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side木佐
その表情は?
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***
年末最終出社日は、恒例の立食パーティーだ。
会場を見回すと、すぐ宇沙ちゃんを見つける。俺と反対側だ。
チャコールグレーに白いラインの入ったシンプルなワンピースを着ているが、誰よりも可愛い。
そちらに行きたかったが、部長に捕まってしまった。
談笑しながら、宇沙ちゃんのほうを見ていると、斉藤が近寄っていった。
あいつは前から彼女を狙っている。
料理をいっぱい載せた皿を持って、ひたすら宇沙ちゃんに話しかけている。
宇沙ちゃんは愛想笑いを浮かべて、対応しているが、少し困った様子だ。
(大丈夫かな?)
部長との話を終わらせて、宇沙ちゃんのほうへ向かうと、途中で女性社員に取り囲まれた。
「木佐さん、これ食べました? 美味しいですよ」
「飲み物はビールですか?」
女性はおざなりにするとあとで痛い目に遭うから、立ち止まらずを得ない。
彼女たちと話している間に、宇沙ちゃんはうまく斉藤を追い払ったようだ。
「木佐さんって、お休みはなにをしてるんですか?」
「たいしたことはしてないよ。家でだらだらしたり、ぶらっと出かけたり」
「彼女と?」
「いや、今は付き合ってないから」
俺が言うと、キャーッと歓声が湧きおこった。
「本当に付き合ってる人、いないんですか?」
「ん~、いないね、今は」
付き合いたい子はいるけどね、と考えながら宇沙ちゃんのほうを見ると、彼女もこちらを見ていた。
なぜか泣きそうな顔で。
(ん? 今の顔は?)
確かめに行きたかったが、女性陣に放してもらえない。
そうするうちに、宇沙ちゃんは料理を取りに行ってしまった。
そのまま、パーティーは終わり、同期にしつこく誘われて、しぶしぶ二次会に顔を出すことにした。
そこには石原係長もいて、宇沙ちゃんと会っていないことが確認できて、安堵する。
秘書課の女性たちに囲まれベタベタ触られて、辟易したから、斉藤に相手を押しつけて、さっさと帰った。
年末最終出社日は、恒例の立食パーティーだ。
会場を見回すと、すぐ宇沙ちゃんを見つける。俺と反対側だ。
チャコールグレーに白いラインの入ったシンプルなワンピースを着ているが、誰よりも可愛い。
そちらに行きたかったが、部長に捕まってしまった。
談笑しながら、宇沙ちゃんのほうを見ていると、斉藤が近寄っていった。
あいつは前から彼女を狙っている。
料理をいっぱい載せた皿を持って、ひたすら宇沙ちゃんに話しかけている。
宇沙ちゃんは愛想笑いを浮かべて、対応しているが、少し困った様子だ。
(大丈夫かな?)
部長との話を終わらせて、宇沙ちゃんのほうへ向かうと、途中で女性社員に取り囲まれた。
「木佐さん、これ食べました? 美味しいですよ」
「飲み物はビールですか?」
女性はおざなりにするとあとで痛い目に遭うから、立ち止まらずを得ない。
彼女たちと話している間に、宇沙ちゃんはうまく斉藤を追い払ったようだ。
「木佐さんって、お休みはなにをしてるんですか?」
「たいしたことはしてないよ。家でだらだらしたり、ぶらっと出かけたり」
「彼女と?」
「いや、今は付き合ってないから」
俺が言うと、キャーッと歓声が湧きおこった。
「本当に付き合ってる人、いないんですか?」
「ん~、いないね、今は」
付き合いたい子はいるけどね、と考えながら宇沙ちゃんのほうを見ると、彼女もこちらを見ていた。
なぜか泣きそうな顔で。
(ん? 今の顔は?)
確かめに行きたかったが、女性陣に放してもらえない。
そうするうちに、宇沙ちゃんは料理を取りに行ってしまった。
そのまま、パーティーは終わり、同期にしつこく誘われて、しぶしぶ二次会に顔を出すことにした。
そこには石原係長もいて、宇沙ちゃんと会っていないことが確認できて、安堵する。
秘書課の女性たちに囲まれベタベタ触られて、辟易したから、斉藤に相手を押しつけて、さっさと帰った。
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