泥の差だ。
ラウルは優しいから、私のお願いを聞いてくれて、このままでいてくれたんだわ。
重くなかったかしら?
彼の鍛えられた厚みのある身体に対して、ひ弱な自分の身体は小さく、彼はなんの重みも感じてないように、安らかに眠っている。
彼は優しい。
だから、キスもくれないし、呪いが解除された後のことを考えて、一線を引いている。
アリーシャはそれがたまらなくさみしく感じた。
呪いが終わるのは今日なのかしら?
それとも、もう一度こうして一緒に眠れる?
どちらにしても、明日には呪いは終わり、ラウルとの親密な関係も終わる。
離れていても、どこか繋がっている感覚があったけど、その糸も切れるのだろう。
さみしくて仕方ない。
こう思うのも呪いのせいなのかしら?
呪いが終われば、この切ない気持ちも消えるの?
それは喜ばしいことなのか、悲しいことなのか、アリーシャにはわからなかった。
ただ泣きたくなって、ラウルの胸に顔を埋めた。
すると、大きな温かい手が彼女の頭をなでた。
「アリーシャ……?」
寝ぼけたラウルが目を閉じたまま、つぶやいた。
アリーシャは一層泣きたくなった。
彼が起きるまで、アリーシャはその温かい身体にくっついていた。
いつの間にか、ここがとても安心できる場所になっている。
ラウルが目を開けると、彼女はとびきりの笑顔で微笑んだ。
起き抜けに、最上の笑顔を向けられて、彼は彼女の顔から目が離せなくなった。
これはヤバいだろ。
魅惑的な女が自分を中に収め、跨り、微笑んでいる。
彼のモノが大きくなり、「えっ……」とアリーシャは戸惑う。
「単なる生理現象だ。気にするな」
彼女はよくわからず、頷いた。
「そろそろ抜くぞ?」
自分の荒れ狂う欲求を抑え込んで、ラウルは彼女から出ようとした。
しかし、そうはさせまいというように、呪いが発動した。
「くそっ!」
彼が悪態をついたので、アリーシャがびくつく。
「悪い。お前に言ったんじゃない。俺の問題だ」
そう言って、仰向けのまま、彼はアリーシャの胸に手を伸ばした。
この体勢の方が激しくしすぎなくていい。
柔らかな乳房をゆっくりと揉む。
手のひらで、乳首を転がすと、硬く尖ってくるのがわかった。
それだけで、彼を収めている膣がぴくぴく蠢いた。
片方の乳房を掴んで引き寄せ、その天辺の赤い粒を軽く噛んだ。
「………ッ!」
キュンと中が締まる。
そこを口で引っ張りながら、舌で転がすと、彼女の腰が揺れた。
胸をかわいがりつつ、指で茂みを探る。
そこに隠れてた尖りを指で押し込むと、何かのスイッチが入ったように、アリーシャが嬌声をあげて、跳ねた。
胸と花芽を同時に弄っていると、彼女はあっという間に高められて、彼のモノを締めつけながら、達した。
そこで、ようやくラウルは腰を動かし始めた。
彼女の腰を持ち、突き上げる。
腰が浮いて、下りてくるときに、陰部同士がぶつかり、強烈な快楽が生まれる。
パンパンパンと肉のぶつかる音を響かせて、ラウルは突き上げ続けた。
「うっ……ふっ……あっ、あん……んっ……気持ちぃ……あんっ……」
彼の動きに合わせて、乳房が上下に激しく揺れる。
「気持ちいいッ、ああっ、ああんッ!」
彼女は背中を反らせて、揺さぶられていた。
一層深く貫かれたとき、「やあぁッ」と高く叫んで、再びイッた。
ビュッビュッと熱いものが吐き出され、アリーシャの中にじんわり熱が広がる。
「あぁ………」
気持ちよさそうに目を閉じて、彼女はラウルの胸に顔を埋めた。
