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襲撃
夢魔はじめました。
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ライアンが出ていって、しばらく経って、じっとしててもしょうがないので、明日のために荷物をまとめた。
荷物を少なくするために、明日は買ってきた服を着ることにしようかな。
暑いかな?
荷物は少ないからすぐにすることがなくなる。
ベッドに座って、ぼんやりしてると、ドアの鍵がカチャカチャ鳴った。
「ライアン……?」
呼びかけてみるけど、応答はない。
まさか、泥棒?
それとも、また狙われてるの?
でも、結界があるから大丈夫よね?
じっとしてると、外から話し声が聞こえる。
声の主は隠す気が全然ないみたいで、内容が丸聞こえだ。
「アイツ、任務中に女連れなんて、いいご身分だよなー。中に入ったら、女を犯していいか?」
「アイツが殺られて人質の必要がなくなったらな」
「8対1だし殺れるだろ?しかも、アイツは俺らが合流したのを知らずにノコノコと罠に掛かりに行ったんだろ?あ、元からいた奴と合わせて9対1か?」
「まぁ、これで失敗するとかあり得ないよな。でも、アイツ、自分の刺客をほとんど始末したんだろ?油断はできないぞ?」
「だから、俺達がここに来たんだろ?」
「どうでもいいから、早く結界を破れよ」
「やってるよ。思ったより強力なんだ」
その会話を聞いて、私は青褪めた。
ライアン!
追手が姿を見せたのって、罠だったのね。
っていうか、この人達、結界を破れるの?
どうしよう?
とにかく捕まって人質になる訳にはいかない。
パリーン
なにかが弾ける感覚がした。
音じゃない。
飽くまで感覚。
結界が破られたの?
「よし!」
それはうれしくない正解だったようで、外の男達が弾んだ声を上げた。
「ライアン……」
思わず、愛しい人の名を呼ぶ。
「彼じゃなくて悪いけど、助けに……アハハハッ」
窓の方から声がして、振り返ると爆笑しているツバメの姿。
「ルシード!」
「ハハハッ 君、最高におもしろいねー。この緊迫した中で、その姿!」
彼はゲラゲラ笑うけど、しょうがないじゃない。
人質にも犯されたくもないので、私はカピバラの姿になっていた。
バンッ
ドアが乱暴に開けられ、男が二人雪崩れ込んできた。
「今、男の声がしなかったか?」
「それより女はどこだ?」
二人ともキョロキョロ部屋を見回して、私を見つける。
「なんだ、この動物は?」
「アイツ、ペットまで飼ってたのか?」
「女はどこなんだ?」
「クソッ!逃げられたか!」
私の姿が見えないと、男達は不機嫌になって、八つ当たりに私を思いっきり蹴り飛ばした。
ダンッ
私は激しく壁にぶつかり、床に衝突した。
身体中がその衝撃に悲鳴をあげる。
蹴られたところもぶつかったところもあまりの痛みで熱く感じた。
特に、お腹が焼け爛れたように痛み、腕は折れたのか、変な角度に曲がっていて感覚を失っていた。
「おっ、なんだ、いたじゃないか。目くらましだったのか」
「しかも、むちゃくちゃ上玉だな。今すぐガンガン犯してー!」
男がニヤニヤして近寄ってきた。
どうやら、ぶつかった拍子に変身が解けて、人の姿に戻ってしまったらしい。
私は脳震盪を起こしたのか、めまいがして動けなかった。
でも、逃げないと……。
「思ったより、エマを気に入ってたんだな。………僕のお気に入りになにしてくれてるの?」
焦る私の耳に、ルシードの抑えたような低い声が飛び込んできた。
その声は、独り言のようなつぶやきから、寒気が走るような冷たい声に変わる。
「なんだ、お前は!?いつの間に………わぁあぁ、ぎゃああああぁーー、ぁあぁぁ…………」
「どうし…………」
私の見えない角度で、一人の男の悲鳴が響き、近寄ってきていた男は、恐怖に目を見開いたまま凍りついたように固まった。
彼に目もくれず、人の姿に戻ったルシードは私のそばに来ると跪き、私を抱き起こしてくれた。
「大丈夫?僕達は多少の怪我ならすぐ治るけど、痛くない訳じゃないからね……」
腕をまっすぐにしてくれて、さすってくれた。
確かに、急速に身体が回復していくのを感じる。
感覚がなくなってた腕は、骨が繋がったのか、焼けるような熱さを感じ始めた。
同時にヒリヒリするような渇きを覚える。
「ああ、回復するのに、精が足りなくなってきたのかい?瞳が赤みがかってきた」
瞳を確認するように、顎を持ち上げられる。
そして、ルシードはニヤリと口を歪めた。
「ちょうどいい餌がそこにいる。精を吸うのを試してみるか?あれだったら、失敗してもいいでしょ?」
ルシードの魅了で固まっていたらしい男を見上げる。
自分が見られてると気づき、男の顔がさらに強ばるけど、身動きが取れないらしい。
失敗してもいいとは思わないけど、このままだと外にも出られないから、やむを得ないかも。
早くライアンの元に行かないと!
