繋がれた絆はどこまでも

mahiro

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「人を探してるんだと。ちなみにこいつは俺の城の人間でもねぇからな。今は俺について回ってるが」


人を探している、と聞いてライトはすぐさまこの場を離れたくなった。
ただでさえ、目撃者が多く連れ戻されるリスクが非常に高いのに、更に国の人間、それもメイソンの従者と遭遇なんてとんでもない。
いくら魔法で変装しているからといって安心できる要素は何処にもなく、見つかる可能性の方が限りなく高い。
何故ならメイソンたちが通っている学校は魔法学校なわけで、変装魔法などすぐに見破れるだろう。


「人ってこの山はオレ以外いないですけど。まぁ?今日は珍しく居ましたけど?」


そういって睨み付けてきた青年の視線を受け、ライトは後方に下がりつつ今にもこの場所から去ろうとした瞬間、背中に何か温かいものに触れ、慌てて振り返った。
そこにはさっきまで離れた場所に居たイザヤが無表情のままそこに立っていた。


「っ!」


慌てて離れようとするも両肩を大きな手で掴まれ、ライトは悲鳴を上げそうになった。


「見習いで城に邪魔しているだけで、こんな俺様王子の従者なんてオラスくらいにか出来ねえよ。だから、何をぐちゃぐちゃ考えてるのか分からないがさっさとこいつの従者として戻ってきてくれないか?非常に迷惑だ」


ライトの反応など気にせず、イザヤは目の前にいる二人向けて言った。


「迷惑って言いますね………」


「はっ、こっちだってお前のような言うことも聞かない、主人を主人とも思わない無礼な男なんていらないね」


「だって俺の主人はあんたじゃないからな」


ライトの存在など忘れているかのように話し出す三人に今のうちにすぐにでも消えられるようにと準備をしたいのに、イザヤがライトを掴んで離さないため身動きが取れない。
このままだと非常にまずい。


「チッ、ほら帰るぞ、オラス」


「え、いや、待ってください」


男に引き摺られるよう青年ーーーラルスは後ろ向きに歩き出し、ライトはそのままイザヤと残る羽目になってしまった。
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