かりそめ婚のはずなのに、旦那様が甘すぎて困ります ~せっかちな社長は、最短ルートで最愛を囲う~

入海月子

文字の大きさ
上 下
47 / 52

満たされる

しおりを挟む
 手を引かれ、寝室へ連れ込まれる。
 まだコートさえ脱いでいなかったのに、あっという間に裸にされた。

 ベッドに押し倒された望晴に拓斗が覆いかぶさってくる。彼は彼女の頭を挟むようにベッドに手をついた。
 長い前髪が落ちかかり、その間から熱い瞳で見下される。
 日中の明るさの中、裸体を晒すのはとても恥ずかしかった。
 彼の視線が自分の身体を愛でるように動くのを見て、まるで愛撫されているように感じた。 
 望晴はコクリと唾を呑み込む。

「望晴、綺麗だ……」

 称賛するようにつぶやいた拓斗の手が望晴の脇から腰のくびれをなでる。
 それだけで、ぞわぞわとした快感が湧き上がる。
 彼女の胸を持ち上げるように揉みはじめた拓斗はその指の腹で、先端の尖りを押しつぶす。

「あんっ」
 
 下腹部に響く甘い疼きに望晴は思わず声をあげた。
 くるくると敏感な尖りを指でこねられると、脚の間がじんわり潤ってくる。
 気がつかないうちに望晴は太ももを擦り合わせていた。

「そこもさわってやらないとな」

 口端を上げた拓斗がつぶやく。
 彼の手が望晴の膝からゆっくり太ももをなであげる。
 そして、刺激を求めて蜜を垂らしていたところにふれた。

「びしょびしょだ」

 拓斗はうれしそうに笑った。
 望晴はなにも言えずにただ赤くなる。
 でも、彼が自分を愛しく思ってくれているのがわかって、胸がいっぱいになる。
 彼の指は望晴の割れ目を何度も往復して、官能を高めていった。
 せっかちな彼がこんなにも自分に時間を費やしてくれている。

(いつもこうやって愛してくれていたわ)

 改めて、ずっとちゃんと愛されていたことに気づき、歓喜にひたる。
 望晴は拓斗の首もとに腕を回して、彼を引き寄せた。

「拓斗さん、来て……」

 喉奥を鳴らした彼は望晴の脚を開き、彼自身を擦りつける。そして、ぐっと腰を落とすと彼女の中に入ってきた。

「ああ……」

 彼に満たされて、望晴は満足げな溜め息をつく。
 ふと視線を上げると、拓斗と目が合う。
 引き寄せられるように唇を重ねた。

「望晴、愛してる……」

 かすれた声で拓斗がささやき、腰を動かし始める。
 脳がしびれるほど気持ちがいい。
 彼の背中にしがみついて、揺さぶられる。
 そのうち拓斗のこと以外、なにも考えられなくなった。
 余すところなく全身を愛撫されて、言葉でも身体でも愛を伝えられたから。

 拓斗は幾度も望晴を満たす。こんな幸せでいいものかと怖くなるぐらいだった。
 何度目かの絶頂で身を震わせた望晴は、拓斗に自ら口づけた。
 「愛しています」と言って――。
  
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

契約結婚のはずなのに、冷徹なはずのエリート上司が甘く迫ってくるんですが!? ~結婚願望ゼロの私が、なぜか愛されすぎて逃げられません~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】
恋愛
「俺と結婚しろ」  突然のプロポーズ――いや、契約結婚の提案だった。  冷静沈着で完璧主義、社内でも一目置かれるエリート課長・九条玲司。そんな彼と私は、ただの上司と部下。恋愛感情なんて一切ない……はずだった。  仕事一筋で恋愛に興味なし。過去の傷から、結婚なんて煩わしいものだと決めつけていた私。なのに、九条課長が提示した「条件」に耳を傾けるうちに、その提案が単なる取引とは思えなくなっていく。 「お前を、誰にも渡すつもりはない」  冷たい声で言われたその言葉が、胸をざわつかせる。  これは合理的な選択? それとも、避けられない運命の始まり?  割り切ったはずの契約は、次第に二人の境界線を曖昧にし、心を絡め取っていく――。  不器用なエリート上司と、恋を信じられない女。  これは、"ありえないはずの結婚"から始まる、予測不能なラブストーリー。

