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エピローグ②
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取り繕うように貴和子が言う。
「と、とにかく、颯斗は一花さんを悲しませるようなことはしないこと!」
「当り前だ。そんなことわかってる」
颯斗がムッとして答えたので、一花はフォローを入れる。
「はっきり聞かなかった私も悪いんです。勝手に勘違いして」
颯⽃の⾔い分も聞かず、定期装花を辞め、連絡先をブロックした負い⽬があった。
彼⼥に⽬を移し、貴和⼦は微笑んだ。
「まぁ、⼀花さんは優しいわね。二人がうまくいって、私は本当にうれしいの。最初から二人はお似合いだと思ってたのよね。見守っていた甲斐があったわ」
「母さんのは見守るじゃなくて、のぞきに近いだろ」
「まぁ、失礼ね!」
颯斗が揶揄して、貴和子が頬を膨らませる。
本当に少女みたいな人だと微笑ましく一花が見ていたら、貴和子が改まって言った。
「一花さん、これから颯⽃をよろしくお願いします」
「はい。こちらこそ、ふつつかですがよろしくお願いいたします」
「ついでにお仕事を続けるなら、うちの装花もまたお願いしてもいいのよね?」
「はい、喜んで!」
こんなふうにあっさりと⼀花は受け⼊れられた。
⼀花の両親への挨拶も、来週なにがあっても⾏くと颯⽃が息巻いている。
気の早い颯⽃はここに来る⾞の中でも「住むなら⼀軒家かマンションかどっちがいい?」と聞いてきた。
めまぐるしさに頭がくらくらする。
きっと⼀⽣翻弄されるのだろうと一花は覚悟した。でも、それも悪くないと思う。
(⾬降って地固まるというけど、私たちはそれに加えて、シャンパンをかけられてまとまったわね)
彼といたら、あきない経験ができるかもしれない。
そう考えるとおかしくなって、⼀花はくすっと笑いを漏らす。
「なんだ?」
颯⽃が不思議そうに彼⼥を⾒た。
「ううん、ただ、幸せだなと思って」
「そうか。俺もだ」
⼆⼈はお互いを⾒て、満ち⾜りた笑みを浮かべるのだった。
―FIN―
「と、とにかく、颯斗は一花さんを悲しませるようなことはしないこと!」
「当り前だ。そんなことわかってる」
颯斗がムッとして答えたので、一花はフォローを入れる。
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「まぁ、失礼ね!」
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「一花さん、これから颯⽃をよろしくお願いします」
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「はい、喜んで!」
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「なんだ?」
颯⽃が不思議そうに彼⼥を⾒た。
「ううん、ただ、幸せだなと思って」
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⼆⼈はお互いを⾒て、満ち⾜りた笑みを浮かべるのだった。
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