あまりに無防備に身体を預けてくるアリーシャに、ラウルは心配になる。
「お前、ここを出たら、誰にでも気を許すんじゃないぞ? 特に、男には気をつけろ。絶対に二人っきりになるな。下手すると襲われるぞ?」
突然そんなことを言い出したラウルにびっくりして、アリーシャは目をあげた。
「え、どうしてですか?」
「どうしてって、自分の魅力に気づいてないのか? 男だったら誰でも押し倒したくなるなりをしてるくせに。その上、金持ちの独り身の女なんて、狙ってくれと言ってるようなもんだ。そもそも俺が悪い男だったら、お前をここに閉じ込めて、好きなときに抱き、財宝は自分のものにする」
「でも、ラウルはそんなことしないですよね?」
「どうだかな……。その誘惑に負けるかもしれないぞ? 俺はお前が思うほど、良い人間じゃない」
「十分いい人です」
アリーシャの全幅の信頼を置いた眼差しに、ラウルはたまらなくなる。
身体をひねって、アリーシャを押し倒し、その顔の横に手をついた。
「きゃっ」
突然身体を引き倒されて、彼女は小さな悲鳴をあげた。
至近距離で鋭い翠の瞳が彼女を睨めつける。
「本当に良い人間なら、お前をむちゃくちゃに犯しまくって、自分のものにしたいなんて衝動に駆られない…!」
アリーシャが息を呑んだ。
彼の突然の激情に身を竦ませている。
ラウルは、ふいっと視線を逸らせ、身を起こそうとした。
そこにアリーシャがしがみついた。
「あなたのものにしてください。ラウルにならむちゃくちゃにされてもいい……」
彼女はそう言って、赤い顔を彼の首元に埋める。
「お前………男に迂闊にそんなこと言うなよ……」
ラウルはかすれ声で、彼女を諌めた。
「男に、じゃなくて、ラウルに言ってるんです!」
彼は、自分の首に巻きついている彼女の腕を取り、シーツに張りつけた。
「そういうことは呪いが解けた後に言ってくれ。喜んで犯してやる」
ラウルはそう言い捨てると、ルビーを取って、自分のモノの代わりに彼女に押し込むと、立ち上がった。
さっさと服を身に着ける。
「便所に行ってくる。そのまま、飯を作るから、身支度したら、調理場に来い」
彼女と目を合わすことなく、一方的に告げると、ラウルは部屋を出ていった。
(…………拒否された?)
初めてこんなに素っ気なくされて、アリーシャは涙ぐんだ。
でも、自分のものにしたいって言ったわ。
そう思うのも、呪いのせいだと思ってるのかしら。
私がこんなにラウルを求めているのも、全部呪いのせいだと?
のろのろと起き上がり、服を身につける。
本当に彼のものになれたら、どんなに幸せだろう。
彼とずっと一緒に過ごせたら……。
これは依存?
外の世界が怖いから?
アリーシャは自分の気持ちを吟味する。
ううん、ただそばにいたいだけ。
好きだから……。
だいたい、超好みの顔で優しくされて、あんなに情熱的に見つめられて、好きにならないわけないわ……。
しかも、あんなに怒ってたみたいなのに、『飯を作る』なんて、いい人じゃない!
アリーシャは、さっきの彼の言葉を思い出して、くすっと笑った。
呪いが解けたら、もう一度言えって言った。
そしたら、抱いてくれるって。
そういうことよね?
彼女は良いように解釈することにした。
ラウルは足音荒く、歩いていた。
イライラする………自分に。
さっきのは何なんだ!
何が自分のものにしたいだ!
できるわけないだろ、あんなお姫さまを。
どうやって、面倒みるつもりだ?
あんなのを家に置いといたら、心配で家を離れられないだろ!
