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舞踏会①
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「あら、騎士団長とマール嬢よ。兄妹みたいでかわいらしいですわ」
「ラディアン様、なんて麗しいの!」
「騎士団長はいつもマール様を本当の妹みたいにかわいがっておいでですわね」
「幼なじみですって。いつもは厳しいお顔なのに、ラディアン様があんなに優しい表情をされるなんて、目の保養だわ」
舞踏会に現れたラディアンに見惚れたついでに、女性たちがパートナーの私を見て、そう評する。
女性人気王宮一のラディアンの隣にいたら普通なら嫉妬の目を向けられても仕方ない。でも、彼の態度が家族の親愛以上のものを見せないので、私はまったく気にも留められていなかった。
安心安全な彼のアクセサリーのような扱いだ。
普段は騎士団長らしく鋭い目つきのラディアンのめずらしい表情が見られると重宝されているぐらい。
そっと溜め息をつく。
「どうかしたのか、マール?」
精悍な顔が私を見下ろした。
金色の短髪に切れ長の目、深い青の瞳のラディアンはここにいる誰よりかっこいい。
見慣れている顔なのに、やっぱりときめく。
そして、いつも私を気づかってくれる優しい幼なじみだ。
「ううん、なんでもないわ」
私は笑みを浮かべ、かぶりを振った。
*****
私はマール・シェルム伯爵令嬢。十七歳。
幼なじみのラディアンのことが大好き。
彼は騎士団長でブランジ子爵の三男。出世頭のうえ、容姿端麗でもあるので、あらゆる女性から狙われている。
たまに浮名を流しているけど、未だに正式な相手は決めておらず、こうして舞踏会では私の相手を務めつづけてくれている。
十歳も上の彼は私をかわいがってはくれるものの、みんなが言うとおり、妹としか見てなくて、恋愛感情はないらしい。
(童顔なのがいけないのかしら?)
私はぱっちり二重の大きな目で、かわいらしい顔とよく言われる。焦げ茶の瞳も大きく、ふわふわな茶色の髪の毛と小柄なのも相まって、小動物っぽいらしい。
一方、ラディアンは昔から背が高く大人っぽかった。常に落ち着いていて、私たちは年齢以上の差で見られた。
身長だって、152センチしかない私に比べ、がっしりと鍛え上げられた体のラディアンは191センチもある。腕を組んでいても、彼にぶらさがっているようだった。
タウンハウスが隣同士のシェルム伯爵家とブランジ子爵家とは昔から交流が深く、物心がついた頃から私はラディアンに遊んでもらっていた。
兄とラディアンは同い年で気が合うようで、たびたび遊びに来たラディアンは私を猫かわいがりしてくれた。
私も小さい頃から『大きいお兄ちゃん』と彼に懐いてべったりくっついていた。
「ラディアン様、なんて麗しいの!」
「騎士団長はいつもマール様を本当の妹みたいにかわいがっておいでですわね」
「幼なじみですって。いつもは厳しいお顔なのに、ラディアン様があんなに優しい表情をされるなんて、目の保養だわ」
舞踏会に現れたラディアンに見惚れたついでに、女性たちがパートナーの私を見て、そう評する。
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安心安全な彼のアクセサリーのような扱いだ。
普段は騎士団長らしく鋭い目つきのラディアンのめずらしい表情が見られると重宝されているぐらい。
そっと溜め息をつく。
「どうかしたのか、マール?」
精悍な顔が私を見下ろした。
金色の短髪に切れ長の目、深い青の瞳のラディアンはここにいる誰よりかっこいい。
見慣れている顔なのに、やっぱりときめく。
そして、いつも私を気づかってくれる優しい幼なじみだ。
「ううん、なんでもないわ」
私は笑みを浮かべ、かぶりを振った。
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私はマール・シェルム伯爵令嬢。十七歳。
幼なじみのラディアンのことが大好き。
彼は騎士団長でブランジ子爵の三男。出世頭のうえ、容姿端麗でもあるので、あらゆる女性から狙われている。
たまに浮名を流しているけど、未だに正式な相手は決めておらず、こうして舞踏会では私の相手を務めつづけてくれている。
十歳も上の彼は私をかわいがってはくれるものの、みんなが言うとおり、妹としか見てなくて、恋愛感情はないらしい。
(童顔なのがいけないのかしら?)
私はぱっちり二重の大きな目で、かわいらしい顔とよく言われる。焦げ茶の瞳も大きく、ふわふわな茶色の髪の毛と小柄なのも相まって、小動物っぽいらしい。
一方、ラディアンは昔から背が高く大人っぽかった。常に落ち着いていて、私たちは年齢以上の差で見られた。
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兄とラディアンは同い年で気が合うようで、たびたび遊びに来たラディアンは私を猫かわいがりしてくれた。
私も小さい頃から『大きいお兄ちゃん』と彼に懐いてべったりくっついていた。
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