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side木佐
電話
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帰宅して、着替えると、スマホを見つめて、逡巡する。
(電話するには遅いか?)
頭に宇沙ちゃんのさみしげな表情が残っている。
(思ったより、俺に絆されてくれているのか?)
そう思うと、居ても立っても居られない心持ちになる。
聞いてみたい、でも、時期尚早かとも思う。
大晦日に会ったときにでも聞けばいいと自分をなだめたが、結局、翌日には宇沙ちゃんに電話してしまった。
彼女は出なかった。
(まったく、なんでこんなに余裕がないんだ?)
自嘲して、髪を掻き上げる。
答えはわかっている。彼女に溺れているからだ。
落ち着くために、コーヒーを淹れる。
ぼんやりテレビを眺めていたら、宇沙ちゃんから電話が来た。
「あ、宇沙見です。電話に気づかなくて、すみません」
耳もとで澄んだ声が響く。
律儀な彼女はわざわざコールバックしてくれたのだ。
「大丈夫だよ。電話かけてきてくれて、うれしいから」
そう言いながら、宇沙ちゃんから電話をもらうのは初めてだと気づく。
そんなささやかなことに喜びを感じてしまうとは、俺も大概、宇沙ちゃんにハマってるなと苦笑する。
たわいもないことを話したあと、本題に入る。
「……昨日は石原係長と行かなかったんだね」
「どうして知ってるんですか?」
「二次会に石原係長も来てたから」
「あぁ、そうなんですね」
とたんに宇沙ちゃんの声が硬くなる。
話題を変えるように、聞いてきた。
「二次会、楽しかったですか?」
「斉藤に無理やり引っ張っていかれただけだから、早々に帰ったよ。本当は宇沙ちゃんを連れ帰りたかったんだけどね」
(高木さんって、秘書課の?)
昨日、腕に胸を押しつけてきたのを思い出す。
綺麗だとは思うが、好みではないから、すこしも心が動かなかった。
(電話するには遅いか?)
頭に宇沙ちゃんのさみしげな表情が残っている。
(思ったより、俺に絆されてくれているのか?)
そう思うと、居ても立っても居られない心持ちになる。
聞いてみたい、でも、時期尚早かとも思う。
大晦日に会ったときにでも聞けばいいと自分をなだめたが、結局、翌日には宇沙ちゃんに電話してしまった。
彼女は出なかった。
(まったく、なんでこんなに余裕がないんだ?)
自嘲して、髪を掻き上げる。
答えはわかっている。彼女に溺れているからだ。
落ち着くために、コーヒーを淹れる。
ぼんやりテレビを眺めていたら、宇沙ちゃんから電話が来た。
「あ、宇沙見です。電話に気づかなくて、すみません」
耳もとで澄んだ声が響く。
律儀な彼女はわざわざコールバックしてくれたのだ。
「大丈夫だよ。電話かけてきてくれて、うれしいから」
そう言いながら、宇沙ちゃんから電話をもらうのは初めてだと気づく。
そんなささやかなことに喜びを感じてしまうとは、俺も大概、宇沙ちゃんにハマってるなと苦笑する。
たわいもないことを話したあと、本題に入る。
「……昨日は石原係長と行かなかったんだね」
「どうして知ってるんですか?」
「二次会に石原係長も来てたから」
「あぁ、そうなんですね」
とたんに宇沙ちゃんの声が硬くなる。
話題を変えるように、聞いてきた。
「二次会、楽しかったですか?」
「斉藤に無理やり引っ張っていかれただけだから、早々に帰ったよ。本当は宇沙ちゃんを連れ帰りたかったんだけどね」
(高木さんって、秘書課の?)
昨日、腕に胸を押しつけてきたのを思い出す。
綺麗だとは思うが、好みではないから、すこしも心が動かなかった。
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