117 / 119
117
しおりを挟む
残された俺とラリマーはというと何もない場所に向き合って座り、この何とも言えぬ雰囲気をどうしたら良いものかと悩んだ。
「アレット君」
「何だ?」
沈黙を破ったラリマーは、膝の上で握っていた手を大切そうに握りしめ笑った。
「嫌いではないと、好きであると仰っていただきありがとうございます。本当に嬉しいです。ですが、それとこれとでは話が違うと思っています。ルフス君がレヴィ王子を思う『好き』という感情が伴った行為とそうでないただの行為では全く意味が異なります。下手をしたら暴力行為と捉えられる行為なのです。いくら神域を作るためとはいえ、僕はそんなことしたくありません」
「ラリマーは、もし俺がやりたいって言ったらどうするんだ?」
ラリマーは俺の気持ちを尊重しようと思ってくれているのはよく分かるが、ラリマーの気持ちはどうなのだろうか。
ラリマーだっていくら彼らから逃げるためといえど、したくもない行為を進んでやりたいなどと思うわけないだろう。
「その場合は迷わずやります。僕はルフス君たちのことを抜きにしたとしても、アレット君のこと好きですから。それに好きでなければ眷属、いえ番になんてしませんし、二人だけで神域で暮らしたいと望みませんよ」
「アレット君」
「何だ?」
沈黙を破ったラリマーは、膝の上で握っていた手を大切そうに握りしめ笑った。
「嫌いではないと、好きであると仰っていただきありがとうございます。本当に嬉しいです。ですが、それとこれとでは話が違うと思っています。ルフス君がレヴィ王子を思う『好き』という感情が伴った行為とそうでないただの行為では全く意味が異なります。下手をしたら暴力行為と捉えられる行為なのです。いくら神域を作るためとはいえ、僕はそんなことしたくありません」
「ラリマーは、もし俺がやりたいって言ったらどうするんだ?」
ラリマーは俺の気持ちを尊重しようと思ってくれているのはよく分かるが、ラリマーの気持ちはどうなのだろうか。
ラリマーだっていくら彼らから逃げるためといえど、したくもない行為を進んでやりたいなどと思うわけないだろう。
「その場合は迷わずやります。僕はルフス君たちのことを抜きにしたとしても、アレット君のこと好きですから。それに好きでなければ眷属、いえ番になんてしませんし、二人だけで神域で暮らしたいと望みませんよ」
0
お気に入りに追加
125
あなたにおすすめの小説
一日だけの魔法
うりぼう
BL
一日だけの魔法をかけた。
彼が自分を好きになってくれる魔法。
禁忌とされている、たった一日しか持たない魔法。
彼は魔法にかかり、自分に夢中になってくれた。
俺の名を呼び、俺に微笑みかけ、俺だけを好きだと言ってくれる。
嬉しいはずなのに、これを望んでいたはずなのに……
※いきなり始まりいきなり終わる
※エセファンタジー
※エセ魔法
※二重人格もどき
※細かいツッコミはなしで
あと一度だけでもいいから君に会いたい
藤雪たすく
BL
異世界に転生し、冒険者ギルドの雑用係として働き始めてかれこれ10年ほど経つけれど……この世界のご飯は素材を生かしすぎている。
いまだ食事に馴染めず米が恋しすぎてしまった為、とある冒険者さんの事が気になって仕方がなくなってしまった。
もう一度あの人に会いたい。あと一度でもあの人と会いたい。
※他サイト投稿済み作品を改題、修正したものになります
氷の華を溶かしたら
こむぎダック
BL
ラリス王国。
男女問わず、子供を産む事ができる世界。
前世の記憶を残したまま、転生を繰り返して来たキャニス。何度生まれ変わっても、誰からも愛されず、裏切られることに疲れ切ってしまったキャニスは、今世では、誰も愛さず何も期待しないと心に決め、笑わない氷華の貴公子と言われる様になった。
ラリス王国の第一王子ナリウスの婚約者として、王子妃教育を受けて居たが、手癖の悪い第一王子から、冷たい態度を取られ続け、とうとう婚約破棄に。
そして、密かにキャニスに、想いを寄せて居た第二王子カリストが、キャニスへの贖罪と初恋を実らせる為に奔走し始める。
その頃、母国の騒ぎから逃れ、隣国に滞在していたキャニスは、隣国の王子シェルビーからの熱烈な求愛を受けることに。
初恋を拗らせたカリストとシェルビー。
キャニスの氷った心を溶かす事ができるのは、どちらか?
婚約者の恋
うりぼう
BL
親が決めた婚約者に突然婚約を破棄したいと言われた。
そんな時、俺は「前世」の記憶を取り戻した!
婚約破棄?
どうぞどうぞ
それよりも魔法と剣の世界を楽しみたい!
……のになんで王子はしつこく追いかけてくるんですかね?
そんな主人公のお話。
※異世界転生
※エセファンタジー
※なんちゃって王室
※なんちゃって魔法
※婚約破棄
※婚約解消を解消
※みんなちょろい
※普通に日本食出てきます
※とんでも展開
※細かいツッコミはなしでお願いします
※勇者の料理番とほんの少しだけリンクしてます
龍は精霊の愛し子を愛でる
林 業
BL
竜人族の騎士団団長サンムーンは人の子を嫁にしている。
その子は精霊に愛されているが、人族からは嫌われた子供だった。
王族の養子として、騎士団長の嫁として今日も楽しく自由に生きていく。
転生したけどやり直す前に終わった【加筆版】
リトルグラス
BL
人生を無気力に無意味に生きた、負け組男がナーロッパ的世界観に転生した。
転生モノ小説を読みながら「俺だってやり直せるなら、今度こそ頑張るのにな」と、思いながら最期を迎えた前世を思い出し「今度は人生を成功させる」と転生した男、アイザックは子供時代から努力を重ねた。
しかし、アイザックは成人の直前で家族を処刑され、平民落ちにされ、すべてを失った状態で追放された。
ろくなチートもなく、あるのは子供時代の努力の結果だけ。ともに追放された子ども達を抱えてアイザックは南の港町を目指す──
***
第11回BL小説大賞にエントリーするために修正と加筆を加え、作者のつぶやきは削除しました。(23'10'20)
**
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる