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朝目を覚ますと、貴匡さんにしがみついて床で眠る優月さんと、床に置いてあった布団を自分と優月さんにかけて眠る貴匡さん。
貴匡さんの足を枕にして眠る荒巻さんという意味の分からない状態で眠っていた。
俺は俺で壁に背を預けて眠ってしまったみたいで、昨日着ていたスーツのままだ。
いくらなんでもシャワーも浴びずに大学に行くのは、と考えかけて今日は土曜日だったかとポケットに入っていたスマホを見て思い出した。
「んん………もう朝かぁ?」
俺の次に目を覚ましたのは貴匡さんだったようで、目を擦りながら起き上がろうとして、足に乗っかっている荒巻さんを見て顔をしかめた。
「優月は俺にしがみつこうが何しようがご褒美になるから良いけどぉ、でかくてごっつい男がくっついてるとか屈辱でしかないんですけどぉ?」
蹴って良いかな?こいつ、と爽やかすぎる笑顔で言われ、回っていなかった俺の頭が導き出した答えは。
「良いんじゃないですか?」
肯定だった。
次の瞬間、それはもう良い音を立てて蹴りが入っていたけど、その音でも起きない優月さんも凄いと思う。
「何で朝から蹴られないといけないの、俺?!」
「人様の足を枕にしてるからだ!俺の足を枕にして良いのは優月だけだから!」
「何だと?!中城のケチ!」
「うるせー!銀髪!」
「何だとイケメン!」
「な、何だよ。いきなり褒めるなよ。照れるだろ」
そこは照れるんだ、貴匡さん。
というかこの人たち、俺と違って仕事ないのかな。
俺は今日は休みだから良いけど。
「褒めて何が悪いんだよ?!」
「そこキレるなよ」
あんたたち、言い合いしてたんじゃないの?とツッコミを内心入れながら立ち上がれば、誰かのスマホの画面が光っていた。
「すみません、これ誰のスマホですか?光ってますけど」
「あ!俺の!嶋貫、パス!」
パスと言われても電機機器を投げて渡すのはどうかと思うけど、言ってきたのは荒巻さんだし良いか。
「はい、パス」
「嶋貫、遠慮がないんですけど?!」
力加減なく荒巻さんに投げ付ければ、荒巻さんの手のひらでミシっと音がしたような気がするけど俺は知らない。
「な、何か今しちゃいけない音がしたんだけど?!」
「そうでしたか?俺には聞こえませんでした」
「俺も聞こえなかったなぁー、荒巻しか聞こえてないんじゃねーの?」
貴匡さんがニヤニヤと笑いながら言えば、いまだに貴匡さんの胸にしがみついて眠る優月さんを揺すり起こそうとし始めた。
「優月ぃいーー!起きろー!お前が頼りだー!」
「ちょっと?!人の彼女揺すり起こすのやめてくれませんかね?!てか、汚い手で触んな!」
「汚くねーし!ちょー綺麗だし!」
「オメー風呂入ってねーだろ?!」
「そういう中城だって入ってないだろう?!」
「ここのメンバー誰ひとりとして入ってないですよね」
「嶋貫、それ言わないで!」
朝から荒巻さんテンション高いな、と思っていたらやっと優月さんが目を覚ました。
これだけうるさくて眠れる筈ないよね。
「貴匡うるさい……」
「俺だけ?!」
貴匡さんの足を枕にして眠る荒巻さんという意味の分からない状態で眠っていた。
俺は俺で壁に背を預けて眠ってしまったみたいで、昨日着ていたスーツのままだ。
いくらなんでもシャワーも浴びずに大学に行くのは、と考えかけて今日は土曜日だったかとポケットに入っていたスマホを見て思い出した。
「んん………もう朝かぁ?」
俺の次に目を覚ましたのは貴匡さんだったようで、目を擦りながら起き上がろうとして、足に乗っかっている荒巻さんを見て顔をしかめた。
「優月は俺にしがみつこうが何しようがご褒美になるから良いけどぉ、でかくてごっつい男がくっついてるとか屈辱でしかないんですけどぉ?」
蹴って良いかな?こいつ、と爽やかすぎる笑顔で言われ、回っていなかった俺の頭が導き出した答えは。
「良いんじゃないですか?」
肯定だった。
次の瞬間、それはもう良い音を立てて蹴りが入っていたけど、その音でも起きない優月さんも凄いと思う。
「何で朝から蹴られないといけないの、俺?!」
「人様の足を枕にしてるからだ!俺の足を枕にして良いのは優月だけだから!」
「何だと?!中城のケチ!」
「うるせー!銀髪!」
「何だとイケメン!」
「な、何だよ。いきなり褒めるなよ。照れるだろ」
そこは照れるんだ、貴匡さん。
というかこの人たち、俺と違って仕事ないのかな。
俺は今日は休みだから良いけど。
「褒めて何が悪いんだよ?!」
「そこキレるなよ」
あんたたち、言い合いしてたんじゃないの?とツッコミを内心入れながら立ち上がれば、誰かのスマホの画面が光っていた。
「すみません、これ誰のスマホですか?光ってますけど」
「あ!俺の!嶋貫、パス!」
パスと言われても電機機器を投げて渡すのはどうかと思うけど、言ってきたのは荒巻さんだし良いか。
「はい、パス」
「嶋貫、遠慮がないんですけど?!」
力加減なく荒巻さんに投げ付ければ、荒巻さんの手のひらでミシっと音がしたような気がするけど俺は知らない。
「な、何か今しちゃいけない音がしたんだけど?!」
「そうでしたか?俺には聞こえませんでした」
「俺も聞こえなかったなぁー、荒巻しか聞こえてないんじゃねーの?」
貴匡さんがニヤニヤと笑いながら言えば、いまだに貴匡さんの胸にしがみついて眠る優月さんを揺すり起こそうとし始めた。
「優月ぃいーー!起きろー!お前が頼りだー!」
「ちょっと?!人の彼女揺すり起こすのやめてくれませんかね?!てか、汚い手で触んな!」
「汚くねーし!ちょー綺麗だし!」
「オメー風呂入ってねーだろ?!」
「そういう中城だって入ってないだろう?!」
「ここのメンバー誰ひとりとして入ってないですよね」
「嶋貫、それ言わないで!」
朝から荒巻さんテンション高いな、と思っていたらやっと優月さんが目を覚ました。
これだけうるさくて眠れる筈ないよね。
「貴匡うるさい……」
「俺だけ?!」
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