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最後のお願い
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「それでなにかな? 二人きりになるとドキドキしてしまうんだけど?」
私が話しやすいように冗談交じりに聞いてくれるジュリアン様。
その春のポカポカした陽だまりのような優しい瞳を見つめて言った。
「ジュリアン様、好きって言って」
「うん、好きだよ」
ジュリアン様は顔をほころばせて言ってくれる。
甘く蕩けるような笑顔。
私の催眠術は強力だからね。
「ぎゅっとして」
「うん、喜んで」
さらに笑みを深めて、ジュリアン様は私を抱きしめてくれる。幼い頃と同じ答えだ。
「ジュリアン様、好き……」
その胸に顔をうずめてつぶやく。
ジュリアン様は私の顎を持ち上げ、目を合わせた。アクアマリンのような綺麗な瞳が私を見つめて、近づいた。
唇に触れるだけのキス。
幸福感で胸がいっぱいになる。
「ジュリアン様、好き」
今度は目を見て言う。
ジュリアン様も幸せそうに目を細める。
「僕も好きだよ、ルビー」
うれしい……。でも、これは偽りのもの。
ごめんなさい、ジュリアン様。長い間、縛っていて。
心が苦しくて痛くなる。
「ルビー、君は僕が好きだと言うと、必ず悲しそうな顔になるね」
私の頬に手を当て、切なそうにジュリアン様は言った。親指で頬をなでられる。愛おしそうに。
言われてハッとする。
私……いつもそんな顔してた?
ごめんなさい、もう終わらせるから、最後にお願い……。
私はひとつ息を吐くと言った。
「ジュリアン様、抱いて。そのあと、私のことは忘れて、セシルのところに行って!」
トンッ
いきなり天井が見えた。
押し倒されたのだと理解した瞬間に、唇が熱いもので塞がれた。にゅるりとしたものが唇を割って入ってくる。ジュリアン様の舌だ。
ぞくりと背筋が震えた。ジュリアン様の舌は私の口の中を隅から隅まで探るように動いて、上顎をなでる。
「んっ……んん……」
感じたことのない、くすぐったいような快感が走った。
歯裏を辿っていた舌が私の舌を発見して、絡め取る。舌を絡めたまま、強く吸われると、甘い刺激に頭が曇った。
角度を変えて、何度も唇を貪られると、酸欠でぼーっとしてくる。
ふいに唇が離された。
超至近距離にジュリアン様の瞳があった。
真夏のギラギラとした熱を帯びている。
こんなジュリアン様を初めて見た。
春の穏やかな光はどこへ行っちゃったの?
私が抱いてって言ったから?
催眠術が強すぎたのかしら?
「ルビー、前半の台詞はとてもよかったよ。実にいい。でも、後半はいただけないな」
え? 私の命令を覚えているの?
強い光を宿したまま、ジュリアン様は私を見下ろす。
私が話しやすいように冗談交じりに聞いてくれるジュリアン様。
その春のポカポカした陽だまりのような優しい瞳を見つめて言った。
「ジュリアン様、好きって言って」
「うん、好きだよ」
ジュリアン様は顔をほころばせて言ってくれる。
甘く蕩けるような笑顔。
私の催眠術は強力だからね。
「ぎゅっとして」
「うん、喜んで」
さらに笑みを深めて、ジュリアン様は私を抱きしめてくれる。幼い頃と同じ答えだ。
「ジュリアン様、好き……」
その胸に顔をうずめてつぶやく。
ジュリアン様は私の顎を持ち上げ、目を合わせた。アクアマリンのような綺麗な瞳が私を見つめて、近づいた。
唇に触れるだけのキス。
幸福感で胸がいっぱいになる。
「ジュリアン様、好き」
今度は目を見て言う。
ジュリアン様も幸せそうに目を細める。
「僕も好きだよ、ルビー」
うれしい……。でも、これは偽りのもの。
ごめんなさい、ジュリアン様。長い間、縛っていて。
心が苦しくて痛くなる。
「ルビー、君は僕が好きだと言うと、必ず悲しそうな顔になるね」
私の頬に手を当て、切なそうにジュリアン様は言った。親指で頬をなでられる。愛おしそうに。
言われてハッとする。
私……いつもそんな顔してた?
ごめんなさい、もう終わらせるから、最後にお願い……。
私はひとつ息を吐くと言った。
「ジュリアン様、抱いて。そのあと、私のことは忘れて、セシルのところに行って!」
トンッ
いきなり天井が見えた。
押し倒されたのだと理解した瞬間に、唇が熱いもので塞がれた。にゅるりとしたものが唇を割って入ってくる。ジュリアン様の舌だ。
ぞくりと背筋が震えた。ジュリアン様の舌は私の口の中を隅から隅まで探るように動いて、上顎をなでる。
「んっ……んん……」
感じたことのない、くすぐったいような快感が走った。
歯裏を辿っていた舌が私の舌を発見して、絡め取る。舌を絡めたまま、強く吸われると、甘い刺激に頭が曇った。
角度を変えて、何度も唇を貪られると、酸欠でぼーっとしてくる。
ふいに唇が離された。
超至近距離にジュリアン様の瞳があった。
真夏のギラギラとした熱を帯びている。
こんなジュリアン様を初めて見た。
春の穏やかな光はどこへ行っちゃったの?
私が抱いてって言ったから?
催眠術が強すぎたのかしら?
「ルビー、前半の台詞はとてもよかったよ。実にいい。でも、後半はいただけないな」
え? 私の命令を覚えているの?
強い光を宿したまま、ジュリアン様は私を見下ろす。
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