商売あがったりだ。
どうせ、呪いが解除されたら、冷静になる。
まだ錯覚したままでも、広い世界で、もっと俺より条件のいい上品な男を見れば、気が変わる。
今日を過ぎれば……。
用を足すと、調理場に向かう。
何を作るかな……。
気がつくと、彼女が喜びそうなメニューを考えている。
仕方ないじゃないか、いつもあんなにうれしそうに食べるから。
ラウルは、ハムとキノコを炒めた。
そして、小麦粉と卵と牛乳を混ぜて、フライパンで薄く焼く。
その上にハムとキノコを乗せ、卵を落として、チーズをまぶす。
蓋をして、蒸らす。
卵が半熟になると下の生地で、具を包んだ。
それを二つ作ると、残りの生地で切ったバナナと砂糖とバターを包んだものを作った。
さらに残った生地は、何も入れず何枚も焼く。
料理を作っていると、感情が落ち着いてきた。
デザート用に作ったものを半分に切ると、バナナがいい感じにトロっとなっていて、悦に入る。
そんなところに、ひょこっと、アリーシャが顔を出した。
「あぁ、ちょうどいい。できたぞ」
何気ない様子で声をかけると、彼女が近寄ってきて、手元を覗く。
「これはなんですか?」
「バナナのクレープだ。デザートだな」
「バナナ……クラド王国の名産ですね……」
アリーシャが顔を曇らせたので、ラウルは聞いた。
「バナナは嫌いか?」
「いいえ、バナナは好きなんですが……私、クラド王国に嫁ぐことになっていたので……。そういえば、クラド王国はまだあるんですか?」
「あると言うか、ここはクラド王国の領内になっている」
彼女は目を見開いて、ショックを受けている。
そうか、彼女にとっては自分の国がなくなって、他国に侵略されたということになるか……。
「そうですか……。私、戦争回避のために、クラド王の後添えとして嫁ぐことになっていたんです。彼が私を所望して。私が眠りについたから、戦争になってしまったんですね……」
「後添えって、その時の王はいくつだったんだ?」
「たしか64歳だったかと」
「とんだエロオヤジだな! 眠りについて、よかったじゃないか!」
彼女がいやらしい爺に好き勝手されるところを想像して、ラウルは憤った。
「でも、私はそういう役目のために生きていたので……」
「どういうことだ? 大事に育てられた箱入り娘じゃなかったのか?」
「箱入り娘……そうですね。王宮から出されず、交渉材料として大事にされてたとも言えますね……。お父様は私をいかに王家に有利な条件で嫁がせるかということしか興味がありませんでしたから」
表情を消した初めて見る顔で、アリーシャは淡々と言った。
「なんだ、それは……!」
王家の結婚とはそういうものかもしれないが、
父親から政治の道具としてしか見られていなかったとは……。
「母親は?」
「幼い頃に亡くなりました。優しい面影をぼんやりと覚えているだけで……」
「そうか、聞いて悪かったな」
「いいえ」
微かに笑って、彼女は首を横に振った。
彼女がひとり取り残されて、思ったより悲しんでない理由がわかった。
もともと彼女は孤独だったのだ。
彼女を胸に引き寄せる。
頭をなでてやると、アリーシャも彼の背中に手を回した。
しばらくして、気持ちの整理がついたのか、アリーシャが顔をあげた。
「そういえば、食べていいですか? 美味しそうで、お腹空いちゃいました」
アリーシャが雰囲気を変えるように、明るい声をあげた。
「あぁ、食べようか。温かい方がうまい」
皿をテーブルに運んで、グラスに牛乳を入れる。
「いただきます」
アリーシャはそう言うと、早速クレープにナイフを入れた。
半熟卵の黄身がとろっと溢れ出てくる。
それを生地に絡めて、口に入れた。
「美味しい!」
彼女は満面の笑みを浮かべた。
ラウルもその様子を見て、微笑む。
穏やかな雰囲気で、二人は朝食を楽しんだ。
朝食を終えると、かなり朝寝をしていたので、昼近くになっていた。
とはいえ、特にやることもなく、手持ちぶさただったので、アリーシャが「宝物庫を覗いてみませんか?」と提案した。
ラウルには願ってもない話で、一もニもなく賛成する。
二人は連れ立って、宝物庫へ行った。
「ラウルは宝石が好きなんですか?」
