シャンパンをかけられたら、御曹司の溺愛がはじまりました

入海月子

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パーティー当日

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 パーティー当⽇の⾦曜⽇。
 ⼀花は貴和⼦に美容院に連れ込まれて、髪のセットからメイクをされていた。
 先⽇颯⽃に買ってもらった淡いベージュのドレスを着ている。
 とろみ素材の布は優しく⾝体に沿い、タイトなデザインが彼⼥のスタイルの良さを強調していた。右肩から裾まで縦フリルがついているのが特徴的だ。
 そんな恰好をすると、⾃分ではないみたいで、鏡に映った姿を⾒つめて、⼀花は⽬を⾒張った。

「素敵だわ!」

 貴和⼦が⼿を叩いて喜んでいる。
 さらに上品なアクセサリーで飾られて、着せ替え⼈形になった気分だ。
 迎えに来た颯⽃が彼⼥を⾒て、⼀瞬とまった。

「……美しいな」
「無理に褒めなくていいですよ」
「いや、本当だ」

 できる男はさらっと⼥性を褒めるのもうまいのねと⼀花は感⼼してしまった。
 そうやって茶化して、胸のときめきを収めようとする。
 颯⽃にエスコートされながら、⼀花はパーティー会場に向かった。
 今⽇は運転⼿付きの⾞だ。
 会場となるホテルの⽞関ホールに⼊ると、⼤きな花のオブジェに迎えられた。

「こういう装花を⾒るのは勉強になります」

 ホテルの豪華さに負けない装飾を⾒て、⾃分もいつかこんな装花を⼿掛けたいと思う。
 熱⼼に眺める⼀花を⾒て、颯⽃が笑った。それで、⼀花ははっと我に返る。
 今⽇は装花を⾒に来たのではないことに気づいたのだ。

「ごめんなさい。⾏きましょうか」
「いや、いい。そういうところ好きだって⾔っただろ?」

(⾔ってませんよ! 嫌いじゃないとは言われたけど)

 同じようなことを⾔っているのに、ニュアンスが全然違って、⼀花は顔が熱くなるのを感じた。
 その⾚い頬を指でなで、颯⽃は⽢い瞳で微笑む。
 恋⼈のふりがもう始まっているのかもしれない。それを肯定するように颯⽃が彼⼥に⼿を差しだした。

「じゃあ、煽りに⾏くか」
「はい!」

 不敵な笑みを浮かべた彼を⾒て、⼀花はうなずき、その⼿を取った。
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