天女を空に還すとき

入海月子

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 シーナの腰を引き寄せ、家に帰ると、チナツは出ていったようで、誰もいなかった。
 そのままシーナを寝室に引っ張っていくと、寝台に押し倒した。

 シーナを確かめるように至るところにキスを降らせ、手で全身をまさぐる。

「愛してる……愛してる……」

 キスの合間に何度もつぶやくと、シーナも「私も愛しています」と返してくれた。
 全身が歓喜に埋め尽くされる。
 今この瞬間、この世に俺より幸せな者はいないと思った。

 天界のものと思われる薄く艷やかな衣を脱がすと、左胸の上部になにかの刻印が浮かんでいた。

「これは……?」

 それを撫でながら尋ねると、シーナが微笑んで答えた。

「堕天の印です。これであなたの赤ちゃんが産める」

 聞くと、天界の者と人間界の者とでは理が違うので、子を生すことができないそうだ。そのために、シーナは天界に戻ったのだと言う。

「シーナ……」

 愛おしさにどうにかなりそうで、俺は彼女をきつく抱きしめた。
 それでも足りず、口の中をしゃぶり、彼女を感じようとする。手を彼女の脚の間に忍び込ませ、俺を受け入れる準備をさせる。
 俺は服を脱ぎ捨てると、早々にシーナの中に入っていった。
 まだほぐしきれていない彼女の中は狭く、俺の形に広がっていっているのがわかった。

「痛くないか?」
「大丈夫です。幸せ……」
 
 その言葉どおり、喜びに顔を輝かせたシーナは俺の背中に手を回した。
 離れていた時間を埋めるように、俺はその身体を何度も穿ち、満たした。シーナは喘ぎ、善がり、何度か意識を飛ばしたが、俺たちは朝まで繋がり続けた。


 その後、詮索してくる者もあったが、軽くいなして、俺たちは幸せに暮らした。
 ほどなく子宝にも恵まれて、シーナそっくりの女の子が可愛すぎてうろたえるのはまた別の話だ。




 
─fin─
 



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お読みいただき、ありがとうございます!
蛇足です。
かわいそうなチナツちゃんは村の気のいい青年(10年越しの片想い)に絆されて、幸せになりますので、ご心配なく!
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