宝物庫を探索しながら、中でも特に宝石に興味を示す彼に、アリーシャは尋ねた。
「そうだな。いかにも宝って感じだし、価値がわかりやすいからな。絵画とか見ても、いいのか悪いのか、さっぱりわからないし」
「そういう理由なんですね」
その実利的な理由がおかしくて、彼女は笑った。
「おっ、これはすごいな。お前の瞳のように美しい」
ラウルが、大粒のサファイアを手に取って、日に透かす。
アリーシャは赤くなった。
昔から容姿は褒められてきたけど、ラウルに美しいと言われると、その言葉が特別なものに思えてくる。
でも、気軽に口に出される称賛の言葉は、誰にでも使われてるからこそのものかもしれない。
「………ラウルはモテるんでしょうね」
思わず、拗ねたように言ってしまう。
「なんだそれ?」
「だって、そんなに何気なく女性を褒めてたら、きっと誰だってあなたを好きになってしまいます」
「そんな覚えはないけどな」
ラウルは苦笑する。
それに対して、アリーシャは畳み掛けた。
「でも、女性の扱い、上手ですよね?」
「そりゃまあ、この歳になれば少しくらい経験もあるさ。でも、まあ未だに独身なのが物語ってるだろ」
「そういえば、ラウルっていくつなんですか?」
「27だ」
「27歳なんですね」
とっくに結婚しててもおかしくない歳だ。
ラウルにももちろん色恋沙汰はあったが、お宝を求めて、放浪しているのが常の彼に、女性の方が痺れを切らし、去っていくというのがパターンだった。
基本、一人で何でもできるラウルは結婚の必要性も感じず、今に至る。
ビクンッ
ふいにアリーシャが身じろぎした。
いつもの衝動がやってきたのだ。
ラウルは近場にあったテーブルにアリーシャを乗せた。
彼女のショーツを取り去ると、脚を開いて、その間に顔を埋める。
温かく湿ったものが、彼女の秘裂を舐めあげた。
「んんっ!」
彼の舌はそのまま、秘裂の先の尖りを舐り、つつく。
アリーシャは堪らず、腰を跳ねさせた。
閉じようとする脚をしっかり持って固定して、彼は舌で執拗にそこを攻めた。
「あっうんっ……くぅ……あぁっ……ああっ……」
愛液がしとどに垂れてくる。
彼はたまにそれを舐め啜り、彼女を高めていく。
花芽を甘噛みされたとき、アリーシャは弾けた。
頭がスパークしたようで、真っ白になる。
一瞬止めた息を吐き出し、荒い息をつく彼女の中からルビーを取り出し、ラウルは中が溢れる前に自分の欲望の塊を押し込んだ。
彼女の中は、先程の余韻でうねっていた。
『ラウルにだったらむちゃくちゃにされてもいい』
ふいに彼女の言葉が蘇り、カッと身体が熱くなる。
このまま一晩中でも突きまくりたい。
胸を捏ねくり回して、彼女の声が涸れるまで喘がせて、壊してしまいたい。
そんな乱暴な衝撃に駆られる。
ダメだ!
彼女にそんなことするべきじゃない。
手早く済まそう。
止まれるうちに。
すぐに抽挿を始めた彼は、いきなりトップスピードになった。
「あ、えっ、やっ、やん、やん、やんッ」
激しく揺らされ、彼女は甘い悲鳴をあげる。
ビクつくそこに、彼はあっさりと射精して、またルビーを押し込んだ。
服を着たままの最低限の行為に、アリーシャは戸惑って、「どうして……?」とつぶやいた。
自分がおねだりした自覚はあった。
不可抗力と意志が働くのとでは雲泥の差だ。
ラウルは優しいから、私のお願いを聞いてくれて、このままでいてくれたんだわ。
重くなかったかしら?
彼の鍛えられた厚みのある身体に対して、ひ弱な自分の身体は小さく、彼はなんの重みも感じてないように、安らかに眠っている。
彼は優しい。
だから、キスもくれないし、呪いが解除された後のことを考えて、一線を引いている。
アリーシャはそれがたまらなくさみしく感じた。
呪いが終わるのは今日なのかしら?
それとも、もう一度こうして一緒に眠れる?
どちらにしても、明日には呪いは終わり、ラウルとの親密な関係も終わる。
離れていても、どこか繋がっている感覚があったけど、その糸も切れるのだろう。
さみしくて仕方ない。
こう思うのも呪いのせいなのかしら?
呪いが終われば、この切ない気持ちも消えるの?
それは喜ばしいことなのか、悲しいことなのか、アリーシャにはわからなかった。
ただ泣きたくなって、ラウルの胸に顔を埋めた。
すると、大きな温かい手が彼女の頭をなでた。
「アリーシャ……?」
寝ぼけたラウルが目を閉じたまま、つぶやいた。
アリーシャは一層泣きたくなった。
彼が起きるまで、アリーシャはその温かい身体にくっついていた。
いつの間にか、ここがとても安心できる場所になっている。
ラウルが目を開けると、彼女はとびきりの笑顔で微笑んだ。
起き抜けに、最上の笑顔を向けられて、彼は彼女の顔から目が離せなくなった。
これはヤバいだろ。
魅惑的な女が自分を中に収め、跨り、微笑んでいる。
彼のモノが大きくなり、「えっ……」とアリーシャは戸惑う。
「単なる生理現象だ。気にするな」
彼女はよくわからず、頷いた。
「そろそろ抜くぞ?」
自分の荒れ狂う欲求を抑え込んで、ラウルは彼女から出ようとした。
しかし、そうはさせまいというように、呪いが発動した。
「くそっ!」
彼が悪態をついたので、アリーシャがびくつく。
「悪い。お前に言ったんじゃない。俺の問題だ」
そう言って、仰向けのまま、彼はアリーシャの胸に手を伸ばした。
この体勢の方が激しくしすぎなくていい。
柔らかな乳房をゆっくりと揉む。
手のひらで、乳首を転がすと、硬く尖ってくるのがわかった。
それだけで、彼を収めている膣がぴくぴく蠢いた。
片方の乳房を掴んで引き寄せ、その天辺の赤い粒を軽く噛んだ。
「………ッ!」
キュンと中が締まる。
そこを口で引っ張りながら、舌で転がすと、彼女の腰が揺れた。
胸をかわいがりつつ、指で茂みを探る。
そこに隠れてた尖りを指で押し込むと、何かのスイッチが入ったように、アリーシャが嬌声をあげて、跳ねた。
胸と花芽を同時に弄っていると、彼女はあっという間に高められて、彼のモノを締めつけながら、達した。
そこで、ようやくラウルは腰を動かし始めた。
彼女の腰を持ち、突き上げる。
腰が浮いて、下りてくるときに、陰部同士がぶつかり、強烈な快楽が生まれる。
パンパンパンと肉のぶつかる音を響かせて、ラウルは突き上げ続けた。
「うっ……ふっ……あっ、あん……んっ……気持ちぃ……あんっ……」
彼の動きに合わせて、乳房が上下に激しく揺れる。
「気持ちいいッ、ああっ、ああんッ!」
彼女は背中を反らせて、揺さぶられていた。
一層深く貫かれたとき、「やあぁッ」と高く叫んで、再びイッた。
ビュッビュッと熱いものが吐き出され、アリーシャの中にじんわり熱が広がる。
「あぁ………」
気持ちよさそうに目を閉じて、彼女はラウルの胸に顔を埋めた。
あまりに無防備に身体を預けてくるアリーシャに、ラウルは心配になる。
「お前、ここを出たら、誰にでも気を許すんじゃないぞ? 特に、男には気をつけろ。絶対に二人っきりになるな。下手すると襲われるぞ?」
突然そんなことを言い出したラウルにびっくりして、アリーシャは目をあげた。
「え、どうしてですか?」
「どうしてって、自分の魅力に気づいてないのか? 男だったら誰でも押し倒したくなるなりをしてるくせに。その上、金持ちの独り身の女なんて、狙ってくれと言ってるようなもんだ。そもそも俺が悪い男だったら、お前をここに閉じ込めて、好きなときに抱き、財宝は自分のものにする」
「でも、ラウルはそんなことしないですよね?」
「どうだかな……。その誘惑に負けるかもしれないぞ? 俺はお前が思うほど、良い人間じゃない」
「十分いい人です」
アリーシャの全幅の信頼を置いた眼差しに、ラウルはたまらなくなる。
身体をひねって、アリーシャを押し倒し、その顔の横に手をついた。
「きゃっ」
突然身体を引き倒されて、彼女は小さな悲鳴をあげた。
至近距離で鋭い翠の瞳が彼女を睨めつける。
「本当に良い人間なら、お前をむちゃくちゃに犯しまくって、自分のものにしたいなんて衝動に駆られない…!」
アリーシャが息を呑んだ。
彼の突然の激情に身を竦ませている。
ラウルは、ふいっと視線を逸らせ、身を起こそうとした。
そこにアリーシャがしがみついた。
「あなたのものにしてください。ラウルにならむちゃくちゃにされてもいい……」
彼女はそう言って、赤い顔を彼の首元に埋める。
「お前………男に迂闊にそんなこと言うなよ……」
ラウルはかすれ声で、彼女を諌めた。
「男に、じゃなくて、ラウルに言ってるんです!」
彼は、自分の首に巻きついている彼女の腕を取り、シーツに張りつけた。
「そういうことは呪いが解けた後に言ってくれ。喜んで犯してやる」
ラウルはそう言い捨てると、ルビーを取って、自分のモノの代わりに彼女に押し込むと、立ち上がった。
さっさと服を身に着ける。
「便所に行ってくる。そのまま、飯を作るから、身支度したら、調理場に来い」
彼女と目を合わすことなく、一方的に告げると、ラウルは部屋を出ていった。
(…………拒否された?)
初めてこんなに素っ気なくされて、アリーシャは涙ぐんだ。
でも、自分のものにしたいって言ったわ。
そう思うのも、呪いのせいだと思ってるのかしら。
私がこんなにラウルを求めているのも、全部呪いのせいだと?
のろのろと起き上がり、服を身につける。
本当に彼のものになれたら、どんなに幸せだろう。
彼とずっと一緒に過ごせたら……。
これは依存?
外の世界が怖いから?
アリーシャは自分の気持ちを吟味する。
ううん、ただそばにいたいだけ。
好きだから……。
だいたい、超好みの顔で優しくされて、あんなに情熱的に見つめられて、好きにならないわけないわ……。
しかも、あんなに怒ってたみたいなのに、『飯を作る』なんて、いい人じゃない!
アリーシャは、さっきの彼の言葉を思い出して、くすっと笑った。
呪いが解けたら、もう一度言えって言った。
そしたら、抱いてくれるって。
そういうことよね?
彼女は良いように解釈することにした。
ラウルは足音荒く、歩いていた。
イライラする………自分に。
さっきのは何なんだ!
何が自分のものにしたいだ!
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そして、小麦粉と卵と牛乳を混ぜて、フライパンで薄く焼く。
その上にハムとキノコを乗せ、卵を落として、チーズをまぶす。
蓋をして、蒸らす。
卵が半熟になると下の生地で、具を包んだ。
それを二つ作ると、残りの生地で切ったバナナと砂糖とバターを包んだものを作った。
さらに残った生地は、何も入れず何枚も焼く。
料理を作っていると、感情が落ち着いてきた。
デザート用に作ったものを半分に切ると、バナナがいい感じにトロっとなっていて、悦に入る。
そんなところに、ひょこっと、アリーシャが顔を出した。
「あぁ、ちょうどいい。できたぞ」
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「これはなんですか?」
「バナナのクレープだ。デザートだな」
「バナナ……クラド王国の名産ですね……」
アリーシャが顔を曇らせたので、ラウルは聞いた。
「バナナは嫌いか?」
「いいえ、バナナは好きなんですが……私、クラド王国に嫁ぐことになっていたので……。そういえば、クラド王国はまだあるんですか?」
「あると言うか、ここはクラド王国の領内になっている」
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そうか、彼女にとっては自分の国がなくなって、他国に侵略されたということになるか……。
「そうですか……。私、戦争回避のために、クラド王の後添えとして嫁ぐことになっていたんです。彼が私を所望して。私が眠りについたから、戦争になってしまったんですね……」
「後添えって、その時の王はいくつだったんだ?」
「たしか64歳だったかと」
「とんだエロオヤジだな! 眠りについて、よかったじゃないか!」
彼女がいやらしい爺に好き勝手されるところを想像して、ラウルは憤った。
「でも、私はそういう役目のために生きていたので……」
「どういうことだ? 大事に育てられた箱入り娘じゃなかったのか?」
「箱入り娘……そうですね。王宮から出されず、交渉材料として大事にされてたとも言えますね……。お父様は私をいかに王家に有利な条件で嫁がせるかということしか興味がありませんでしたから」
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「なんだ、それは……!」
王家の結婚とはそういうものかもしれないが、
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「母親は?」
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「そうか、聞いて悪かったな」
「いいえ」
微かに笑って、彼女は首を横に振った。
彼女がひとり取り残されて、思ったより悲しんでない理由がわかった。
もともと彼女は孤独だったのだ。
彼女を胸に引き寄せる。
頭をなでてやると、アリーシャも彼の背中に手を回した。
しばらくして、気持ちの整理がついたのか、アリーシャが顔をあげた。
