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普通だったら男同士のこういったやり取りを見て、引いたりするのかもしれないけれど、俺は引いたりしないし寧ろ良かったとさえ思った。
過去俺も男性の親友を好きで、過ちさえ犯してしまったが、目の前の二人はまだすれ違いを生じているだけで気持ちが繋がっているように感じた。
まだ、まだ大丈夫だ。
ここでズレたものをかけ直せば。
「………そんなこと思ってたの?大河」
大きな瞳を更に広げ、怒りながらも泣き始めた宇佐美君の震える手に長嶋君は手を添えた。
「例え俺が売れてようが売れてなかろうが、俺は大河の気持ちさえ手に入れば他なんてどうでも良いのに」
「軽々しくどうでも良いなんて言うんじゃねーよ」
そう言ってお互いを抱き締め合う二人に、俺はメモ書とスペアーキーを玄関に置いて家を出た。
あぁ、今日は近くの安いホテルでも泊まるか。
そう思ってスマホで探せば大学近くに安いホテルを発見し、そこに泊まることにした。
その日の夜、また夢を見た。
昔の夢だ。
親友の苦い恋を見守っていた、あの首を絞められているかのような息苦しい日々を。
叶わなければ良い、俺に泣きついてくれば良いと悪いことばかりを思い付く俺の心は本当に泥のように淀んでいて、人には見せられない形をしていた。
恋なんて綺麗なもんじゃない。
ドロドロしていて、醜くて、それでいて残酷で。
あのとき抱き締めあった二人のように綺麗なものは、俺にはない。
目覚ましで目覚めた朝は残酷なほど眩しくて、寝不足な俺には辛いものだった。
それでも今日は朝から講義があるので、無理やり身体をお越してホテルを出た。
あの二人はちゃんと恋を実らせることが出来ただろうか。
出来たのなら良いのだが、と思いながら大学の研究室に入れば昨日帰ったときと同じ部屋がそこには広がっていた。
今日もここで一日を過ごすのかと思っていたら後ろから教授の声が聞こえて振り返った。
「よぉ、嶋貫おはようって何お前。帰ってないの?昨日と同じ服じゃん」
言われて服装を見てみれば確かに同じ服装だ。
あの二人のやり取りを見守ってそっと出てきたから服を変えようとかの発想にはならなかったな。
「シャワーはホテルで浴びました」
「え?何でホテル?お前の家、すぐ近くだったよな?」
「はい。ちょっと昨晩は………色々ありまして」
「ふーん、お前が珍しいな。もしかしてこれか?」
そう言って面白そうに小指を上げる教授に呆れながら部屋の中の窓を開けた。
「ほら、馬鹿やってないで準備してください。教授も朝から講義ありましたよね」
「お前ねぇ………もう」
面白味のない奴だと言いながら荷物を降ろす教授の手には家に帰った翌日には必ず持たされる奥さんからの手作り弁当があった。
「恋は良いぞ?人を成長させ輝かせてくれる。嶋貫もまだまだ若いのだから頑張れば彼女の一人や二人出来るって」
「二人はいりません。一人で十分です」
そこじゃねえだろ、とツッコミを入れる教授を無視し、俺は講義の準備を進めた。
過去俺も男性の親友を好きで、過ちさえ犯してしまったが、目の前の二人はまだすれ違いを生じているだけで気持ちが繋がっているように感じた。
まだ、まだ大丈夫だ。
ここでズレたものをかけ直せば。
「………そんなこと思ってたの?大河」
大きな瞳を更に広げ、怒りながらも泣き始めた宇佐美君の震える手に長嶋君は手を添えた。
「例え俺が売れてようが売れてなかろうが、俺は大河の気持ちさえ手に入れば他なんてどうでも良いのに」
「軽々しくどうでも良いなんて言うんじゃねーよ」
そう言ってお互いを抱き締め合う二人に、俺はメモ書とスペアーキーを玄関に置いて家を出た。
あぁ、今日は近くの安いホテルでも泊まるか。
そう思ってスマホで探せば大学近くに安いホテルを発見し、そこに泊まることにした。
その日の夜、また夢を見た。
昔の夢だ。
親友の苦い恋を見守っていた、あの首を絞められているかのような息苦しい日々を。
叶わなければ良い、俺に泣きついてくれば良いと悪いことばかりを思い付く俺の心は本当に泥のように淀んでいて、人には見せられない形をしていた。
恋なんて綺麗なもんじゃない。
ドロドロしていて、醜くて、それでいて残酷で。
あのとき抱き締めあった二人のように綺麗なものは、俺にはない。
目覚ましで目覚めた朝は残酷なほど眩しくて、寝不足な俺には辛いものだった。
それでも今日は朝から講義があるので、無理やり身体をお越してホテルを出た。
あの二人はちゃんと恋を実らせることが出来ただろうか。
出来たのなら良いのだが、と思いながら大学の研究室に入れば昨日帰ったときと同じ部屋がそこには広がっていた。
今日もここで一日を過ごすのかと思っていたら後ろから教授の声が聞こえて振り返った。
「よぉ、嶋貫おはようって何お前。帰ってないの?昨日と同じ服じゃん」
言われて服装を見てみれば確かに同じ服装だ。
あの二人のやり取りを見守ってそっと出てきたから服を変えようとかの発想にはならなかったな。
「シャワーはホテルで浴びました」
「え?何でホテル?お前の家、すぐ近くだったよな?」
「はい。ちょっと昨晩は………色々ありまして」
「ふーん、お前が珍しいな。もしかしてこれか?」
そう言って面白そうに小指を上げる教授に呆れながら部屋の中の窓を開けた。
「ほら、馬鹿やってないで準備してください。教授も朝から講義ありましたよね」
「お前ねぇ………もう」
面白味のない奴だと言いながら荷物を降ろす教授の手には家に帰った翌日には必ず持たされる奥さんからの手作り弁当があった。
「恋は良いぞ?人を成長させ輝かせてくれる。嶋貫もまだまだ若いのだから頑張れば彼女の一人や二人出来るって」
「二人はいりません。一人で十分です」
そこじゃねえだろ、とツッコミを入れる教授を無視し、俺は講義の準備を進めた。
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