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仲良くなっちゃった
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「ところで、フルーツタルト、ものすごくおいしかったです。あんなのが毎日食べられるなんて、幸せですね」
言葉の通り、幸せそうな顔で、セシルが微笑んだ。
かわいい……。この子はなんてかわいく笑うのかしら。
複雑な気分を隠して、私は話を続けた。
「そうでしょ? うちにもパティシエがいるけど、フルーツタルトはここのが一番おいしいわ。あとはたまに出てくるチーズシフォンケーキもおいしいのよ」
「わぁ、楽しみ! ルビアナ様も甘いものがお好きなんですね」
「そうなの。栄養が偏らないなら、毎食ケーキでいいぐらい」
「ふふっ、それはかなりの甘党ですね。でも、気持ちはわかるかも」
「わかってくれる? うれしい! 今まで賛同してくれる人がいなかったの」
「私はそれがチョコレートですけどね。チョコが一番好きなんです」
「あら、それじゃあ、授業が終わったらサロンに招待するわ。ちょうど街で評判のチョコレートを入手したから、一緒に食べましょ?」
「いいんですか?」
「もちろん」
「うれしいです!」
男性陣は甘いものを食べなくはないけど、こうテンションが上がって話すほどでなく、もの足りなかったのだ。
憧れの女子トークができるチャンスだわ!
『おいしー!』って盛り上がりたかった私は、唐突にセシルをサロンに誘ってしまった。
いつも入り浸っているサロンは高級貴族とその招待客のものとされているんだけど、ジュリアン様、リカルド、ダンガルド、今年からラミレスが使っているので、誰も近寄らない、私達専用サロンになっていた。
セシルをサロンに連れていくと、そこでお茶を飲んでいたジュリアン様を見て、彼女が頬を染めるのを見て後悔した。
バカね、私は。なにも自らジュリアン様とセシルの接点を増やさなくてもいいのに…。
セシルは裏表のない本当にいい子だった。聖女なだけあって、癒やし系。
甘いものの話題から、ほどなく打ち解けて、私に初めての女友達ができた。
友達って言っていいわよね? まだ早いかしら?
サロンにセシルが顔を出すようになって、リカルドもダンガルドもラミレスさえも大歓迎だった。
ラミレスはこれを機会に姉離れするといいわ。
女友達っていいわね。楽しくって仕方ない。
私はセシルに夢中になった。ジュリアン様が『少しは僕もかまってよ』と文句を言うほど。
私達と一緒に行動しているし、聖女ということで、最初はセシルも遠巻きにされていたけど、彼女の親しみやすい人柄にだんだんクラスメートも受け入れていき、気がついたら、私よりみんなと仲よくなっていた。
「ルビアナ様は完璧すぎて、近寄りがたいんですよ」
「私なんて全然完璧じゃないのに」
「うふふ、お茶目でかわいらしいところもあるのにね」
「それも違うわよ」
私は赤くなる。
綺麗とは言われるけど、かわいいなんて、ジュリアン様以外に言われたことないわ。
「ほら、そういうところ!」
セシルがおかしそうに笑う。
彼女とじゃれているうちに、クラスメートとも少し打ち解けてきた。
そんな楽しい新学期を送るうちに、私は大事なことを忘れかけていた。
言葉の通り、幸せそうな顔で、セシルが微笑んだ。
かわいい……。この子はなんてかわいく笑うのかしら。
複雑な気分を隠して、私は話を続けた。
「そうでしょ? うちにもパティシエがいるけど、フルーツタルトはここのが一番おいしいわ。あとはたまに出てくるチーズシフォンケーキもおいしいのよ」
「わぁ、楽しみ! ルビアナ様も甘いものがお好きなんですね」
「そうなの。栄養が偏らないなら、毎食ケーキでいいぐらい」
「ふふっ、それはかなりの甘党ですね。でも、気持ちはわかるかも」
「わかってくれる? うれしい! 今まで賛同してくれる人がいなかったの」
「私はそれがチョコレートですけどね。チョコが一番好きなんです」
「あら、それじゃあ、授業が終わったらサロンに招待するわ。ちょうど街で評判のチョコレートを入手したから、一緒に食べましょ?」
「いいんですか?」
「もちろん」
「うれしいです!」
男性陣は甘いものを食べなくはないけど、こうテンションが上がって話すほどでなく、もの足りなかったのだ。
憧れの女子トークができるチャンスだわ!
『おいしー!』って盛り上がりたかった私は、唐突にセシルをサロンに誘ってしまった。
いつも入り浸っているサロンは高級貴族とその招待客のものとされているんだけど、ジュリアン様、リカルド、ダンガルド、今年からラミレスが使っているので、誰も近寄らない、私達専用サロンになっていた。
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バカね、私は。なにも自らジュリアン様とセシルの接点を増やさなくてもいいのに…。
セシルは裏表のない本当にいい子だった。聖女なだけあって、癒やし系。
甘いものの話題から、ほどなく打ち解けて、私に初めての女友達ができた。
友達って言っていいわよね? まだ早いかしら?
サロンにセシルが顔を出すようになって、リカルドもダンガルドもラミレスさえも大歓迎だった。
ラミレスはこれを機会に姉離れするといいわ。
女友達っていいわね。楽しくって仕方ない。
私はセシルに夢中になった。ジュリアン様が『少しは僕もかまってよ』と文句を言うほど。
私達と一緒に行動しているし、聖女ということで、最初はセシルも遠巻きにされていたけど、彼女の親しみやすい人柄にだんだんクラスメートも受け入れていき、気がついたら、私よりみんなと仲よくなっていた。
「ルビアナ様は完璧すぎて、近寄りがたいんですよ」
「私なんて全然完璧じゃないのに」
「うふふ、お茶目でかわいらしいところもあるのにね」
「それも違うわよ」
私は赤くなる。
綺麗とは言われるけど、かわいいなんて、ジュリアン様以外に言われたことないわ。
「ほら、そういうところ!」
セシルがおかしそうに笑う。
彼女とじゃれているうちに、クラスメートとも少し打ち解けてきた。
そんな楽しい新学期を送るうちに、私は大事なことを忘れかけていた。
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