私は頷くと、男のそばへ向かおうとした。
立ち上がろうとする私をルシードが支えてくれる。
夢魔の回復力って、すごい!
もう、歩けるようになるなんて。
私は男の手を取ると、躊躇いが生じる前に、思い切り精を吸った。
手から熱いお湯のようなものが身体に流れ込んでくるのを感じる。
身体が求めていたものにぐんぐん満たされていく。
どこまで吸ったのかわからないけど、恐怖に歪んでた男の瞳が光を失ったのを見て、我に返って、手を離した。
「もう止めちゃうの?もっと吸ってやったらいいのに」
「私、どれくらいこの人の精を吸ったんですか?」
「うーん、絶妙だね。すぐには動けないくらいに力は落ちてるけど、回復したら、特になんの影響もなさそう」
「よかった……」
「君を襲ったのに、そんな情けをかける必要ないじゃん。ライアンを殺そうとしてる奴らだよ?」
「それでも、人を傷つけるのはなるべくしたくないです……」
「ふーん、ま、いいけどね」
ルシードは無表情で頷いた。
「あ、それよりライアンは!?どこにいるんですか!?」
私は精を吸った男に詰め寄った。
「答えろよ」
ルシードが言うと、男が操られたように口を開いた。
「………プロス通りのガウスの宿」
「ルシード、わかりますか?」
「ああ、わかるよ」
「案内してもらえます?」
「いいよ。でも、お礼になにをしてもらおうかな」
ルシードがニヤニヤして言うから、「なんでもします!お願いします!」と瞬時に言うと、彼は目を見張った。
「『なんでも』は危険な言葉だけど、わかってて言ってるのかな?」
「ライアンが助かるなら、なんでもします!あなたが処女を差し出せというのならそれでもいい!」
「それはそれでつまんないなぁ」
ルシードは溜息をついた。
「じゃあ、ライアンが見てる前で君からキスしてよ。ディープなやつね!」
「わかりました。ありがとうございます!」
それは優しい提案。
『ライアンが見てる前』なんて。
それなら、いくらでもなんでもできるわ!
「じゃあ、行くか。っとその前に、お前ら、死にたくなければ僕達のことは誰にも言うなよ?この子は優しいけど、僕はそうじゃないからね。簡単に殺せるし、死ぬ寸前にもできる。気をつけるんだね」
老人になった男と気力を失った男は、ルシードの脅しにガクガクと頷いた。
彼らを残して、私達はライアンの元に急いだ。
ライアン、お願い、生きていて!
生きていてくれたら、私が回復してあげるから、お願い、間に合って!
荷物を少なくするために、明日は買ってきた服を着ることにしようかな。
暑いかな?
荷物は少ないからすぐにすることがなくなる。
ベッドに座って、ぼんやりしてると、ドアの鍵がカチャカチャ鳴った。
「ライアン……?」
呼びかけてみるけど、応答はない。
まさか、泥棒?
それとも、また狙われてるの?
でも、結界があるから大丈夫よね?
じっとしてると、外から話し声が聞こえる。
声の主は隠す気が全然ないみたいで、内容が丸聞こえだ。
「アイツ、任務中に女連れなんて、いいご身分だよなー。中に入ったら、女を犯していいか?」
「アイツが殺られて人質の必要がなくなったらな」
「8対1だし殺れるだろ?しかも、アイツは俺らが合流したのを知らずにノコノコと罠に掛かりに行ったんだろ?あ、元からいた奴と合わせて9対1か?」
「まぁ、これで失敗するとかあり得ないよな。でも、アイツ、自分の刺客をほとんど始末したんだろ?油断はできないぞ?」
「だから、俺達がここに来たんだろ?」
「どうでもいいから、早く結界を破れよ」
「やってるよ。思ったより強力なんだ」
その会話を聞いて、私は青褪めた。
ライアン!
追手が姿を見せたのって、罠だったのね。
っていうか、この人達、結界を破れるの?
どうしよう?
とにかく捕まって人質になる訳にはいかない。
パリーン
なにかが弾ける感覚がした。
音じゃない。
飽くまで感覚。
結界が破られたの?
