営業部のイケメンエースは、さわやかなヘンタイでした。

入海月子

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すがりたかった私①

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 スースーという誰かの寝息で目が覚めた。
 目に飛び込んできたのは、少しツリ気味の閉じられた目、すっと通った鼻、綺麗な弧を描く薄い唇……木佐さんの整った顔だった。

「きゃあ!」

 慌てて後退ろうとするけれど、木佐さんにしっかり腰を抱きこまれていて、顔を離すのが精いっぱいだった。
 お互いに裸で、身体に残る重だるさに、昨夜のことをまざまざと思い出してしまう。

(何度もイかされた。それどころか、木佐さんと……)

 信じられない思いで、彼の平和な寝顔を見つめる。
 
(カッコよくて親切でいい人だと思ってたのに)

 困ってる人に気軽に声をかけてくれる人だった。
 私も、受け取れない領収書をどうにかしようと粘る営業さんに困ってるとき、「無理なものはあきらめましょうよ、岡崎さん。宇沙ちゃんがかわいそうですよ」と助けられたことがある。
 それなのに、脅すようにホテルに連れ込むような人だったとは。しかも、とんでもない趣味の持ち主だなんて。

 ──さっきまで他の男のモノを咥えてたオマンコ。滾るなぁ。

 彼の言葉を思い出して、その寝顔をにらみつける。

「変態!」

 でも、ちゃんと将司さんとのことは黙っててくれるよね?
 これからもこうやって、身体を求められるのかしら?

 昨日のことを思い浮かべただけで、ジュクッと膣中がうごめいて濡れた気がした。

(やだ……!)

 心を裏切る身体の反応にあ然とする。
 そうなった原因の木佐さんをもう一度にらんだ。

 気を取り直して、彼を起こすことにした。

「木佐さん、木佐さん、起きてください」

 声をかけたけど、木佐さんは微動だにしない。

「木佐さん、起きてください」

 ゆさゆさと身体を揺さぶると、ようやく彼は「ん~?」と声を洩らして反応した。
 でも、まだ目は閉じられたままで、私はもう少し強く揺らした。

「木佐さん、放してください。トイレに行きたいんです」
「……ん、わかった……」

 寝ぼけた声で、木佐さんはやっと私を放してくれた。
 急いで彼から離れて、床に散らばっていた下着を拾い集める。
 カピカピになっていたショーツが気持ち悪いけど、履くしかなくて、手早く服を着るとトイレに行った。

 戻ってくると、木佐さんがベッドに身を起こして、座った状態で、ぼーっとしていた。
 意外にも朝は弱いらしい。
 引き締まって腹筋が割れた上半身が目にまぶしい。

(木佐さんは身体までカッコいいのね)

 将司さんはもうちょっと筋肉がない、なんて思う。 
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