悪役令嬢にそんなチートな能力を与えてはいけません!

入海月子

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真夏のジュリアン様

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「ルビー、愛してる」

 耐えきれずというように、激しく口づけられた。息を全部吸い込むように強く口を吸われてクラクラする。
 背中の紐を緩められて、ドレスを脱がされる。
 ポスンとドレスが床に落とされた。
 下着を捲り上げられ、ジュリアン様の手が直接肌に触れる。

「あぁ……」

 私はため息のような喘ぎのような声を漏らしてしまった。
 ジュリアン様の口許が弧を描き、唇が私の胸元を彷徨う。だんだん膨らみのカーブをのぼっていき、てっぺんの尖りを含んだ。

「んっ……!」

 そんなことをされるとは思っていなかった私はびっくりする。『抱いて』とは言ったけど、実はどういうことをするのか、おぼろげにしか知らなかった。身体が緊張で強ばる。

「怖がらないで」

 ジュリアン様の柔らかな声が囁き、手はなだめるように、肩から腰をなでた。優しい手の感触に徐々に力が抜けていく。
 手でいろんなところをなでられて、口で乳首を舐られる。そうされるとビクンと身体が震えた。どうしていいかわからず、なにかに縋りたくて、ジュリアン様の服を掴む。ジュリアン様は私のものを口に入れながら、ふふっと笑い、優しく頭をなでてくれた。

 左右の胸を捏ねたり舌で舐められたり乳首を弄られたりしている間に、身体が火照ってきた。身体のあちこちにキスを落としているジュリアン様の唇なほうが冷たいと感じるほどに。
 そして、脚の間がとても変。なぜか湿っている感触がして焦る。
 まさか気持ちがよくて粗相してしまったとか? そんなの恥ずかしすぎる。
 ジュリアン様に気づかれないように、ぴったりと脚を合わせていたのに、ジュリアン様が手をそこに差し込んだ。

「あ、だめっ!」
「どうして?」 

 超絶な色気がだだ漏れなジュリアン様が微笑む。

「だって……!」
「ふふっ、濡れている」

 私は顔から火が出そうだった。
 泣きそうになりながら、「ごめんなさい…」とつぶやくと、ジュリアン様が驚いた顔をした。

「どうして謝るの?」
「だって……こんな粗相を……」

 好きな人の前でこんな……。
 羞恥のあまりホロリと涙がこぼれてしまった。
 ジュリアン様はそれをペロッと舐めた。

「ルビーはかわいいね。君はまだ知らないんだね。これはルビーが僕を感じている証拠なんだよ。僕を受け入れる準備をしているんだ。だから、僕はすごくうれしい」
「そうなんですか? おかしくない?」
「全然おかしくない。むしろ、もっと濡れていいんだよ?」

 そんなことにこやかに言われても……。
 でも、粗相じゃないらしくて安心する。
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