「よし!」
それはうれしくない正解だったようで、外の男達が弾んだ声を上げた。
「ライアン……」
思わず、愛しい人の名を呼ぶ。
「彼じゃなくて悪いけど、助けに……アハハハッ」
窓の方から声がして、振り返ると爆笑しているツバメの姿。
「ルシード!」
「ハハハッ 君、最高におもしろいねー。この緊迫した中で、その姿!」
彼はゲラゲラ笑うけど、しょうがないじゃない。
人質にも犯されたくもないので、私はカピバラの姿になっていた。
バンッ
ドアが乱暴に開けられ、男が二人雪崩れ込んできた。
「今、男の声がしなかったか?」
「それより女はどこだ?」
二人ともキョロキョロ部屋を見回して、私を見つける。
「なんだ、この動物は?」
「アイツ、ペットまで飼ってたのか?」
「女はどこなんだ?」
「クソッ!逃げられたか!」
私の姿が見えないと、男達は不機嫌になって、八つ当たりに私を思いっきり蹴り飛ばした。
ダンッ
私は激しく壁にぶつかり、床に衝突した。
身体中がその衝撃に悲鳴をあげる。
蹴られたところもぶつかったところもあまりの痛みで熱く感じた。
特に、お腹が焼け爛れたように痛み、腕は折れたのか、変な角度に曲がっていて感覚を失っていた。
「おっ、なんだ、いたじゃないか。目くらましだったのか」
「しかも、むちゃくちゃ上玉だな。今すぐガンガン犯してー!」
男がニヤニヤして近寄ってきた。
どうやら、ぶつかった拍子に変身が解けて、人の姿に戻ってしまったらしい。
私は脳震盪を起こしたのか、めまいがして動けなかった。
でも、逃げないと……。
「思ったより、エマを気に入ってたんだな。………僕のお気に入りになにしてくれてるの?」
焦る私の耳に、ルシードの抑えたような低い声が飛び込んできた。
その声は、独り言のようなつぶやきから、寒気が走るような冷たい声に変わる。
「なんだ、お前は!?いつの間に………わぁあぁ、ぎゃああああぁーー、ぁあぁぁ…………」
「どうし…………」
私の見えない角度で、一人の男の悲鳴が響き、近寄ってきていた男は、恐怖に目を見開いたまま凍りついたように固まった。
彼に目もくれず、人の姿に戻ったルシードは私のそばに来ると跪き、私を抱き起こしてくれた。
「大丈夫?僕達は多少の怪我ならすぐ治るけど、痛くない訳じゃないからね……」
腕をまっすぐにしてくれて、さすってくれた。
確かに、急速に身体が回復していくのを感じる。
感覚がなくなってた腕は、骨が繋がったのか、焼けるような熱さを感じ始めた。
同時にヒリヒリするような渇きを覚える。
「ああ、回復するのに、精が足りなくなってきたのかい?瞳が赤みがかってきた」
瞳を確認するように、顎を持ち上げられる。
そして、ルシードはニヤリと口を歪めた。
「ちょうどいい餌がそこにいる。精を吸うのを試してみるか?あれだったら、失敗してもいいでしょ?」
ルシードの魅了で固まっていたらしい男を見上げる。
自分が見られてると気づき、男の顔がさらに強ばるけど、身動きが取れないらしい。
失敗してもいいとは思わないけど、このままだと外にも出られないから、やむを得ないかも。
早くライアンの元に行かないと!
私は頷くと、男のそばへ向かおうとした。
立ち上がろうとする私をルシードが支えてくれる。
夢魔の回復力って、すごい!
もう、歩けるようになるなんて。
私は男の手を取ると、躊躇いが生じる前に、思い切り精を吸った。
手から熱いお湯のようなものが身体に流れ込んでくるのを感じる。
身体が求めていたものにぐんぐん満たされていく。
どこまで吸ったのかわからないけど、恐怖に歪んでた男の瞳が光を失ったのを見て、我に返って、手を離した。
「もう止めちゃうの?もっと吸ってやったらいいのに」
「私、どれくらいこの人の精を吸ったんですか?」
「うーん、絶妙だね。すぐには動けないくらいに力は落ちてるけど、回復したら、特になんの影響もなさそう」
「よかった……」
「君を襲ったのに、そんな情けをかける必要ないじゃん。ライアンを殺そうとしてる奴らだよ?」
「それでも、人を傷つけるのはなるべくしたくないです……」
「ふーん、ま、いいけどね」
ルシードは無表情で頷いた。
「あ、それよりライアンは!?どこにいるんですか!?」
私は精を吸った男に詰め寄った。
「答えろよ」
ルシードが言うと、男が操られたように口を開いた。
「………プロス通りのガウスの宿」
「ルシード、わかりますか?」
「ああ、わかるよ」
「案内してもらえます?」
「いいよ。でも、お礼になにをしてもらおうかな」
ルシードがニヤニヤして言うから、「なんでもします!お願いします!」と瞬時に言うと、彼は目を見張った。
「『なんでも』は危険な言葉だけど、わかってて言ってるのかな?」
「ライアンが助かるなら、なんでもします!あなたが処女を差し出せというのならそれでもいい!」
「それはそれでつまんないなぁ」
ルシードは溜息をついた。
「じゃあ、ライアンが見てる前で君からキスしてよ。ディープなやつね!」
「わかりました。ありがとうございます!」
それは優しい提案。
『ライアンが見てる前』なんて。
それなら、いくらでもなんでもできるわ!
「じゃあ、行くか。っとその前に、お前ら、死にたくなければ僕達のことは誰にも言うなよ?この子は優しいけど、僕はそうじゃないからね。簡単に殺せるし、死ぬ寸前にもできる。気をつけるんだね」
老人になった男と気力を失った男は、ルシードの脅しにガクガクと頷いた。
彼らを残して、私達はライアンの元に急いだ。
ライアン、お願い、生きていて!
生きていてくれたら、私が回復してあげるから、お願い、間に合って!
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