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長い1日を終えて家に帰ろうとすれば、何故か大人しそうな女の子がアパートの前でスマホを両手で持って立ち尽くしていた。
何、最近このアパートこういう人多くない?
「くっしゅ」
大きいカーディガンが羽織ったその女の子は赤くなった鼻をすすり、猫の目に見た瞳を俺に向けた。
慌てて反らすのもおかしいかと思い、近付いてポケットに入っていたホッカイロを手渡した。
いくらなんでも寒いからって女の子家に連れ込むわけにはいかないし。
「風邪引きますよ、これ使ってください」
「…………」
女の子は目を見開いて、俺とカイロを見て一歩下がった。
丸いで警戒している猫のようだな。
「まだ開封してませんし、何も悪いもの入ってませんよ。セールスでもないですし」
この間もこうやって警戒してる長嶋君に家に来るように言ったっけ。
この子と長嶋君じゃ状況が違うけど。
「ありがと…とう?」
恐る恐るカイロを受け取る女の子手は氷のように冷たくて、冷え性なのか長時間ここにいるのか分からないが、身体にはよく無さそうだ。
「君はどうしてここに?」
「………彼氏が、ここから動くなって。すぐ戻ってくるからって」
彼氏待ちか。
こんな夜遅くに女の子ひとり待たせるとか危ないだろうに。
この子も暗いところで待たないで明るい所で待ってれば良いのにって思って周囲を見たけれど、アパートの入り口にある照明しかないか。
「彼氏は何処に行ったの?」
「その道まっすぐ行った先にあるコンビニ」
俺のよく使ってるコンビニだな。
どうせなら一緒に連れてって上げれば良いのに。
「ふーん。君はついていかなかったの?」
「貴匡がここにいろって言うから。私がついて行くとすぐに迷子になるからって」
コンビニ内で迷子ってどういうこと?と思いながらもひとりで待たせるのは心配で彼氏が来るまで、何となく側で待っていた。
何、最近このアパートこういう人多くない?
「くっしゅ」
大きいカーディガンが羽織ったその女の子は赤くなった鼻をすすり、猫の目に見た瞳を俺に向けた。
慌てて反らすのもおかしいかと思い、近付いてポケットに入っていたホッカイロを手渡した。
いくらなんでも寒いからって女の子家に連れ込むわけにはいかないし。
「風邪引きますよ、これ使ってください」
「…………」
女の子は目を見開いて、俺とカイロを見て一歩下がった。
丸いで警戒している猫のようだな。
「まだ開封してませんし、何も悪いもの入ってませんよ。セールスでもないですし」
この間もこうやって警戒してる長嶋君に家に来るように言ったっけ。
この子と長嶋君じゃ状況が違うけど。
「ありがと…とう?」
恐る恐るカイロを受け取る女の子手は氷のように冷たくて、冷え性なのか長時間ここにいるのか分からないが、身体にはよく無さそうだ。
「君はどうしてここに?」
「………彼氏が、ここから動くなって。すぐ戻ってくるからって」
彼氏待ちか。
こんな夜遅くに女の子ひとり待たせるとか危ないだろうに。
この子も暗いところで待たないで明るい所で待ってれば良いのにって思って周囲を見たけれど、アパートの入り口にある照明しかないか。
「彼氏は何処に行ったの?」
「その道まっすぐ行った先にあるコンビニ」
俺のよく使ってるコンビニだな。
どうせなら一緒に連れてって上げれば良いのに。
「ふーん。君はついていかなかったの?」
「貴匡がここにいろって言うから。私がついて行くとすぐに迷子になるからって」
コンビニ内で迷子ってどういうこと?と思いながらもひとりで待たせるのは心配で彼氏が来るまで、何となく側で待っていた。
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