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もう引き延ばせない……
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そう、最近、地震が多い。だんだん頻度が高まっている気がする。
しかも、夏なのに雨続きで気温が上がらず、異常気象が続いていた。
『天変地異に見舞われた国を救う』のが聖女の役目。
実際、セシルはこのところ頻繁に教会へお祈りを捧げに行っていた。でも、成果ははかばかしくないようで、たまにため息をついていた。
――聖女は愛する人を得て初めて真の力に目覚め、国を救う。
ゲームの内容が頭をよぎる。
この状況は私のせいかも……。
いいえ、『かも』じゃないわね、私のせい。私がセシルとジュリアン様の恋路を邪魔しているから、セシルは真の力に目覚められず、天変地異も抑えることができないのよね。
ごめんなさい……。
ずるい考えで、他の攻略対象にセシルが恋したらいいんじゃないかと、リカルドやダンガルドを秘かに応援してみたけど、セシルが見つめるのはやっぱりジュリアン様の方。
この頃はなんでも話せる仲になっているのに、このことだけは怖くてセシルに聞けないでいる。
ジュリアン様が好きなの?とは。
聞いてもセシルは否定するだろうけど、目が物語っている。
このままでは作物も育たず、飢饉が起こるかもしれない。地震だって、すでに大きなものが起きた地域では建物が崩壊して、壊滅的な被害が出ている。
潮時ね……。
もうこれ以上は引き延ばせない。
今夜、ジュリアン様の催眠術を解こう。きっとそれがジュリアン様の感情を縛っているんだ。だから、ジュリアン様はセシルに惹かれないんだわ。
私は十分ジュリアン様に愛された。偽りの愛だったけど。
ごめんなさい、ジュリアン様。
最後に思い出をもらっていいかしら?
終わったら記憶を消すから、お願い……。
私はそんなことを考えながら、腰に回された腕にそっと手を添えた。
***
王宮で、食事を終えたジュリアン様と私は、彼の私室でお茶を飲んでいた。二人並んでソファーに腰かけている。
婚約者と言えども二人きりにはなれないので、後ろにはそれぞれの従者が控えている。
でも、私の決意を実行するには二人きりにならないといけない。
「ジュリアン様、私……どうしても二人でお話ししたいことがあるんです」
意を決して、私はジュリアン様を見つめた。
彼は驚いた顔をしたけど、すぐ優しく微笑んで、従者に合図した。従者はすぐ部屋を出た。
私も自分の従者に『お願い』した。彼女も静かに立ち去った。
しかも、夏なのに雨続きで気温が上がらず、異常気象が続いていた。
『天変地異に見舞われた国を救う』のが聖女の役目。
実際、セシルはこのところ頻繁に教会へお祈りを捧げに行っていた。でも、成果ははかばかしくないようで、たまにため息をついていた。
――聖女は愛する人を得て初めて真の力に目覚め、国を救う。
ゲームの内容が頭をよぎる。
この状況は私のせいかも……。
いいえ、『かも』じゃないわね、私のせい。私がセシルとジュリアン様の恋路を邪魔しているから、セシルは真の力に目覚められず、天変地異も抑えることができないのよね。
ごめんなさい……。
ずるい考えで、他の攻略対象にセシルが恋したらいいんじゃないかと、リカルドやダンガルドを秘かに応援してみたけど、セシルが見つめるのはやっぱりジュリアン様の方。
この頃はなんでも話せる仲になっているのに、このことだけは怖くてセシルに聞けないでいる。
ジュリアン様が好きなの?とは。
聞いてもセシルは否定するだろうけど、目が物語っている。
このままでは作物も育たず、飢饉が起こるかもしれない。地震だって、すでに大きなものが起きた地域では建物が崩壊して、壊滅的な被害が出ている。
潮時ね……。
もうこれ以上は引き延ばせない。
今夜、ジュリアン様の催眠術を解こう。きっとそれがジュリアン様の感情を縛っているんだ。だから、ジュリアン様はセシルに惹かれないんだわ。
私は十分ジュリアン様に愛された。偽りの愛だったけど。
ごめんなさい、ジュリアン様。
最後に思い出をもらっていいかしら?
終わったら記憶を消すから、お願い……。
私はそんなことを考えながら、腰に回された腕にそっと手を添えた。
***
王宮で、食事を終えたジュリアン様と私は、彼の私室でお茶を飲んでいた。二人並んでソファーに腰かけている。
婚約者と言えども二人きりにはなれないので、後ろにはそれぞれの従者が控えている。
でも、私の決意を実行するには二人きりにならないといけない。
「ジュリアン様、私……どうしても二人でお話ししたいことがあるんです」
意を決して、私はジュリアン様を見つめた。
彼は驚いた顔をしたけど、すぐ優しく微笑んで、従者に合図した。従者はすぐ部屋を出た。
私も自分の従者に『お願い』した。彼女も静かに立ち去った。
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