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天変地異

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「あぁ、ここにいたんだ。探したよ」

 私がうなだれていると、ジュリアン様が私を見つけて、抱きしめた。

「さっきの地震、大丈夫だった? 怖くなかった?」

 優しい瞳が私を見つめる。
 いつもと変わらない愛情あふれる眼差しに、目が潤んでしまう。
 セシルに心を奪われたんじゃなかったの?

「怖かったんだね。かわいそうに。もう大丈夫だよ?」

 頭をなでて、抱きしめて、頬を寄せる。本当になにも変わっていないジュリアン様に私はしがみついて、涙をこぼした。
 怖くて泣いているのだと誤解してくれているのを幸いに。
 ジュリアン様が唇で涙の跡を辿った。
 びっくりして、涙が止まる。

「ふふ、泣いている君も、驚いている君もかわいい。でも、僕を見て笑っている君が一番かわいいな」

 頬に口づけながら、そんなことを言われて、私は真っ赤になった。

「ルビー、好きだよ」

 ふいにジュリアン様が言った。
 今一番聞きたかった言葉。なんでわかったの?
 せっかく止まった涙がまたあふれてくる。
 私はジュリアン様の胸に顔をうずめて、「私もです」とつぶやいた。
 うれしいけど、罪悪感が募った。


 ***


 それからしばらく経った放課後、クラスメート達と文化祭の準備のことを話していた。セシルと一緒に実行委員になったのだ。学校生活三年目にして初めて、みんなでワイワイなにかをするという楽しみを味わっている。
 すると、セシル以外のクラスメートがザザッと退いた。

「僕のかわいいルビーをそろそろ返してくれる?」

 涼やかな声とともに、後ろから腰を引き寄せられる。
 ジュリアン様だ。
 背中が引き締まった身体にひっついて、頬が熱を持った。
 ふと見ると、セシルも真っ赤になっている。

「今日は王宮に来てくれる約束でしょ?」

 ジュリアン様が耳許でささやく。
 ぞくっとして、首をすくめる。
 ちょっと拗ねているようなお声だ。
 最近、こうしてクラスメートとおしゃべりしたり、セシルと週末にお買い物に出かけたりしていることが増えて、焼きもちを焼いているらしい。と本人が言っていた。

「はい、もちろん、お供します」

 この間はセシルが好きになったのかもと不安になったけど、ジュリアン様は変わらず私を見ていてくれる。むしろ、前よりスキンシップが増えたような……? セシルに対する距離間は変わらない。
 安堵するとともに、別の不安が増した。

 グラッ、グラグラッ

「きゃっ」
「地震?」
「また? 最近多くない?」

 クラスメートが騒いだ。
 ジュリアン様が守るように私を抱きしめてくれる。
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