「そういえば、食べていいですか? 美味しそうで、お腹空いちゃいました」
アリーシャが雰囲気を変えるように、明るい声をあげた。
「あぁ、食べようか。温かい方がうまい」
皿をテーブルに運んで、グラスに牛乳を入れる。
「いただきます」
アリーシャはそう言うと、早速クレープにナイフを入れた。
半熟卵の黄身がとろっと溢れ出てくる。
それを生地に絡めて、口に入れた。
「美味しい!」
彼女は満面の笑みを浮かべた。
ラウルもその様子を見て、微笑む。
穏やかな雰囲気で、二人は朝食を楽しんだ。
朝食を終えると、かなり朝寝をしていたので、昼近くになっていた。
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ラウルには願ってもない話で、一もニもなく賛成する。
二人は連れ立って、宝物庫へ行った。
「ラウルは宝石が好きなんですか?」
宝物庫を探索しながら、中でも特に宝石に興味を示す彼に、アリーシャは尋ねた。
「そうだな。いかにも宝って感じだし、価値がわかりやすいからな。絵画とか見ても、いいのか悪いのか、さっぱりわからないし」
「そういう理由なんですね」
その実利的な理由がおかしくて、彼女は笑った。
「おっ、これはすごいな。お前の瞳のように美しい」
ラウルが、大粒のサファイアを手に取って、日に透かす。
アリーシャは赤くなった。
昔から容姿は褒められてきたけど、ラウルに美しいと言われると、その言葉が特別なものに思えてくる。
でも、気軽に口に出される称賛の言葉は、誰にでも使われてるからこそのものかもしれない。
「………ラウルはモテるんでしょうね」
思わず、拗ねたように言ってしまう。
「なんだそれ?」
「だって、そんなに何気なく女性を褒めてたら、きっと誰だってあなたを好きになってしまいます」
「そんな覚えはないけどな」
ラウルは苦笑する。
それに対して、アリーシャは畳み掛けた。
「でも、女性の扱い、上手ですよね?」
「そりゃまあ、この歳になれば少しくらい経験もあるさ。でも、まあ未だに独身なのが物語ってるだろ」
「そういえば、ラウルっていくつなんですか?」
「27だ」
「27歳なんですね」
とっくに結婚しててもおかしくない歳だ。
ラウルにももちろん色恋沙汰はあったが、お宝を求めて、放浪しているのが常の彼に、女性の方が痺れを切らし、去っていくというのがパターンだった。
基本、一人で何でもできるラウルは結婚の必要性も感じず、今に至る。
ビクンッ
ふいにアリーシャが身じろぎした。
いつもの衝動がやってきたのだ。
ラウルは近場にあったテーブルにアリーシャを乗せた。
彼女のショーツを取り去ると、脚を開いて、その間に顔を埋める。
温かく湿ったものが、彼女の秘裂を舐めあげた。
「んんっ!」
彼の舌はそのまま、秘裂の先の尖りを舐り、つつく。
アリーシャは堪らず、腰を跳ねさせた。
閉じようとする脚をしっかり持って固定して、彼は舌で執拗にそこを攻めた。
「あっうんっ……くぅ……あぁっ……ああっ……」
愛液がしとどに垂れてくる。
彼はたまにそれを舐め啜り、彼女を高めていく。
花芽を甘噛みされたとき、アリーシャは弾けた。
頭がスパークしたようで、真っ白になる。
一瞬止めた息を吐き出し、荒い息をつく彼女の中からルビーを取り出し、ラウルは中が溢れる前に自分の欲望の塊を押し込んだ。
彼女の中は、先程の余韻でうねっていた。
『ラウルにだったらむちゃくちゃにされてもいい』
ふいに彼女の言葉が蘇り、カッと身体が熱くなる。
このまま一晩中でも突きまくりたい。
胸を捏ねくり回して、彼女の声が涸れるまで喘がせて、壊してしまいたい。
そんな乱暴な衝撃に駆られる。
ダメだ!
彼女にそんなことするべきじゃない。
手早く済まそう。
止まれるうちに。
すぐに抽挿を始めた彼は、いきなりトップスピードになった。
「あ、えっ、やっ、やん、やん、やんッ」
激しく揺らされ、彼女は甘い悲鳴をあげる。
ビクつくそこに、彼はあっさりと射精して、またルビーを押し込んだ。
服を着たままの最低限の行為に、アリーシャは戸惑って、「どうして……?」とつぶやいた。
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