ウブな政略妻は、ケダモノ御曹司の執愛に堕とされる

Adria
恋愛
旧題:紳士だと思っていた初恋の人は私への恋心を拗らせた執着系ドSなケダモノでした ある日、父から持ちかけられた政略結婚の相手は、学生時代からずっと好きだった初恋の人だった。 でも彼は来る縁談の全てを断っている。初恋を実らせたい私は副社長である彼の秘書として働くことを決めた。けれど、何の進展もない日々が過ぎていく。だが、ある日会社に忘れ物をして、それを取りに会社に戻ったことから私たちの関係は急速に変わっていった。 彼を知れば知るほどに、彼が私への恋心を拗らせていることを知って戸惑う反面嬉しさもあり、私への執着を隠さない彼のペースに翻弄されていく……。

包んで、重ねて ~歳の差夫婦の極甘新婚生活~

吉沢 月見
恋愛
ひたすら妻を溺愛する夫は50歳の仕事人間の服飾デザイナー、新妻は23歳元モデル。 結婚をして、毎日一緒にいるから、君を愛して君に愛されることが本当に嬉しい。 何もできない妻に料理を教え、君からは愛を教わる。

契約結婚のはずが、幼馴染の御曹司は溺愛婚をお望みです

紬 祥子(まつやちかこ)
恋愛
旧題:幼なじみと契約結婚しましたが、いつの間にか溺愛婚になっています。 夢破れて帰ってきた故郷で、再会した彼との契約婚の日々。 ★第17回恋愛小説大賞(2024年)にて、奨励賞を受賞いたしました!★ ☆改題&加筆修正ののち、単行本として刊行されることになりました!☆ ※作品のレンタル開始に伴い、旧題で掲載していた本文は2025年2月13日に非公開となりました。  お楽しみくださっていた方々には申し訳ありませんが、何卒ご了承くださいませ。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

契約妻ですが極甘御曹司の執愛に溺れそうです

冬野まゆ
恋愛
経営難に陥った実家の酒造を救うため、最悪の縁談を受けてしまったOLの千春。そんな彼女を助けてくれたのは、密かに思いを寄せていた大企業の御曹司・涼弥だった。結婚に関する面倒事を避けたい彼から、援助と引き換えの契約結婚を提案された千春は、藁にも縋る思いでそれを了承する。しかし旧知の仲とはいえ、本来なら結ばれるはずのない雲の上の人。たとえ愛されなくても彼の良き妻になろうと決意する千春だったが……「可愛い千春。もっと俺のことだけ考えて」いざ始まった新婚生活は至れり尽くせりの溺愛の日々で!? 拗らせ両片思い夫婦の、じれじれすれ違いラブ!

外国人医師と私の契約結婚

華藤りえ
恋愛
※掲載先の「アルファポリス様」の<エタニティブックス・赤>から書籍化・2017年9月14発売されました。 医学部の研究室で、教授秘書兼事務員として働く結崎絵麻。 彼女はある日、ずっと思い続けている男性が、異国の第二王子であると知らされる。 エキゾチックな美貌の優秀な研究者で、そのうえ王子!?  驚き言葉を失う絵麻へ、彼はとんでもない要求をしてきた。 それは、王位を巡る政略結婚を回避するため、彼と偽りの婚約・同棲をするというもの。 愛情の欠片もない求婚にショックを受けながら、決して手は出さないという彼と暮らし始めた絵麻。 ところが、なぜか独占欲全開で情熱的なキスや愛撫をされて、絵麻の心はどうしようもなく翻弄されていき……? 叶わない恋と知りながら――それでも相手を求めてやまない。 魅惑のドラマチック・ラブストーリー!(刊行予定情報より) ※2017/08/25 書籍該当部分を削除させていただきました。

処理中です...