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かわいい聖女④

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「君は……なにも言ってくれないんだね」
「だって、本当になんでもないんですもの」
「そう……。なにかあったら僕を頼ってね」
「はい、心強いですわ」

 いつまでこうしていられるのかな?
 私は頬にあてられたジュリアン様の手に自分の手を重ねて、微笑んだ。



「ルビアナ様がジュリアン様と熱々で驚きました」

 食後にお手洗いに行きながら、セシルが言った。ジュリアン様を思い出しているのか、うっとりしている。

「あんな素敵な方に溺愛されているなんて、うらやましいです。でも、ルビアナ様も綺麗で優しいからお似合いですね」

 私はなんとも言えず、照れ笑いをこぼす。
 こんな直球で褒めてくれる人はジュリアン様以外にこれまでいなかった。
 そういえば、今までこういう風に女の子とべったり一緒に行動することもなかったわね。
 私の公爵令嬢という高い身分とジュリアン様筆頭にきらびやかな人達が周りを取り囲んでいたから、クラスメートはみんな丁寧だけど、一歩退いて私に接していた。
 今気づいたけど、もしかして私って友達いない……?
 うそ……!

「そういえば、ジュリアン様の後ろに立っていた方はどなたなんですか? いかついお顔の」
「あぁ、あれは近衛騎士よ。フランかペイルのどちらかが常に誰か一人がついて、ジュリアン様をお守りしているんです」
「そうなんですね。王族ですもんね」

 鋭い眼つきで明らかに雰囲気が違うから違和感を覚えたらしい。
 私達は、小さい頃から見ているから空気のような存在になっていたけど。幼い頃はよく遊んでもらった頼れるお兄さん達って感じ。

「あ、でも、さっきいたフランは眼つきは悪いけど、話すと優しいし頼りになるのよ?」
「フラン様と言うのですね」
「小さい頃はジュリアン様と一緒に追いかけっことか高い高いとかしてよく遊んでくれたの。あまりに私を高くまで飛ばして、青くなったペイルに叱られていたわ」

 私が怖くないんだよと、フランのエピソードをいくつか話すと、セシルはふふっと笑った。
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