繋がれた絆はどこまでも

mahiro

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「アシル」


「何だ」


いつもよりも顔の赤いアシルの横顔を見ながら、ライトは思った。
迷うくらいなら言ってしまえと。


「俺もアシルのこと、好きだぞ。勿論、恋愛的な意味で!」


「はぁ?!」


それていた顔が正面に戻され、信じられないとアシルは目を見開いていた。


「お前、それ本当か」

 
「おう?嘘なんて言ってないぞ?」


疑うのかと首を傾けながらアシルに訪ねれば、首を横に振られた後に一回り大きな胸の中にライトは閉じ込められた。
爽やかな香りに包まれ、目を閉じればライトと同じくらい心臓が鳴り響いているのが聞こえてくる。
その音が何故か落ち着き、聞き耳を立てるようにそこへ顔をくっつけた。


「………兄弟揃って同じ道を辿ることになったな」


「ホントだな!何だか仲間になったみたいで嬉しい」


今まで自分と同じ様な仲間がいなかっただけに、ライトは喜び口角を上に上げた。
そんなライトの背中を撫でながらアシルは天井を見上げた。


アシルにとって、これまでの人生、ライトのーーー時期当主のためのものであったと言っても過言ではない。
その為だけに努力し、その為だけに存在していた。
ライトが逃亡したときなど、捨てられたのではないかと錯覚に陥ったものだ。
優秀だと言われ続けた己から敗けを認めて逃げるならまだしも、そうではない形で逃げられたのは初めてだった。 

見つけて、時期当主として戻ってきたときのライトは何処か物静かで、自己主張も少なく表情も乏しく見えた。
他人に興味など一切示さないのに、警戒心だけは強く側にいる人物全てを警戒しているようだった。
それは常に側にいるアシルだって例外ではなく、ライトにとっては警戒すべき人物であった。
それから暫くたった頃だっただろうか。
少しずつではあるが、ライトの表情が和らいできているように見えた。
それは僅か過ぎて他の人物には気付かれないと思うが、四六時中側にいるアシルには分かった。
それから更にときが経過した頃には、明るく受け答えをするように変化していた。
まだ完全ではないけれど、ライトにとってここは安らげる場であるのだと思ってくれるようになったのではと安心していた。


が、アシルが嫌々お見合いの手紙やらを持っていったあの日から逆戻りしてしまったわけだが。


結局のところ、こうして両思いとなり、メイソンやイザヤ同様恋人同士になるなんざ、誰も予想していなかっただろうが、これもひとつのつながりなのだろう。


奇跡ともいえるほど、長生きしたライトとイザヤは永遠を共にする者たちとともにこれからも生き抜いていく。















おわり






ここまでお付き合いいただきました皆様へ、深く感謝申し上げます。
拙い文章に関わらずお付き合いいただき、感謝の言葉しかございません。

また次回作も作成を予定しておりますので、そちらの方でもお付き合いいただけますと光栄にございます。

この度もありがとうございました。

今後ともよろしくお願いいたします。
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